見出し画像

詩:記憶 20170723 K.K

REC.1
最初に好きになったのは声でした
決して大きくはないけれど
あなたの声は私の深い所まで届きました
私はブランデーグラスのように
永いことその香りを内側で巡らせていました

REC.2
あなたは浜辺を歩くのが好きで
私は公園のベンチに座っているのが好きでした
海辺の公園のベンチに腰掛け
あなたが波打ち際で
何か見つけては喜んでいるのを眺めているのは楽しかった

REC.3
あなたを遠くに感じるようになったのはいつからでしょう
あなたが足元ばかりを見ていたからでしょうか
私が一緒に歩かなかったからでしょうか
あなたの声が私の表層を流れて行くようになったのは
私の深い所がひび割れてしまったからでしょうか

REC.4
あなたは本当に遠くなってしまいました
私はさよならも言えませんでした
きちんと終わりにしなかった事を後悔しています
私の中の公園で私は一人座り続けていて
あなたは浜辺で何かを探し続けているのです

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?