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「着物の悦び」林真理子 着物と帯の複雑で色っぽい世界。

お茶の稽古を始めてから、すっかり日本の伝統文化に魅了されています。
せっかくなら、もっと楽しんで自分のものにしたい。
そういう気持ちが込み上げてきて、最近は着物のカタログを眺めるのが日課になっているのです。

お茶の師範になって、茶席の亭主をしてみたい!を実現するとなると、ざっとフェラーリ 1台の費用がかかるのかしら、と見積もったのですが、
「着物を普段から着たい!」
を実践すると、新築マンション1件分のお金が飛びそうで恐ろしい。

男性の道楽がクラブ・キャバクラ通いなら、女性の道楽はハイブランド、呉服屋通いですよね。
着道楽以上の女の楽しみって、あるのだろうか。
それに、エルメスに儲けさせるくらいなら、伝統工芸と作家さんをパトロンするつもりで大島紬や芭蕉布を買うのが意義がありますし、着物は人の手を渡って着続けるので持続可能では…
と、考えるのは、かなり危険です笑
お茶の稽古着を誂えるくらいで止めておかないと。

そもそも着物に興味を持ったきっかけは、「源氏物語」には衣装の描写が多くて、

紅梅襲の五衣
桜直衣
海賦の裳

をパッとイメージできないと、いまいちストーリーに乗り切れない。
現代の小説家も歴史小説では嬉々として衣装の描写をすることがありますし、やはり着物について一通りの知識はあったほうが小説を楽しむことができます。
着物好きの作家は、作品中でもキャラクターに着道楽をさせますよね笑

そんなわけで、家には着物についての本がそれなりに置いてあるのですが、おすすめしたいのが、これです。

林真理子さんの「着物の悦び」。
呉服屋との付き合い方や、着物の選び方、着付け、手入れの仕方までエッセイで読みながら学ぶことができる良い本です。

特にこれ、
「着物と帯の格」
洋服で育つと覚える機会がありませんし、フォーマルとカジュアルとはまた違った独特の決まり事があるのがややこしい。
染めと織り、柄、素材、紋付、こういう要素を組み合わせて、着物と帯には「格」がある。
実は、着物の敷居を高くしているのは、
「格」
だと思うのですが、そこをわかりやすく教えてくれるのが本著。
ベテランの呉服屋とお付き合いしないと教えてもらえない知識が満載ですので、小説の副読本に、着物えらびのアンチョコ本におすすめです。

目を通しておけば、柄が気に入ったからと丸帯を買ってしまうことは防げますし、着物でお花見に出かける時には、桜の柄が入った衣装を着るのは、、、という感覚がわかるようになります。

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