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平安時代の女子目線で、「勝ち組の人生」を考えてみました。

こんにちは、こんばんは。
あっという間に一週間。女の子の好きなものがてんこもり、NHK大河ドラマ「光る君へ」の日曜日がやってきました。
毎週キラキラです。

たった一度の逢瀬ではかなくも終わってしまう恋…と思ったら、翌週にはまた会ってしまい、

正妻には無理だけど隠し妻になってほしい。
離れたくない。

と説得されてるヒロインが不憫。
そして、テレビの前の女性ファンの反発が心配です笑

相思相愛の二人の世界しか見えていないヒロインには、
「プロポーズ=正妻」
が、当然の形であるけれど、男性には男性の生きるべき世界があって、出世のためには正妻にしかるべき女性を迎えなければいけない。
だから、愛しているならそこをわかってほしい、という理性的な結論にたどり着くわけですが、それを言い聞かされても女性は反発しますよね。

愛情という個人的な関係に社会が入り込むことでドラマに奥行きが出て、脚本家のストーリーテリングの手腕に脱帽ですが、幸せの絶頂にあるヒロインに冷や水浴びせる容赦のなさは、女性の感性だなあと思いました。

これ、平安時代の物語(ドラマ)好き女子が見たら、道長派とまひろちゃん派で分裂して、
「伊勢物語の業平のためしもあるし、愛を貫いてほしいわ」
「でも、強情すぎる女って憎らしい」
「身分違いの恋だもの、たまの通いでも幸せじゃないかしら」
などとガールズトークに花が咲くことでしょう。
散々おしゃべりした後の結論は、

どうかヒロインを幸せにしてあげて!

源氏物語を執筆した紫式部も、周囲の読者から
「どうか紫の上を幸せにしてあげて!」
と、感想を寄せられると、内心ホクホクしていたのではないでしょうか。
目の前の読者を手玉に取ってみせるのは、作家冥利につきるはず。

ところで、素敵な貴公子とお姫様の恋バナを愛好していた平安時代の女性達はというと、身を焼くような大恋愛には縁がなく、親の勧める縁談を受け入れて家庭の主婦となっていたはずです。
恋愛と結婚は別だから。

親に大事にされ、相応の家柄の男性を迎えて身の回りの世話をし、子供を大勢生み、夫からは愛情とただ一人の妻としての待遇を得て、世間からは正妻と認められるのが女性としての「幸せ」。
でも、それ以外にも「幸せ」はあっていいのでは?
御簾を巡らせた薄暗い室内で、ひっそりと書き綴られた思想実験が、平安時代の女性達に愛好された物語なのではないかと思っています。

余談ですが、宮仕えに出て凄腕バリキャリとして名を挙げた清少納言さんは、「枕草子」の中で

社会人経験のあるバリキャリは、今は専業主婦でもいざという時はしっかり段取りして旦那様をサポートできるから有能。
(注:大意です)

枕草子24段

と、女性が働くのを目の敵にする男に物申しています。
確かに、当時の女性達が活発に出歩き社交しているのを知ると
「女性の幸せ=主婦」
とは限らず、いろいろな人生双六の上がり方があったのでは、と思われます。
そこで、勝手に平安時代の女子目線で、
「みんなの憧れ女子 平安時代ver.」
を考えてみました笑

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不動の1位「皇妃」
臣下の身分を離れて、陛下と呼び称されるのは尊いことです。これ以上の幸運などあるはずがありません。

女子ならマスト。
第2位「ハイスペ男性の正妻(又は側妻)」
公に位を授かり宮中へ出入りすることを許されるのはまさにセレブリティ。あなたのために特等席が用意され、多くの人が友人になりたがることでしょう。

もし正妻でないとしても、がっかりする必要はありません。名門の縁者としてそれなりに世間の尊敬は受けられます。
あなたの生んで差し上げた子供に見所があれば、夫は目をかけて引き立ててくれます。賢母として胸を張って生きましょう。

等身大の幸せが一番。
第3位「若くて裕福な受領(地方官)の正妻」
地方はまともに人が住める場所ではないですし、単身赴任の夫のために都で留守居をし心細いこともありますが、そこさえ辛抱すれば裕福な暮らしが保証されます。
それにハイスペ男性と違って、受領階級の男性は大勢の妻を持つことは少なく、妻同士の嫉妬とは無縁の落ち着いた家庭生活を送ることができるでしょう。

ステイタスは別として、受領の妻は時間とお金にはゆとりがありますので、社交や芸事、寺社仏閣詣りにいそしみ悠々自適の生活ができるといえます。
また、宮仕えで名前を馳せた清少納言、紫式部、和泉式部は受領階級の女性です。社交界の華として自分らしく輝くことも夢ではありません。

番外
「内侍・典侍」
唐土風のユニフォームを身につけ高く髪を結い上げ、エリート達に立ち混ざって公務を行うだけでなく、御守刀を掲げて帝に付き従う姿は働き女子の憧れ。
帝の宣旨を携えて外出した際は、迎える屋敷の人々が平伏し敬意をあらわす様のめでたさは格別です。
帝にお仕えする身ですので、結婚して家庭を持つことはできないかもしれませんが、それを補って余りある華やぎのある人生となることでしょう。

裏ルート
「乳母」
名門の子弟の乳母に据えられる、あるいはお子様に思いの外なる幸運が舞い込んだ場合、
「御乳人」
として一目おかれ、乳母本人だけでなく乳母子や一族も一緒に出世し世に栄えることもありえます。
実母よりも乳母のほうがお子様と強いきずなで結ばれるものです。
乳母に定められたら夫と子供はお屋敷に居候させ、家族全員で忠誠を尽くしてください。

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