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1960~1990年代の「サブカルチャー」について。

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1960~1980年代の「サブカルチャー」についてご紹介いたします。音楽なら、テクノポップから筒美京平、大滝詠一など。シティポップからGS、アイドル歌謡曲まで。アート、文学。ゲー…
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#日本映画

【映画史】🎞1950年代の終わり。松竹映画の新年会で、松竹ヌーベルヴァーグの「大島渚」「吉田喜重」らが酔って、重鎮「小津安二郎」に絡みだした…。

大島「小津さんよお。あんたの映画はどれも同じだ。秋だ、春だ、と同じようなタイトルで、どれがどれか区別も出来ない!」 吉田「スタイルも古臭い。動かないカメラ。同じようなシナリオ。あんたからは、新しい映画は生まれない!」 小津は、黙って、自分で猪口に日本酒をつぎ、飲み続ける。 大島「なにか言ったら、どうなんだい、小津さん!」 小津が目だけで、大島渚の太った顔を睨んだ。 怒っている。 宴会場の殺気が走った。 大島と小津のとっくみあいになるのか!? というとき、小津安

女王蜂と大学の竜(1960)

女王蜂と大学の竜(1960、新東宝、81分) ●監督:石井輝男 ●出演:三原葉子、吉田輝雄、万里昌代、天知茂、浅見比呂志、沖竜次、水原爆、杉山弘太郎、大友純、近衛敏明、吉田昌代、加藤欣子、扇町京子、菊川大二郎、原聖二、宗方祐二、嵐寛寿郎 石井輝男監督、新東宝時代の一品で、DVD化はされてるようだけど配信はされておらず、もう終わってしまったけどシネヌーヴォの「新東宝映画まつり」で観た。 タイトルだけでは中身がよくわからないが、昔ながらの組の親分の娘(三原葉子)、身寄りのない

【映画】相米慎二監督「東京上空いらっしゃいませ」を鑑賞。特撮は、円谷プロ出身のスタッフ。

いやあ、この頃の牧瀬里穂ちゃんは可愛い。 ため息が出るほど可愛い。 なぜ、私と結婚してくれなかったのだろう、などと妄想してしまうぐらい。 どこまでも嘘しかないおとぎ話なのに、それでも観客にこの映画を信じたいと思わせてしまう牧瀬里穂の凄さ。 きっと、相米“こどもいじめ”慎二が、牧瀬里穂をいぢめていぢめていぢめぬいたんだろうな。いまだと、ハラッサーだと非難されるんだけど、相米慎二みたいな厳しい監督がいなくなったから、オモシロイ日本映画がなくなったんよな。 https://w

アナログ派の愉しみ/映画◎熊井 啓 監督『海と毒薬』

いつか罰を受けるやろ え、そやないか? 「ばってん、俺たち、いつか罰を受けるやろ。え、そやないか?」   医学部研究生の勝呂(奥田瑛二)が夜の闇のなかでタバコを吸いながら、そう問いかけると、同僚の戸田(渡辺謙)はせせら笑って答えた。   「罰って世間の罰か? 世間の罰だけやったら何も変わらへんで。俺もお前もこんな時代のこんな医学部におったから捕虜を解剖しただけや。俺たちを罰する連中かて同じ立場に置かれたら、どうなったかわからへんで。世間の罰など、まずまず、そんなもんや」

【NETFLIX】日本製ドラマ・映画、2024年上半期、ベスト3をご紹介。

アマプラもいいけど、Netflixでしか見られない作品も多く、日本のオリジナルドラマ・映画を見るために契約しているという人も多いはず。ハイクオリティな作品ばかりで、何度も見たくなる! そこで今回は「Netflixオリジナルの日本ドラマ・映画人気ランキング」をご紹介します! (※2024年6月調査時点でのランキングです) ・・・ ランキングの集計方法調査方法:株式会社CMサイトがインターネットリサーチした<Netflixオリジナルの日本ドラマ・映画人気ランキング>のアンケ

アナログ派の愉しみ/映画◎工藤栄一 監督『十三人の刺客』

暗殺団の首領は そのとき「地上げ」を命じた 工藤栄一監督の『十三人の刺客』(1963年)は恐ろしいチャンバラ映画だ。それは、13人対53騎という非対称の抗争劇が、黒澤明監督の『七人の侍』(1954年)以上のリアリズムで描かれたことだけが理由ではない。モノクロームの映像内に留まらず、現代の日本社会に生きるわれわれに対しても背後から切っ先を突きつけてくるような、ただならぬ気配を漲らせているからだ。   江戸時代末期の弘化元年(1844年)、ときの将軍・徳川家慶の異母弟にあたる

