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Inside of BIJapan

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Webメディア「Business Insider Japan」の記者や編集者のコラム集です。取材裏話から日常の体験などを綴っていきます。
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記事一覧

「マネーツリー」の新機能に、一発K.O.されてしまった

可視化って、こんなにも無慈悲なものでしたっけ? 人気の家計簿アプリ「マネーツリー(Moneytree)」が、10月11日にリリースした新機能「光熱費インサイト(ベータ版)」。これに一発K.O.されてしまいました。 なにしろ、毎月の光熱費(電気・ガス・水道)を、全国平均と自動で比較してくれるというこの代物。シンプルかつ明快なUIで、まざまざと現実を突きつけてくるんですよね。 その結果は—— えぇぇぇ、およそ2倍!? 「ウチの電気料金は高い方だろう」とは思っていたものの、

週末に半日、"副業"してみた

秋晴れに恵まれた週末。半日、ジュースやお菓子を売る仕事をしてきました。 と言っても、私の仕事は別途販売されたチケットをジュース、お菓子に引き換えるというもので、現金は扱わないためコンビニの仕事に比べたらずっと楽だったと思います。 いま流行りのタイミーでバイト……ではありません。会社に副業申請もしていません。というのもこれはPTA活動の一部。子どもの文化祭のお手伝いです。 最初は半日か、長いなあと思って臨んだのですが、いざ始まるとあっという間。すぐに慣れて、途中から「男女問

S&P500はバブルなのか? その問いへの「対処法」を見つけたかもしれない

上がるのか? 下がるのか? どっちなんだい! 日米ともに首脳選びが混迷を極めるなか、相場予測も混乱しているようです。なにしろ、S&P500の黄金時代が終わるとか、S&P500の年平均リターンは11%近くになるとか、アナリストたちは喧々諤々。 この様子なら、なかやまきんに君の上腕二頭筋に訊いた方が……。 とはいえ、株価分析がかしましくなるのも理解できます。2024年はまさに、史上稀に見る「ジェットコースター相場」でしたから。 そんななか、とある投資信託が急速に資金流入を

フィンランド人に聞いた「北欧5カ国」ここが違う

「デンマーク人って、アメリカ人や中国人みたいな感じ」 突然こう言われて、私は全くこの3国の共通点が浮かびませんでした。 10月初旬、フィンランドに行ったときの話です。デンマーク在住著者による連載以前から、北欧の「幸福な国ブーム」を見ていたので興味のある国の一つでした(今回の取材の主目的はクリーントランジションで、すでに記事にしています)。 渡航前、駐日フィンランド大使館でフィンランド人と会い、初めての北欧だと伝えました。すると彼女は一言、「北欧ね……(←と言わなかったもの

東京メトロ上場、「全線定期券」優待はおトクなのか?

2024年最大のIPOとして話題を振りまく、東京メトロ上場。初値は、売り出し価格の3割増しとなり、滑り出しも上々のようです。 上場時の時価総額は1996年のJR西日本に匹敵、配当利回りはJR東日本に圧勝と、ニュースも尽きない今回の新規株式公開。その豪華な株主優待も注目を浴びています。 「地下鉄博物館」招待券、「そば処めとろ庵」かき揚げ無料券なども魅力ですが、やはり気になるのは株主優待乗車証。なにせ1万株保有で、全線定期乗車証ですからね。 仮に株価が1600円としたら、1

バルセロナは「宿泊税4ユーロ」。日本はどうする

オフィスのある渋谷を歩いていても、週末に美術館へ出かけても、出張で地方都市に行っても。外国人の観光客を見かけない日はありません。 「インバウンド」「オーバーツーリズム」という言葉もすっかりお茶の間の言葉になりました。 最新の訪日外国人数は293万人(2024年8月)で、7カ月連続過去最高に。 アベノミクスの円安効果で観光客数が伸び始めた10年ほど前、インバウンドとビジネスというテーマで取材をしたことがあります。取材したのは、日本の家庭料理をつくる料理教室やサンリオピューロラ

PayPayアセットの退場に学ぶ、新NISAユーザーが忘れてはいけないこと

ピコ太郎でも誤ったセキュリティ対策でもない、PPAM問題がいま、静かに株クラ界隈で話題となっています。 PPAMとは、PayPayアセットマネジメント株式会社の略称。そのPPAMが昨週末、突如「事業終了のお知らせ」をリリースしたのです。 なんでも、PPAMは業績低迷により、2025年9月末に事業終了を予定。運用中の12本の投資信託は、それぞれ運用会社の変更もしくは繰上償還が行われるとのこと。 運用会社を変更する商品については、基本問題はありません。問題なのは、発行者都合

「ファーイースト」に違和感はありますか?

