うまくいかない日③

海に出る前にトンネルがあって
1段上がった所に巾1mほどの
柵のついた歩道がある

さしかかった所で
女性が向こうから走って来る

このままではすれ違えないと思い
トンネルの外で待った

やって来た女性は
軽く頭を下げると同時に右手を上げた
僕も小さく頭を下げた

こんなやり取りで
気持ちが軽やかになるから
人間って単純だ

あの人は黙々と走っていたから
桜の木には目もくれないだろうけど
それでいいと思う

あの人には
はっきりとした目的があるんだから