屋上で空を#31
家に帰ると誰も居なかった
少なくとも一人は居る予定だったのに
自転車が一台ない
冷蔵庫の牛ヒレ肉が消えて
シンクにフライパンがある
置きメモには「洗濯物よろ」
包装されたチョコがテーブルに幾つも
きっと事実は想像より奇なので
考えるのを停止する
とりあえず屋上で空を眺める
風はあるが暖かい
羽毛のような雲がゆっくりと横切る
この後の予定を考えるか考えないかを
考えようとしたけど
まだ停止したままだった
風の音が絶え間なく心地よく
時間だけが予定通りに過ぎた
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