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心理的安全性を高める教師の在り方とは?

 今回は「心理的安全性を高める教師の在り方」について考えていきたいと思います。みなさんは心理的安全性と聞いて「子ども同士の関係性が安心感を生む」と考えている人も多いのではないでしょうか。もちろん、私もそのうちの1人で「子ども同士のリレーションこそが必要」と考えていたわけです。しかし、よくよく考えてみると「子ども同士の関係性をつくり出しているのは誰か?」と考えだし、その源は「教師のリーダーシップ」だと気づく
に至ったのです。つまり、もちろん子ども同士の関係性は重要であるが、その関係性を生み出しているのは「教師としての在り方」ではないかと考え始めたわけです。今日はこのような教師の在り方から心理的安全性の醸成について考えていきたいと思います。

①あなたは信頼される教師か?

 あなたは自分が子どもから信頼される教師ということができるでしょうか。お世辞にもそんなことは言えないというような方が多いかとは思いますが、信頼差される教師とはどのような存在を言うのでしょうか。
 今回取り上げるのは、ある有名な学校心理士さんから聞いたお話です。そのお話の中で「信頼される教師」に求められる5つのことを述べられていました。紹介します。

①話を聴いてくれる
②自分のことを認めてくれる
③自分の思いを悟ってくれる
④言うことややることが一致している
⑤いつも笑顔でいる

 さて、みなさんどのように感じるでしょうか。自分はどれだけの項目を満たすことができているでしょうか。つまるところ、この提言からわかることは「子どもは自分のことをよく見てほしい」と感じているということではないでしょうか。子どもたちは自分たちのことをしっかりと見てほしいのです。よく理解してほしいのです。心理的安全性を育むにはもちろん安心できる環境をつくりだすことは大切です。しかし、それだけではいけないのです。教師が子どもに対して安心できる存在であることが何よりの「スタート」なのです。そういう意味では「教師の在り方」を考えていかないことには何も始まりません。

②教師のもつ勢力資源

みなさんは教師として自分がもつ「勢力資源」にはどのようなものがあると感じていますか。勢力資源とはその教師がもつ子どもたちが何かしらの「勢力」と感じるものであり影響を受けるものと考えてもらって大丈夫です。そのような資源には何があるのでしょうか。河村茂雄先生の提唱した理論を紹介します。

河村茂雄 「教師のためのソーシャル・スキル」誠信書房 2002

教師には6つの勢力資源が存在します。この6つの資源こそ、教師がもつ子どもたちが「影響力」を感じるパワーなのです。準拠性は教師としての魅力。親近・受容性は被需要感。熟練性は教師としての技術力の高さ。メロウ性はユーモア。正当性は教師という職業の力。罰・強制性は言うまでもありませんね。このような力が教師は働いているのです。そして、この資源をもとに子どもは教師に対してある種の影響を受けているのです。

河村茂雄 「教師のためのソーシャル・スキル」誠信書房 2002

小学生の場合は教師の魅力が6つの要素をつくりだしています。教師として子どもたちに信頼されようとするのであれば、上記の6つの項目を意識していけば良いのです。それが「教師の魅力」として子どもたちはある種の憧れを抱くようになります。このような勢力資源を意識するかどうかは大きなポイントになるわけです。

河村茂雄 「教師のためのソーシャル・スキル」誠信書房 2002

中学生の場合はここに教師役割の魅力が発生します。中学生ともなれば、子どもたちの教師に対する認知の仕方も多様化していくことで新しい役割が生まれるわけです。このような複雑性を考えた上で教師は子どもたちと関わる必要があるのです。

③教師の在り方が安心感を生む第一歩

 教師のリレーションと子ども同士のリレーションのどちらが大切か。もちろん人によっていろいろな考え方があるとは思いますが、信頼できない教師がいくら子どもたちをつなげようと思っても限界があります。どうしてあの教師の言うことを聞かなくてはいけないんだと、反感を抱きます。これは至極当たり前のことなのです。もちろん子ども同士の関係性を深めていく中で教師の信頼が確立されていくパターンはあります。しかし、大前提として教師と子どもの間にリレーションが存在しなければ、子ども同士をつなげることなどできないと思うのです。その第一歩は「信頼される教師」になるということではないでしょうか。

④終わりに

 今回は教師目線からの心理的安全性の醸成について考えました。もちろん、いろいろな解釈があり、いろいろな考え方があるのはわかります。しかし、教師と子どもの関係性が構築していないと本当の意味での「心理的安全性」は確保されないと感じているのです。そのためにも「まずは自分が子どもにとっての心理的な安心感を抱く環境となる」と考えて取り組むことが重要です。先生方の教室に安心感が醸成されることを願っています。

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