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「海が見える家」「海が見える家 それから」感想

2020年に読んだ本の中で一番好きです。
就職してすぐにリタイアして東京から南房総の田舎町に移り住んだ青年が土地の人たちと打ち解けながら生き方を見つめ直していく成長物語。
と言ってしまうとなんか地味な感じに見えるけど、おもしろくてぐいぐい引き込まれてしまった。
企業に与して労働を賃金に変えるだけだけが「働くこと」ではないのだなと気づかされました。
普段はあまり考えないけど、「やったことないことはできない」じゃなくて「調べてやれるようになる」ことが楽しいし重要なのだという。
サクセスストーリー的な面もあると思う。

登場人物がみんな魅力的なんですよね。
最初はとっつきにくかった和海さんと凪子ちゃんとか、クセがありそうな幸吉さんや彰男さんみたいな人たちと親しくなっていく様子は気持ちよさすらある。
そして、館山に別荘を構える人たちには単純に憧れる。
寺島さんみたいな渋い大人になりたいものです。
船苦手だけど。

ただ、お姉ちゃんのことはとても残念です。
雑貨屋さんをしながら同居するようになって、続編では姉弟ドタバタ日常を見られると思ってたので……(そういう話じゃない)
家から出て行ってしまったのはいいけど、ほぼ家族としての縁が切れてしまったのがとても淋しいです。
というかそれだけ文哉にとって母親の存在が遠いものなんだと思うけど。
そりゃそうだよね、父の遺したものより母親との暮らしを選んだんだから、今までのような仲のいい姉弟ではいられないと思います。

冒頭で「生き方を見つめ直していく」と書きましたが、自分のこれからの生き方と同時に父の今までの生き方を見つめる物語ですね。
ビーチコーミングに自然農法にサーフィン、この作品には色々な影響を受けました。
ビーチコーミングは3回行き、家庭菜園は私もやっているので雑草の活用は取り入れてみたいです。
サーフィンは実践できなさそうですが、部屋に飾るレプリカのサーフボードを探している最中です。
海なし県民の辛いところです。
自由に出かけられるようになったら南房総へ貝を拾いに行きたいです。

「人生をおもしろくしようとしているか」
この先もずっと自分に問いかけていきたい言葉です。

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