アナログ派の愉しみ/映画◎北野 武 監督『あの夏、いちばん静かな海。』

このただならぬ 静けさの気配は一体? 寂寞、と形容したくなる。それもセキバクではなく、あえてジャクマクと声に出して読みたいような……。北野武監督の第3作『あの夏、いちばん静かな海。』(1991年)だ。   湘南海岸の夏。聾唖の青年シゲル(真木蔵人)は、清掃車によるゴミ回収の仕事のさなか、破損したサーフボートを手にしたのをきっかけに、同じく聾唖の恋人タカコ(大島弘子)と海辺に繰り出してサーフィンをはじめ、やがて本格的にのめり込んでいき、サーフショップの主人に誘われて房総での

怪獣メガロが蘇る!『GEMNIBUS vol.1 ゴジラVSメガロ』を監督した白組の「上西琢也監督」に注目を。

「シン・ゴジラ」「ゴジラ−1.0」のVFXを担当した会社「白組」のチーフクリエイター上西琢也さん。 彼が、東宝主体で制作した「GEMNIBUS vol.1 ゴジラVSメガロ」を監督した。 東宝が手掛ける才能支援プロジェクト「GEMSTONE Creative Label」初の劇場公開作品として、新進気鋭のクリエーター4人が監督した短編からなるオムニバス映画『GEMNIBUS vol.1』が、6月28日から2週間限定で劇場公開される。 その中の1本、『ゴジラVSメガロ』を

【映画】🎬大映「ぼんち」(1960)。監督・市川崑の女優口説き法。「次、これ撮るから、出るね」と台本を置いて去る。

草笛光子は大の犬好きだ。 ラブラドール・レトリバーの「まろ」と一緒にテレビ出演したほど。 今ではそれほど犬や猫を抱いてバラエティー番組に出演する俳優も珍しくないが、草笛が草分けといえる。 2021年には、「徹子の部屋」でその「まろ」が亡くなったことを報告している。「まろ」を失って落ち込んだ草笛だが、ある日行きつけの花屋で犬を連れた人とすれ違い、その犬にひと目ぼれしてしまった。 草笛はその犬に会いたい一心で花屋で待つようになった。 そのことを知った飼い主は草笛に連絡をく

アナログ派の愉しみ/映画◎スティーヴン・キング原作『スタンド・バイ・ミー』&宮本 輝 原作『泥の河』

その夏、少年は 世界の神秘と出会った アメリカと日本のふたりの作家、スティーヴン・キングと宮本輝のあいだにはのっぴきならない共通項がある。両者とも1947年生まれであること、そして、ともに少年期を主題にした短篇小説を書き、かつ、それらを原作としてつくられた映画のいずれもが大傑作となったことだ。前者がロブ・ライナー監督の『スタンド・バイ・ミー』(1986年)、後者が小栗康平監督の『泥の河』(1981年)とは言うまでもないだろう。   『スタンド・バイ・ミー』の舞台は1959

【映画】🎬『宇野鴻一郎の濡れて打つ』がアニメ『エースをねらえ!』のパロディになったわけ───金子修介監督インタビュー。

根岸吉太郎、森田芳光、神代辰巳――様々な監督の現場で助監督を務めた金子修介監督は、ロマンポルノ『宇野鴻一郎の濡れて打つ』でついに監督デビューを飾った。     なんとアニメ『エースをねらえ!』のパロディとなった『濡れて打つ』はなぜ生まれたか。そしてこれを観た日活幹部の反応は…?  ――8ミリとプロの現場では何が一番違うなと思いました? 金子 照明に時間がかかることだったですかね。ただ、それをのぞけば本質的には変わらないから、自分はプロの現場だということで吸収しようという

【映画】🕶高倉健主演版「ゴルゴ13」を鑑賞する。千葉真一版では出せない重厚感。

高倉といえば、無口で、ストイックで、実直というイメージが強く、 私生活でもそのイメージを壊さぬよう"真の映画スター"としての生き方を貫いた映画人で、 そんな高倉の存在感を堪能できる作品が映画「ゴルゴ13」(1973年)だろう。 「高倉といえば任侠もの」というご意見もあるだろうが、今回はあえてこの作品を推したい。 なぜなら、彼の輝かしい経歴の中でも貴重な芝居が観られる作品だからだ。 同作品は、言わずと知れたさいとうたかをによる同名漫画を初めて実写化したもので、「ゴルゴ13

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あの伝説の名シーンは…「『砂の器』と木次線」プロモーション動画もどき

映画『砂の器』のサウンドトラックから、タイトルバックの音楽(作曲:菅野光亮)に乗せて、本書のプロモーション動画もどきを作ってみました。 このメロディーを耳にするだけで、気分はすっかり『砂の器』です!

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【肉声スクープ!】あの原作者が映画『砂の器』を語る

映画『砂の器』(1974年)公開の9年後、舞台でありロケ地となった島根県の奥出雲で、原作者・松本清張が語った言葉とは?「砂の器記念碑」除幕式(1983年10月23日)にあわせて行われた講演会の録音が今も残っていました! 書籍「『砂の器』と木次線」286ページで紹介しています。 第4刷、好評発売中! https://amzn.asia/d/dBlPVaX