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最果タヒは、神戸を「ジャムサンドのジャム」みたいな町といった。

ジャムサンドのジャムみたいな町

海と山に挟まれた神戸を、こう呼んだのは、最果タヒだ。

土地は変化し、歴史は重なって行くが、その中で、どうしても、忘れるという選択肢を持たない記憶というものがあるとタヒはいう。

そう、私の中にも、一円玉のように、ずっと、変わらない神戸がある。

想いでの神戸の街

ZARD「もう少し、あと少し・・・」

追伸:あなたの生まれた家を見てきました。なんだか切なくて懐かしかった♫

この歌が好き。ほんと、いつ聴いても切なくなる。

でも、私にとっての神戸は、ただの通りすがりの街。そして、けんかした思い出ばかりが残る街。

南京町の「老祥記」

神戸南京町広場にあるベタな名店。豚饅頭とよばれる小籠包をイートインで味わえるお店だ。豚饅頭は、熱々をからしを付けて食べるのが美味しい。当時の彼女、今の妻と、南京町をぶらぶらしてたどり着いたのが、このお店。二人して、写真みたいに並んでた。何しゃべってたんだろう、たわいのない会話だった。なぜか、急に、彼女が怒り出し、元町駅に向かって帰ってしまった。

ルミナリエ

阪神・淡路大震災の鎮魂と神戸の夢と未来のために始まったルミナリエ。毎年、冬に旧外国人居留地から東遊園地にかけて、通りいっぱいに光のアーチがかかる。結婚してからかな、二人で行ったけど、途中ではぐれてしまった。携帯電話で位置を確認しても、なかなか会えない。結局、ゴールの東遊園地でやっと合流。帰りの電車は無言のままだった。

六甲山牧場

そんな私たちにも、子どもができた。娘はハイジに会えると喜んでいたけど、私たちが行った火曜日は定休日だった。「定休日くらい調べておけよ。」と言い放った私を置いて、妻は、娘をだっこしながら、柵の外から羊を眺めていたっけ。

須磨水族館

山から下りて、須磨水族館に行ったけど、イルカショーでは、水をかぶる席になんか座る気になれなかった。水が飛んでこない中ほどの席に座り、イルカの動きに促されて拍手してたっけ。娘は、ず~っと、イルカの動きを追っかけていた。いつも、そうだった。娘や妻を思いっきり楽しませようと思っても、なんか上手くできなかった。

神戸電子専門学校

謝っておこう。何も言わずに、この動画を見てくれ。

グリコピア神戸

私の中の変わらない神戸。けんかした思い出しかないけど、グリコピア神戸に飾ってある幼い頃のキャラメルのように、ずっと、私の心の中にいて、懐かしく思える街でいてほしい。

舌れ梵(喫茶)

でも、齢かな。クリームソーダの海と山が混じり合って、炭酸の泡になるように、記憶が少しずつ、淡くなっていく。いっそ、ストローで一気にかき回してしたら、どうなるんだろう。

三宮そごう

そんな神戸から、そごうが消えた。土地は変わって行くけれど、土地といっしょに思い出まで消えてほしくない。クリームソーダの氷の下のまだ食べてないチェリーのように記憶の海に沈んだままでいてほしい。

ジェム占いの街

そういえば、妻が南京町で急に怒り出したのは、占いでなんか言われたからだったかな。なに言われたか忘れてしまったけど、きっと、当たってたんだろう。でも、街も人も、もしかして、未来も変わるかもしれないという希望は捨てたくない。

リーフチョコ

そんな神戸に、今日もまた、どこからか風が吹いてきて、新しい思い出を連れてくるんだ、きっと。

(おわり)

この記事は、タダノヒトミさんの「あなたの神戸おしえて」に参加するものです。ヒトミさん、素敵な企画をありがとうございます。

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