ファーイースト、ミドルイースト……。 先週、北欧に行ってきました。スタートアップや研究機関を回り、充実のプレゼンを聞いた後に、同席していたオランダ在住の日本人ジャーナリストが私に言いました。 「すごく面白い内容だったけど、ちょっと引っかかりますね」 それが冒頭の「ファーイースト」でした。日本を含む東アジアを指してプレゼンの中で何気なく使った言葉です。 ヨーロッパから見て最も東方にあるからファーイースト(極東)。これは差別的な表現だということで、ヨーロッパでは使わない方

Amazonの生成AIチャットの本命は「購入者」より「セラー」向け?

10月7日週、アメリカ・テネシー州ナッシュビルに出張し、アマゾンのグローバルイベント「Delivering the Future」に参加しました。 イベントでは、アマゾンの「ロボット倉庫」や「カスタム電気配送車」など、物流に関する新技術が披露され、注目の「生成AI」技術の活用にも触れられました。 基調講演をもとにした記事では、想像しやすい消費者向け「買い物アシスタント」のようなAIチャットボットを紹介しましたが、個人的に便利だと感じたのは「セラー向け」のサービスでした。

セカストでユニクロを見たときの「残念感」

って、ありますよね!? 「なんだよ、ユニクロかよ……」と、そっとつぶやきながら、さっとハンガーラックに差し戻すという。チッと、軽く舌打ちなんかしたりして。 なにせ、リユースショップとはいえ、いまやセカンドストリート(通称セカスト)のCMキャラクターは俳優の滝藤賢一。オジさんたちのファッションアイコンですよ。 そんな人気ブランドもお手頃な値段で買えるお店なら、なにももともと安い商品を買う必要はない。そう、思っちゃうんですよね——いつもは全身ユニクロなのに。 まさに犬も食

月間30GBになったahamoを、あえて「大盛り」にしてみた

筆者はNTTドコモのオンライン専用プラン「ahamo(アハモ)」を契約していますが、この10月1日から契約を大きく見直しました。 きっかけとなったのは、10月1日からahamoの月間のデータ通信量が20GBから30GBに変更されたことです。 「容量が1.5倍、お値段は据え置き」と言う今回の変更ですが、筆者が一番重宝している追加料金なしの「海外データ通信」の対象となるため、筆者にとっては重要なアップデートになります。 見直した点は2つ。1つはahamoのデータ容量をPCや

「アクティブファンドはやめとけ!」は本当か?

いやー、まあ、ぶっちゃけ「効率」だけを考えると、本当でしょう。 アクティブファンドはインデックスファンドに勝てない——。これは投資を少し真面目に勉強すれば、誰でもすぐに行き当たる定説です。 実際、コスト面でも、パフォーマンス面でも、機械的に株価指数と連動していくインデックスファンドはとても優秀。いつだって、納得感のある数字を叩き出してくれます。 でも、それでいいのか? 1年、2年、3年と、市場の荒波に揉まれているうちに、いつしかそんな疑問が芽生えていました。だって、そ

新しいNotion AIを試して便利だった機能

9月25日、スタートアップなどでも人気のドキュメンテーションツール「Notion」のAI機能がアップデートされました。 筆者も取材ノートや家の家電、ネットワーク情報をNotionで管理しており、今回アップデートされた「Notion AI」も課金して使用しています。 今回の目玉は、以前から予告されていたAIコネクターの「Googleドライブ」対応です。Notion AIに質問すると、Notion内だけでなく、連携したGoogle Workspaceのドキュメント、スプレッド

「友達のガムを黙って食べる」という衝撃

私が新卒で入った会社では、アメリカでプログラミング研修がありました。参加者の8割くらいはアメリカ人で、それ以外はヨーロッパや日本からの参加。その中に一人だけ、インド人の女性がいました。 ある講義のとき、私の友人(日本人)が机の上に置いていたガムをインド人のその女性が無言で取って食べ始めたのです。全く悪びれる様子もなく、まるで自分のガムだという雰囲気で。 印象的なエピソードだったのでずっと覚えていたのですが、この話には続きがあります。この夏、「利他」をテーマにした中島岳志先