熱いコーヒーと熱い人
北側の窓を開ければ
熱気は含んでいるものの
湯冷ましのような風がやって来て
僕を外へと誘う
だけど扉は南側にあって そこはまだ危険な暑さ
ふとコーヒーを
熱いブラックコーヒーを
飲みたくなって湯を沸かす
淹れたての
最初のひと口の美味しさ
ゆっくり味わいたいのに
カップの中は冷めていく
気持ち急いで飲み干すか
諦めて時間を楽しみ
冷めてしまったコーヒーは
別の飲み物と割り切るか
明らかに機嫌が悪くなったその人の
原因を作ったのは僕だった
どんな言い訳も
その人を笑顔にするのは無理だろう
喜怒哀楽の激しい人だと
知っている僕はその人の気を
素通りした
お陰で僕は
ゆったりとした時間を味わったので
その人の怒りは空振りして
あっさりと収まって機嫌が戻った
流れのままに飲み干した僕は
コーヒーを充分に味わい尽くして
身も心も穏やかになった
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