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「質問のスキル」あれこれ

営業には傾聴と共感、とよく言いますが、傾聴と共感をするにはお客さまが話をしてくれないと始まりません。それを引き出すのが「質問のスキル」です。

売れる営業パーソンと売れない営業パーソンの差は商談場面での、この『質問のスキル』に表れます。これはコミュニケーションのセンスではなく、質問の方法を知っているか、知らないかだけの違いによるものです。誰でも学べば出来ます。

いくつかの質問法を整理しておきましょう。

事実を知る質問・感情を知る質問

【事実を知る質問】
ニーズ喚起に繋げる情報収集のための質問です。
誰が、何を、いつ、どこに(で)、どのように、どちらに、など5W1Hを基本とします。
【感情を知る質問】
感情に焦点を当てて願望・要求、つまりニーズを引き出す質問です。
・・・と感じますか
・・・とお思いですか
・・・をお望みですか
・第三者は○○と言っています。どう思われますか? など。

SPIN式質問法

次の4つの単語の頭文字です。
【Situation】
お客さまの置かれている状況を理解する質問です。
(例)
・人員数、売上目標と売上高の差、自社商品を販売するために取っているプロセスはどのような状況ですか? 

【Problem】
起こっている問題を明らかにし、理解する(認識してもらう)質問です。
(例)
・その状況について上司の方や経営者の皆様はどう考えておられますか?
・またその結果、誰にどんな影響が出るとお考えですか?

【Implication】
その問題がどれだけ重要かを理解する(認識してもらう)質問です。
(例)
・その状況を放置すると、どのような状態になることが予想されますか?

【Need payoff】
解決された状態、目指す状態を理解する(認識してもらう)質問です。
(例)
・上記の問題に対して、これまでの対応策をお聞かせいただけませんか?
・重要な問題だと考えます。何か対処が必要だと思いますがいかがでしょうか?
・弊社のサービスでは、こういう解決が可能ですが、どうお感じになりますか?

確認法

(例)
1点確認させていただきたいのですが、現在のコストに課題感といったものはお持ちでしょうか?

鎌かけ法

(例)
大企業から中堅企業まで地震などの自然災害やサイバー攻撃にはその対策に多くのコストをかけられるようになりました。御社でもその点は十分対応されていらっしゃるかと思います。そのあたりを参考までに教えていただけませんか?

択一法

(例)
御社は国内外の拠点のコストやリスクの管理をご本社で集約して管理することを志向されていますか?それとも現場主義、現場自主経営で現地にお任せになるスタンスでしょうか。

小さな同意獲得法

(例)
(何かの紹介や説明の後)「この点に関して、貴社の同業他社に対応事例がございまして次回お持ちしますがいかがでしょうか」に対しての、お客さまからの「はい、お願いします」という同意を得る。

大切な「質問後の裏取り」

色々な質問法を駆使してお客さまから貴重な情報や意図、スタンスを聞き出せたのに、こちらの提案に対してお客さま側の検討が止まってしまっているらしい・・・。こんなことはないでしょうか。

これは、お客さまの言っていたことが「事実ではない」、つまり
そのご当人にとっては事実・本当でも、会社の立場では違った、ということがあるということを示しています。

こういう状況を回避するためには、質問に対する回答が、事実なのか、個人的な意見なのか、単なる推測なのかという「裏付け」を取っておく必要があります。記者の取材や刑事モノのドラマでよく「裏を取る」という言葉が使われますが、売れる営業パーソンが行っている情報収集やお客さまの課題の抽出とは、ヒアリングというよりこの「裏を取る」行為に近いと言えます。

具体的には、直接的に「裏付け」を取る方法間接的に「裏付け」を取る方法とがあります。

直接的な方法として最も使われるのが、先に紹介した確認法で、「1点、確認なのですが、今、**様がおっしゃったお話はすでに中期経営計画などの貴社の計画に織り込み済みなのでしょうか?」といったような聞きになります。

間接的な方法としては、お客さまの別の部署の人やステークホルダーに尋ねる中で事の真偽を明らかにしていく方法になるでしょう。




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