語彙がおっかない

高学年の授業にて「残虐」の「虐」の字が難しい、みたいな雑談になった。
すると一人の子が「ギャクサツの虐?」と聞いてきた。
その時は特に気にも留めず、「そうそう。虐殺の虐ね。日本史とか世界史とかやるようになったら割と見かけることがあると思うよ。」なんて軽く返した。

その後、二字熟語の種類の話をしている際には、
「不・無・非・未がつく、打ち消しの二字熟語何かあるかな?」と聞くと、

「無能」

と返ってきた。これは、たぶんだけど、ひろゆきボキャブラリー。

「小鳥=小さな鳥、急変=急に変わる、みたいに上が下を修飾している二字熟語あるかな?」と聞くと、

「最低」

と返ってきた。そのあと「最弱」とも言っていた。最高でも最強でもいいだろうに。

「着席=席に着く、作文=文を作る、みたいな下から上に読む二字熟語あるかな?」と聞くと、

「殺人」

と返ってきた。

語彙が物騒だなおい。

と思わずツッコんでしまった。彼の名誉のために言っておくが、彼は軽はずみに人を傷つけたりするような子ではない。私がツッコむことも分かった上でボケとして言っているのだ。ブラックジョークさ。hahaha.

そしてこの話の本質は語彙のおっかなさではなく、私の問いに対する回答の素早さなのだ。しかも、最高や最強の方が先に出てきてもおかしくないのをあえて物騒な方に変換して、それでも誰よりも早く発言するのだからすごい。

「最低」を繰り出したときも、その場にいる全員が「上が下を修飾しているもの…ん〜…」と考え込んでいるところにスパーンと差し込むだけでなく、「最低・最弱・最悪・最小…」と「最も〇〇」のパターンでいっぱい出せるよという道筋を示してくれた。

二字熟語というあまりにも広い言の葉の庭にスパーンと楔を打ちつけた彼に敬服した、そんな授業だった。

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