コロナワクチン無料はなぜダメか
政府がコロナウィルスのワクチンの自己負担を全員無料にすることを検討していると言う。
一見異論がなさそうに見える政策だが、これは大いに疑問を感じる政策である。
ワクチンというものは決して打てば必ずその病気にかからないという効果を保障するものでもないし、副作用の心配もあるものである。コロナに対するワクチンはスピード重視な為、効果や安全性の追求が十分とは言えない。日本政府はワクチンの副作用への治療も負担するとしているが、現実的には生じた体調不良がワクチン接種によるものかを証明しきれないケースが多く出ることも考えられるだろう。
では、どうするべきか。
答えは明快だ。全ての国民にワクチン接種費用と同額の現金を配ればいい。10万円の特別定額給付金で一度配っているから今回はスピード感を持って給付ができるはずだ。
その上で、政府はワクチンを接種することもしないことも一人一人の意思に任せることをはっきりと明言する。ここが非常に重要なポイントだ。現行の案の様にワクチンの接種を無料とした場合、個人の意思等でワクチン接種を選択をしなかった人は単に金銭的に損をしたというだけでなく万が一コロナに感染した時になぜワクチンを接種しなかったのかと周囲に責められる可能性が出てくる。こういった光景をここ数ヶ月の自粛を強要される場面で私達は散々見てきたはずだ。
半年ほどコロナと向き合ってほぼはっきりしたことがある。とりあえず、社会が崩壊するほどにコロナの感染が大々的に広がることはかなり可能性が低い。これがもっと感染力も致死率も高い病気だったらもっと強制力も必要だが、どうもコロナは少なくとも日本ではそこまでの脅威ではない。なるべく多くの人が不確かなワクチンを接種するべきであるとは言い切れない。重症化リスクや感染しやすい環境にいるかなどを考えながら個人個人で選択していいはずだ。それでも感染はある程度抑制できる。もちろんどちらの選択に対しても自己責任を迫ることなく手厚く支援する。
私は福島第一原発事故を受けての避難をどうすべきだったかでも同じようなことを書いた。
コロナは社会を壊すほどには感染しない。もし社会を壊すとしたらコロナそのものよりもコロナで生じる不安によってだ。
これは東浩紀もよく指摘しているが、コロナ禍にあってリベラル、人権重視な人ほど感染防止の為の強権を望むという不思議な現象が起きている。
生活保護が食料引換券ではなく現金給付されるのは受給者の人権に配慮してだ。コロナのワクチン接種も同じように個人で選べるようにすることが人権に対する配慮だ。リベラルでこの政策をそのまま支持する人などいないと信じたい。
『イット・カムズ・アット・ナイト 』という未知の病原菌によって崩壊した社会を舞台としたホラー映画がある。この映画の直接の恐怖は感染症ではない。夜にやってくるのは疑心暗鬼からなる人間の狂気である。
コロナ禍の今こそ感染の不安に苛まれず個人の人権に目を向けるべきだ。
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