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僕がやった小賢しさ その1

40歳が目前となったころ、単に知り合いの知り合いを頼って今で言うIT会社に転職した。

僕は無職になる前の会社以外は、自分のコネで転職・転社を繰り返すことでサラリーマン(厚生年金)を続けることができた。今から思えば強運だったと思う。

さてそのIT会社に入社するまえに、当然ながら社長を前にして面接を受けた。
その中の話で、社長が自分は午前7時前には出社していると言った。
僕は嘘だろうと思った。だって、社長や役員は昼前に出社するのが僕のイメージだったからだ。

明日はいよいよ初出勤という日の朝7時前、僕は会社の入っているビルを見上げていた。
なるほど、オフィスがある階の明かりがついている。社長の朝7時前出社というのは本当のようだ。
当然、翌日の初出勤は僕も午前7時に会社の扉を開けた。

その会社での仕事は営業だった。個人・法人を問わず、まずはパソコン1式でも売ってみろというわけだ。
そのころ、営業という仕事も何かいりませんか?の御用聞き営業ではなく、システムを提案する営業の時代だとマスコミで言われだしていた。
いわゆる企画が大事だということで、僕も自分の机に企画に関する啓発本を数冊置いた。
もちろん、社長の目にとまるであろうことを期待してだ。

そして何日かした午前7時過ぎ、社長が僕に言った。
「おいは、出勤ラッシュの渋滞がいやで早めに会社に来とるけど、あんたまで真似せんちゃよかよ」
「ところであんた、本はよう読むとね?」

こうして僕は、社長と仲良くなった。
こうなると社長の取り巻きも僕のことを気にするようになった。
ある日、常務が僕に聞いてきた。
「あんた、今の給料で生活は大丈夫ね?」
「いやぁ、正直きつかですよ」

翌月からの給料は3万円アップしてた。

1回の投げ銭で、10匹の猫たちが喜びます。^^V