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140.(84/365) 吉野旅1。

春休みになった。
ポカポカ陽気につられて、どこかに出かけたい欲求がむくむくと湧き上がってくる。
そこで、大好きな奈良の吉野へ桜を見に行くことにした。
吉野の知人に連絡してみると、早朝であれば、車の規制なく、上まで上がれるとのこと。
金曜日の夕方に自宅を出発して、ご飯を食べ、吉野山近くのゲストハウスに前泊することにした。
翌朝、車で吉野山へ行き、朝一に桜を見て、帰ってきてそのまま仕事に行くというなかなかのハードスケジュール。
昨日同僚にその話をすると、「何ちゅうスケジュールや。」と引かれた。
気にしない。
吉野に行くと、なぜかワクワクしてしまう。
それがなぜなのか、自分でもあまりよくわかっていない。
何度行っても、また惹かれてしまう魅力が吉野にはあるなと思う。
今回、直前にお宿を探したため、なかなか空いているところが見つからなかった。
知人の紹介してくれたお宿も全部いっぱい。
あきらめかけていたその時、Googleマップでたまたま見つけたところが奇跡的に空いていた。
すぐに予約した。
その名も「三奇楼」。
いや、今改めてお宿の名前を読み返して思う。
不思議で素敵ないい名前。
どうして「三」なのか?
「奇」って奇妙?奇天烈?どういう意味やろ。
「楼」は「さくら」かな?「蜃気楼」の「楼」も「さくら」やなあ。
お宿には、夜の9時頃到着した。
駐車場に車を止めて、外に出ると、当たりは真っ暗。
目の前には、吉野川が豊かな水を湛えて、暗闇の中をゆっくりと流れている音がした。
吉野川に背を向けて建物の方を見ると、入り口がどこか分からない。
かすかに漏れている灯りを頼りに、あてずっぽうで進む。
民家の間の細い抜け道を進んでいると、ちょっとした冒険をしているようでワクワクしてくる。

これは翌朝撮った写真。

細道を抜けると、少し開けた住宅地の道路に出た。
左手に目指すお宿はあった。

これも翌朝の写真。

とっても雰囲気のある佇まい。
右手には蔵がどーんと建っていた。
門をくぐると、蔵からはジャズが流れてくる。
かなりの音量で、生演奏をしているように聞こえた。
ひょっとすると、誰かがライブをしているのかもしれない、と思った。
蔵に後ろ髪を引かれつつ、お宿の入り口を探してい歩いて行くと、入り口を見つけた。
鍵が閉まっていたので、ピンポンを押すと、「はーい」と遠くから誰かの応答が聞こえてきた。
少しして、お宿のオーナーが笑顔で出迎えてくれた。
聞くと、「今日は、宿泊がにょんさんたちだけなんで、好きに使って下さいね。」とのこと。
この「三奇楼」、もとは料亭旅館だったところを改装して、宿泊施設にしているそう。

翌朝発見。
2階から下を見て。
朝もやで煙る吉野山もまたステキ。
さりげなく三奇楼のオーナー、南さんのイラスト入りトートバッグ。かわいい。
今でも使ってるのかなー。
木の暖かみがほっこりさせてくれる。

お宿の説明を一通り聞いてチェックインが済んだタイミングで、気になっていた蔵のことを聞いてみた。
そしたら、「行ってみます?」と行って、案内してくれた。
聞くと、月に1回蔵を貸し出して、BARをしているとのこと。
最高やないですか。
そして、月1回のタイミングでここに泊まることになるという強運。
やっぱり吉野に呼ばれている気がする。
この日はスパイスカレー屋さんが開いているという。
晩御飯に焼肉をいっぱい食べて満腹だったから、アルコールを飲めればいいなあと思って蔵に入った途端に、めちゃくちゃおいしそうなスパイスの香り。
気づいたときには、スパイスカレーを注文していた。
そして、ぺろりと食べれてしまうんだから、罪なカレーだ。
まじでうまかった。

チキン&野菜カレー。一度で二度楽しめるなんて反則。
おしゃれな店内1
おしゃれな店内2

もうほんっとにステキな空間で、ずっといてたいなあって思ってしまった。
カレー屋のご主人がまためちゃくちゃ面白い人で、絵描きさんで、ヒマラヤに5年ぐらい住んでいて、レゲエバンドやってて…とパワーエピソードが多すぎて、いくら話しても話し足りない感じだった。
来月は「山菜天ぷらBAR」をするというので、これまた面白すぎる。
久慈砂鉄鍋という厚さ1cmにもなる鍋で揚げるらしい。
面白いに決まってるやん、そんなん。
即、来月も来ようと決めた。

他にもステキなところがたくさんあって、書きたい気持ちもあるけれど、同時に、あの何とも言えないステキさは、言葉では伝えきれないなとも思う。
昔、「今日のできごと」という映画が好きだった。
行定勲監督で、妻夫木聡や田中麗奈が出演していた映画だ。
京都の町屋で大学生たちが過ごす一晩を描いているのだけれど、その映画の醸し出す雰囲気と、この日三奇楼で過ごした雰囲気が何だかとても重なるのだ。
この日食べたスパイスカレーのように、「うまい!」と言葉では言えるけれど、それを構成する要素が多様で複雑に絡み合っていて、一つ「これが良さ!」と一言で言えるものが見つからない感じ。
でも行けばきっとその感覚は分かると思う。
そんな場所だった。

全然吉野の桜にたどり着けないから、一旦ここで終わる。笑

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