水木しげるの野球もの? 中には代表作に通じるものも…妖怪以前に描かれたギャグマンガ『お笑いチーム』。
【夕刊フジの記事より】
「先日、近所のシネコンで家族と『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』というアニメ映画を観てきました。子供の頃にテレビで観ていた鬼太郎とはかなりイメージが違いましたが、十分に楽しめました。観終わって思い出したのが、小学校1、2年の頃に兄が読んでいた雑誌に鬼太郎たちが野球をするマンガがあったことです。怖いと言うより、楽しいマンガでした。ほかにも野球を扱った水木しげる作品はありますか?」 (ねずみ女・65歳)
水木の野球マンガには、58年6月25日に兎月書房が刊行した貸本向け単行本『お笑いチーム』がある。
この前年に、水木はそれまで関西で続けていた紙芝居の仕事を離れて上京。貸本マンガに転向して、58年2月に兎月書房から上梓した『ロケットマン』で、単行本デビューを飾った。
『お笑いチーム』はデビュー5冊目に当たる。 主人公の健ちゃんはポロゴン島で不思議な石を手に入れた。
石を野球ボールになすりつけるとあら不思議、ボールはバットを避けてしまうのだ。
しかし、子供たちの野球チームは健ちゃんを相手にしてくれない。
途方に暮れてボートに乗っていると、流されてカッパの国にたどり着く。
このあたりは、のちの代表作『河童の三平』に通じるものがある。 カッパにへそを取られた健ちゃんは、へそを取り戻すためにカッパのチームと野球試合に臨むが大敗。雪辱を期して、あの石の力を使った魔球を駆使したところ、三振の山。へそ奪還に成功する。その活躍ぶりは野球解説者・小西さんの目にとまり、プロ野球の讀賣巨人軍と対戦することになる。
ほかにもこの年には、宮本武蔵と佐々木小次郎がプロレスや相撲、野球で対戦する貸本単行本『スポーツマン宮本武蔵』を綱島出版社から上梓。どちらも妖怪物への過度的な意味合いを持つ作品になっている。
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