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【エッセイ】スッポンを食す

数年前から家でスッポン鍋をするようになった。

京都では「まる鍋」と呼ばれる。理由は写真の通り”丸い”から。

これは僕が家の鍋で実際に作ったやつで、「まる」(甲羅)も丸ごと入っているが、これもちゃんと食べれる。外側、「へり」の部分だけね。ここはコラーゲン質のようにプルプル柔らかい。一見すると甲羅や内臓をむしゃむしゃ食ってる私の絵ヅラは暴走したエヴァ参号機。

すっぽんは肝やら腸やら心臓やら、基本全部食べられる。食べられないのは骨と頭ぐらい?(もはや何を食べているのわからなくなるけど。笑)

もちろん生き血も飲む。

僕は「冷え性→血の巡り悪め→鉄分が必要」な人なので、生き血は大変有難い。

見た目は真っ赤でも基本はお酒で割って飲む。日本酒で割れば日本酒の味になるし、ウォッカのような蒸留酒で割ったりする店もあるらしい。
僕はこの「生き血ざけ」も大好きでするする飲む絵ヅラはもはや東洋のヴァンパイア。

ちなみに「食べたことがない」という方が意外に多いので説明しておくと、まる鍋は基本、その「身」を楽しむというより「出汁(エキス)」を楽しむ食べ物。よって具材は淡白め。豆腐。エノキ。白菜。白葱。くらいあれば十分。あとは米か麺かマロニーさえあれば、最後の一滴まで吸い干せる。

炊くときに調理酒をバンバン入れるので、臭みもなく(ないように仕立てる)、見た目によらず、意外とクセないアッサリめ出汁。

こうして亀を食べていると、北大路魯山人を思い出す。
あの人は「美食家」として何でも食したらしく、最期はタニシをなんとか美味しく食べようとして、寄生虫でお亡くなりになったんだとか。その執念ったら!

昔の人もよく亀を食べようと思ったなぁ、と思う。クサガメとかミドリガメとかウミガメとか色々試したんだろうか?きっと不味いどころか、腹を下した人もいたろうに。その上で「すっぽんは旨い!」と発見したのだろうか?

中国では古来、自分にない能力を、その生物を食べることでその能力まで得ようとしたそうだ。だから燕の巣でもコウモリでも熊の手でも"なんでも食べる"というイメージがついた?『亀は万年』だし、亀を食せば長生きできると信じたのだろうか?

すっぽんなんか特に獰猛で、噛みつかれたらひとたまりもない。それなのに、初めて食べようとした人は、本当に凄いと思う。逆にその獰猛な力をも自分の力にしようとしたのか??

まる鍋を食べたら最初に亀を食べた人は凄いなと思うし、麦酒を飲んだら麦酒を世界で初めて発明した人は凄いなと思う。

さて、万年も生きたら何して暮らそう…次は鶴を食べようか?誰か鶴を食べる民はおらんのかな?

ちなみに夏のすっぽんは行動的になるのか、味はあっさりめ。冬のすっぽんは冬眠前なのか、味はしっかりめに出る。最近発見した。

クスっと笑えたら100円!(笑)そんなおみくじみたいな言霊を発信していけたらと思っています。サポートいつでもお待ちしております。