【ポップス】🎤韓国人が松田聖子「青い珊瑚礁」に熱く反応する理由とは?
韓国で、「青い珊瑚礁」のカバーバージョンが、ついに第一位になった。
K-POPガールズグループ・NewJeansのメンバー「ハニ」が東京で歌った松田聖子の「青い珊瑚礁」の余波がいまだに韓国で続いている。
韓国最大の音楽チャート「メロン」に828位で初登場した同曲は、7月に入ると200位台、7月20日時点では114位と急上昇。
韓国カラオケ機器大手・クムヨンエンターテインメントの日本曲チャートではついに1位を獲得するほどだ。
日韓の音楽事情に詳しいエンタメライターがこう話す。
海外でヒットしている日本の楽曲を集計したビルボードJAPANのチャート「Global Japan Songs excl. Japan」で、「青い珊瑚礁」は11日付で8位、18日付でも9位にランクイン。
国別では韓国で2週連続2位に浮上するなど、韓国を“青く”染めている。
最近では61歳の日本人男性が、ハニの歌う「青い珊瑚礁」のYouTube動画に「がんで闘病中ですが、ハニの歌を聞いて勇気をもらいました。がんに打ち勝ちます」と投稿したところ、韓国人ファンが「頑張って克服してください」「完治されることをお祈りします」と激励。その心温まる内容が、韓国で記事配信された。
■地獄のような1980年代の「韓国」
韓国の1980年代前半は苦難に満ちていた。
79年の朴正煕大統領射殺事件を機に全斗煥軍事政権が軍の実権を握る。
民衆蜂起となった光州事件を弾圧すると、各地の民主化運動を取り締まり、言論を厳しく統制した。
その後、大々的な民主化運動により87年に大統領直接選挙によって、盧泰愚が大統領に就任。
88年にソウル五輪が開催され、89年になって海外旅行が自由化された。
韓国のジャーナリストは「韓国の中高年世代にとって1980年代の日本のポップカルチャーは、自由で開放的でまぶしい憧れの存在です。一方で、その時代の日本のヒット曲は韓国の暗い時代を思い起こしてしまうことにも繋がるため、心境は複雑ですね」と打ち明ける。
21世紀に入ると「韓国のポップカルチャー」の世界的人気が次第に高まっていく。
日本でもK-POPアーティストが、東京ドームクラスの会場でコンサートを開催することは珍しくなくなった。
NewJeansの東京ドーム公演は、通常のコンサートではなく「Bunnies Camp 2024 Tokyo Dome」と題したファンミーティング。
それでいきなり9万1200人余を集めた動員力は、すさまじいというほかない。
韓国の大手紙「京郷新聞」の元東京特派員で現作家のユン・ヒイル氏がこう話す。
「韓国のメディアが『青い珊瑚礁』を連日取り上げているのは、K-POP歌手による日本の懐メロ歌唱がこれほどの大反響となったのは初めてだからでしょう。個人的に『青い珊瑚礁』を初めて聞き始めたのは1990年代半ば。 当時、日本文化について本格的に勉強していた時期で、この曲を聞いてすっかりハマってしまいました」
その一方でこうも明かした。
「『青い珊瑚礁』について韓国の若者層からは『1980年代、日本には松田聖子のようなレベルの高いアーティストと音楽があったのに、なぜ世界市場を掌握できなかったのか』『自国市場に満足して、グローバル化しようとする努力が足りなかったためではないだろうか』などの声が上がっています」
確かにバブル崩壊後、日本は失われた30年を経験しグルーバル市場に積極的に挑もうとする音楽家は少なかったかもしれない。
ただ、近年、ニュートロ(新たな古いもの)ブームに乗って大貫妙子「都会」(1977年)、松原みき「真夜中のドア」(79年)、山下達郎「RIDE ON TIME」(80年)、EPO「DOWN TOWN」(同)、NewJeansのへインが東京ドーム公演でカバーした竹内まりや「プラスティック・ラヴ」(84年)など、シティポップと呼ばれる当時のサウンドが世界的な人気を集めている。
最近のアーティストとしては、YOASOBI、Ado、Creepy Nuts、King Gnuのグローバルな活躍もよく知られている。
「青い珊瑚礁」が時空を越えて日韓の音楽ファンを結びつけたことをきっかけに、新旧取り混ぜたK-POPとJ-POPのコラボが意外な速度で進むかもしれない。
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