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「維新」松井一郎市長に「提言」した校長先生の覚悟。

大阪市立木川南小学校久保校長が松井市長に提言を出したのが5月17日。あろうことか大阪市教育委員会は久保校長に不当にも8月20日「文書訓告」を発出しました。以降もマスメディアはこの問題を追い続けていますが、本日、毎日新聞が夕刊トップ記事で大きく取り上げました。
web版ではすでに9月25日に流れていましたが、紙媒体ならではのインパクトがあります。何より維新教育改革への批判が見て取れます。ぜひお読みください。

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記事より抜粋ーーー
 提言は、公教育に対する危機意識や問題提起に多くが割かれている。全国学力・学習状況調査や人事評価制度を例に挙げ、「教職員は、子どもの成長にかかわる教育の本質に根ざした働きができず、疲弊していく」と指摘。競争志向を強める市の教育方針を「グローバル経済を支える人材という『商品』を作り出す工場」と問題視し、子どもたちに生き抜く力を過剰に求める社会自体を「間違っているのではないか」と問いかけている。
 こうした問題意識の背景には、自身の目に映る学校現場の厳しい実情がある。教員は子どもの登校前に出勤し、午後3時過ぎまで授業をすると、終業までに残された時間は1~2時間程度。授業の準備や事務作業をこなすには不十分で、残業や仕事を自宅に持ち帰ることが以前から常態化している。
 12年には職員の服務規律を厳格化する市職員基本条例などが制定され、「子どもの教育について話し合うよりも、教職員の管理に時間が割かれた」という。時間をかけて子どもたちと信頼関係を築けば、ちょっとした心身の異変でも把握できるが、「教員は子どもと話す時間を思うように取れず、学校が重苦しい雰囲気になっている」と懸念する。
 また、1985年に新任で配属された市立小は市が定める同和教育推進校で、人権教育に主眼が置かれていた。そこで過ごした8年間で、受験戦争をくぐり抜けるために勉強してきた自身の価値観が崩れ去り、子どもと向き合う大切さを学んだ。「一人一人をものさしで比べたら絶対にあかん」という初心を思い返し、声を上げない自分自身に怒りが湧いた。「公教育はすべてを受け入れるから公教育なのに、今は一部の子どもをはじき出しても構わない教育になりつつある」と危機感を強めている。
 久保校長が言うような大阪の学校教育の競争主義は「維新政権」下で加速した。大阪市は、橋下徹市長時代の2012年、教育行政への政治的関与を強める「市教育行政基本条例」を制定。前文で「グローバル化が進む国際社会において力強く生き抜くことができる人間としてはぐくむこと」を教職員に求めている。
 市の教育方針とは対極的な提言に対し、市側の反応は辛辣だ。市の教育政策に関与する市特別顧問の大森不二雄・元市教育委員長(東北大教授)は6月の市教委の会議で、「学力調査やテストの成績が、子どもたちの将来に意味がないかのような意見を公然と述べているが暴論だ」と指摘。「学校間格差や全国との格差を含む学力向上の課題を直視し、真剣に取り組まなければいけない」と訴えた。
 松井市長は「子どもたちは競争する社会で生き抜かなければならない。(久保校長は)社会人として外に出たことがあるんかな」と批判。条例は民主的な手続きで制定されたと強調し、「選挙に打って出て、条例を変えればいい」と持論を展開した。
 一方、共感も広がっている。8月22日、大阪市生野区で市の学校教育をテーマとしたシンポジウムが開かれ、久保校長が講演者として招かれた。不登校などで学校に行けない子どもを受け入れる民間団体「子どもの居場所Yu―Ya」(同区)が企画し、約110人が2時間のオンライン講演に耳を傾けた。処分から2日後で、話題は提言の内容に集中。参加者からは「よく勇気を持って言ってくれた」「このような考えの先生がいると分かってうれしかった」などの感想が寄せられた。
 「Yu―Ya」を運営する奥田佳代さん(44)は「保護者としておかしいと感じていたことを久保先生が訴えてくれた。市の教育の課題について議論する場をつくりたかった」と話す。
 市立港中(港区)の名田正広校長は7月、SNSで市内の教職員や保護者ら計255人から提言への賛同意見を集め、市教委に提出した。名田校長自身も提言をまとめ、教員が声を届けやすい仕組みづくりなどを求めた。
 久保校長の元には教職員の団体などから講演や対談の依頼が相次ぎ、10月以降の予定が詰まっている。「声を上げたからには、この議論を絶やしたくない。そうやと思ってくれる人が一人でも増えてほしい」と願っている。

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