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Hey Siri

Googleマップに行き先を入力するだけで、一番近いルートを検出して案内してくれる。

なんて便利な世の中になったものか。iPhoneと書いてドラえもんと呼びたい、愛を込めて。

私が上京した10年ちょい前には考えられない。新宿駅で地上に出るたび景色が違う!と、何時間も巨大迷路のような駅構内で迷子になった不毛な時間は何だったのだろう。

池袋に至っては東西武で西東武。もう、ワケがわからない。

だが、もう、時代が私に微笑んだ。

そんなのもヘイ!シリ!!!と呼びつけるだけで解決だ。この昭和生まれの古き良き時代の女を自称する私には、大変ハードルが高い作業なのだが、背に腹は変えられない。私はゾロも真っ青の方向音痴だ。byワンピース

あーあ、この召喚呪文、好きな文言に変えられないものか。

昔、マクドナルドでバイトをした時、言うように強制された「ダブチ、プリーズ!!」(訳:ダブルチーズバーガーをお願いします)並みにこっぱずかしい。横文字はやはり未だにお尻がムズムズする。

クリーミィマミでは「キャノ」って言ってた。私も、もう10年若ければそんな感じのポップでキャッチーなのがいい。が、アラフォーも見えてきた今、もう少し落ち着いた大人の上品な感じがいいだろう。

「シリさん、お越しください」は、どうだろうか。

・・・それこそ昭和のこっくりさんでも呼び出すような、アングラの匂いしかしないね。難しいね、自分の身の丈に合う呪文を考えるのって。呪文を考える瞬間が、自分の人生の中で一瞬でもやってくるだなんて上京した頃は思ってもみなかった。

今の私は、上京した頃に思ってもみなかったことだらけの中で生活をしている。

だって、そうじゃないか。今日私は、息子くんとお散歩をして美味しいケーキ屋さんへGoogleマップで連れて行ってもらったよという話をしたかっただけなのだ。召喚呪文ってなんだ、いい年して。ワールド・ワイド・ウェブへ向かって、何をぼやいとるんだ、私は。

息子を持っていることだって、思ってもみなかったことの一つだ。

こんな大人になっちまっていることだって、思ってもみなかったことの一つだ。

#日記 #エッセイ #iPhone #siri

※これ以降の文章はありません、以上です。愛猫の鳥ささみ代投げ銭を歓迎しております。

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