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作家の想像力はすごい!枕草子の世界にタイムトリップしたい人にオススメ本、3選。

NHK大河ドラマ「光る君へ」、いよいよ清少納言の本領が発揮され始めそうで楽しみです。

あこがれの 宮仕えに上がり、中宮定子さまに初めてお目にかかった時の
「きれい。。。」
17歳の若い后にアラサーの清少納言が一目惚れして、一心にお仕え申しますとひれ伏すシーン、枕草子でのマダムへの心酔ぶりから想像すると、確かにそんな感じの出会いだったろうなと納得の描き方でした笑

これからは、清少納言と言えば、これ!と思い出さざるをえない名演技。
何回見ても、楽しいです。
「光る君へ」はしばらく重たい展開が続いていたので、定子さまのサロンの明るさに救われた気分になります。ずっとこのままならいいのに。

余談ですが、役者さんは重たい衣装とかつらで大変だろうに、よく着こなして芝居をしてます。見た目以上にずっしりと肩に負担がかかっているし暑いので、座っているだけで疲れるはず。
扇風機で風を送りながら撮影してるのかな…

枕草子で描かれる定子さまの素晴らしさ、帝と后を中心に盛り上がったサロンの楽しさは作家の想像力を刺激するようで、当時の宮中を題材に取ったスピンオフ小説が生まれています。
私の本棚から、おすすめしたい3冊はこちら。

左から、


「むかし、あけぼの」田辺聖子
「はなとゆめ」冲方丁
「なまみこ物語」円地文子

大作家3人の小説で、それぞれ他の作品もおすすめしたいのですが、この3冊は特にいい!
枕草子は「春はあけぼの」だけが優れているのではなくて、折に触れて繰り返し読みたくなりますし、読むたびに気持ちが強くなる気がします。
その感覚、表現するなら、
「Always Look on the Bright Side of Life」
ですね!

清少納言のひとり語りの体裁でストーリーが進み、柔らかい日本語が使われているので、平安時代の宮廷人のおしゃべりに混ざったようなタイムトリップ気分を味わえます。
大河ドラマの清少納言のキャラクター造形は、この小説から借りているのかなと感じる描写があります。
宮仕えに出たがる女房に渋い顔をして、今の暮らしのどこが不満なのか、機嫌をよく子供らを育ててくれれば俺はそれ以上をお前に求めない、女は家庭を守れと言う亭主に怒りを爆発させるシーンは、まさに
「うちの亭主は気の利いたことを一つも言えないのうたりん!」
私はそこらの女とは違う、自分の才を試して宮仕えの高みを目指すのよ、とタンカを切る勝気な清少納言で現代にも通じる女性像だと思います。

これも清少納言のひとり語りで書かれた小説。
歴史小説の「天地明察」やSFの「マルドゥック・スクランブル」で高い評価を固めた作家が、枕草子を題材に取ったことに驚きました。
この本の清少納言はちょっとだけしおらしくて、枕草子でのズケズケした物言いは控えめ。定子さまの素晴らしさを回顧する鎮魂の書となっています。

一条天皇の宮廷の権謀術数や人々の有様を、架空の書「生神子物語」を底本に描き出す力作です。女流文学賞受賞作だけあって、源氏物語の現代語訳を手がけた作家の想像力は凄い!
ニセの物の怪事件をでっちあげて定子さまの立場を危うくしようとする企みは、あっと驚く展開を見せて深い印象を読者に残します。
清少納言の出番は少ないですが、帝と定子さまの極上のラブストーリーが描かれていてグッときます。

大河ドラマ「光る君へ」は紫式部が主人公なのに、なぜか清少納言の登場回のほうがSNSが湧き立っている上に、定子さまファンが増えていきます笑
それはやはり枕草子のおかげ、若くして亡くなられた定子さまを一番美しい姿のままで残したいと願った清少納言の意志が共感を呼んでいるのだと思います。

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