詩:夜来るもの

夜明け前
何かが私の元へ やって来る
したしたと 湿った足取りで
微睡まどろみと 目醒めの狭間へ
冬の布団に潜り込む猫みたいに滑り込んで来る

そして 何かは

食べた後 奇妙な夢を見させると言うチーズの様に
奇怪な記録レコードを 私の脳に 刻んでいく

それを辿たどっては いけない
悪夢になって しまうから

それを拒むのも いけない
何かは マレビト なのだから

何もしなければ 何かは 目醒めの前に静かに立ち去って行く
その記録レコードも いつしか 記憶の底に沈んで行く

目が覚めたら 何もない

何もない

何も ない

何も

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