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12月は依存症者にはしんどい時期だったりする

早いもので12月も2/3が終わろうとしています。
12月はなぜか早く過ぎていくように感じますね。
この12月はクレプトマニア(窃盗症)を含む依存症の人にとって、しんどい時期なんです。

12月はいろんな方面から誘惑が攻めてくるからです。

12月は罠がいっぱい

依存行為に走りやすい状況を示す言葉に「HALT(ハルト)」というものがあります。
HALTとは、H…hungry(空腹)・A…angry(怒り)・L…loneliness(孤独)・T…tiredness(疲労)の頭文字をつなげたものです。

お腹が空いていたり、怒ってイラついていたり、孤独感を感じていたり、疲れがたまっていたりすると、依存行為に走りやすいということです。

アルコール依存のなら再飲酒、薬物なら再使用、クレプトマニアなら再犯です。

12月はこの状況に追い込まれることが起こりやすい時期です。

年末は仕事が忙しくなりがち

慌ただしい年末、仕事が忙しくなる人も多いでしょう。
仕事が思うようにはかどらずイライラ、そして身体は疲労困憊。
さらに週末は大掃除もしないと…、というような状況は「怒り」や「疲労」を強めます。

さらに残業して疲れた仕事帰りの時間に「空腹」が重なったりすると、本当に危険です。

街が華やかになる一方で

12月となるとあちこちにクリスマスイルミネーションが出現するなど、街が華やかになります。
また、同窓会や忘年会などで楽しそうにしているグループを見かけることも多くなります。

街の華やかな様子は、一方で孤独感を強めることとなります
いつもなら特に何も感じない一人の時間も、にぎやかな様子と対比することで「孤独感」を生み出してしまうことがあります。

忘年会の席で

アルコール依存の人にとっては、忘年会は鬼門でしょう。
周囲の人はお酒を飲んで盛り上がっているのに、自分はガマンしないといけません。

さらに、いつもなら一緒になることがないような人とも接するのが忘年会。
そんな人と一緒の席になればお酒を勧められることもあります

わたしの依存行為は万引きなので、周囲から勧められることはありませんが、飲酒は周囲から勧められることがあるのでガマンするのが大変。
しかも、勧めてくる方は悪気がないわけですから本当にきついと思います。

ボーナスはうれしいけど

12月にはボーナスを手にする人も多いと思います。
お金が手元にあるということが依存行為への誘惑になってしまう人たちがいます。
また、ボーナスというのがご褒美的な意味合いがあるので、気持ちが大きくなりがちです。
その結果、「ボーナスも出たし、ちょっとくらいいいか」という気持ちになりやすいのです。

「お金もあるし、ちょっとくらいお酒飲んでもいいかな」というアルコールへの誘惑。
「手元にお金があるから、スロットやっちゃおう」というギャンブルへの誘惑。
「ボーナスも出たし、セールもやってるしいっぱい買い物しちゃえ」という買い物依存への誘惑。

誘惑だらけなんです。

商品が山積み

クレプトマニアにとっても、12月は再犯の要注意時期です。

クリスマスやお正月が近づくと、いろんなところでセールや大売り出しをやっていて、商品が山積みになっていることがあります。
店先に無防備に商品が並んでいるなんてこともよくあります。

これは、クレプトマニアにとっては「そそられる」シチュエーションと言えます。
「こんな商品の並べ方しているのだから、盗られるお店が悪いんだ」などという誤った自己正当化理論を並べて、万引きしてしまうということが起こりやすいのです。

厚着は危険

冬になりコートやジャケットなどの厚着をしていることも、クレプトマニアにとっては要注意のシチュエーションです。
ポケットが多いのに加え、厚着であるがゆえに多少ポケットが膨らんでも目立ちにくく、モノを隠しやすいため「万引きがしやすい」状況なのです。

そもそも、「万引きができそう」と思ってしまう思考回路自体が問題なのですが、できあがっている思考回路にスイッチを入れない努力している人にとって、そそるシチュエーションはとても危険なんです。

合わせ技で誘惑が攻めてくる

依存行為に走ってしまうときは、複数の要因が折り重なって我慢しきれなくなってしまうことが多いです。

12月はHALTと言われるような本人の要因に加えて、周囲の状況による誘惑が増えることで、依存行為が誘発されやすくなるのです。

依存症は回復はあっても完治はないと言われています。
いつ、依存行為へのスイッチが入ってしまうかわかりません。
スイッチを入れないようにするにはどうすればよいのか、日々試行錯誤しながら過ごす毎日です。

こんなことを考えながら、12月を過ごしている人もいるんだよということを知っていただきたく、文章にしてみました。


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