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バランス

コーヒーのいい香りがしたので、「そういや
僕のクロワッサンは?」なんて、わざと聞い
てみる。
「あるよ」と思惑ハズレの言葉が妻から来て
僕は少し気落ちした。

「もうない」とか「君の分は最初からない」
を期待していたのに。そしたらキッとした顔
で睨みつけて、僕のS気質とM気質は同時に
満たされてたのに。

僕は自分が常にSとMのバランスをとってい
ないとどっちかに片寄ってしまうのを知って
いて、どっちに行っても厄介な奴になってし
まい、周囲に、特に妻には迷惑をかける。

そういうのが積み重なると、妻は常に鏡のよ
うな存在なので、僕は自分のいやらしい部分
を見せつけられて自己崩壊の手前まで、あと
一歩後ずさりすれば深い谷底に落ちる所まで
追いやられる。

深い谷底にはまだ落ちたことがないので少し
は興味があるが、どんなに頑張っても自力で
登れないだろうということは分かっているし、
そうなれば周囲に、特に妻に頼って、妻は常
に鏡のような存在なので、僕はまだ想像もし
ていない深い谷底以上の異次元の世界の縁に
触れることになるに違いない。

そう思うとさっきの会話で僕が巧妙に言った
いやらしい言葉も、とても自然な「あるよ」
の一言で浄化され、僕は中道の道を歩く事が
できてる。

そしてこれらの僕の思いを妻には決して知ら
れることがないように、だけど僕には確認で
きるようにnoteに記録するということは、と
ても上手くバランスをとれていると思う。

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