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「ファミコンバカ」と呼ばれた5歳児は今でもゲームをしている (9)

前回はこちら ⇒ https://note.com/you1293/n/n0eec1e43e0b2
まとめ ⇒ https://note.com/you1293/m/mf3a3e862c18b

父親が買ってきた「ファミリーコンピュータマガジン」には、まだ見ぬステージがその攻略法とともに載っていた。

それにはそれまで「冒険しているだけで楽しい」と感じていた幼稚園児を奮い立たせ、「ピーチ姫を助けたい」という目標を抱かせるのに十分な魅力があった。

僕は「スーパーマリオブラザーズ」のカセットの裏に、絶対クリアしてやる、という決意表明として、「8-4」の文字を名前とともに書き込んだ。

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攻略情報によると、ワールド8-4までの最短ルートは1-2からワールド4へワープし、4-2からワールド8へワープするというもの。

果てしない8-4という旅路が、少しだけ近くなったような気がした。

1-2のワープゾーンはすでに子どもたちの間でも有名だったが、4-2のワープゾーンは知られておらず、「バイブル」片手にまだ見ぬワープゾーンを目指す。

4-1では強敵ジュゲムが登場し、頭上から容赦なくパイポの雨を降らせてくる。その雨は地面でトゲゾーに変わり、僕の行く手を幾度となく阻んだ。

それまで、Bダッシュは一部の高い場所に登る時(主にキンタマリオ使用時)にだけ使っていた僕は、走り続けることでパイポの雨を振り切れることを父との共同研究で編み出した。

今ではすっかり指に染み付いて離れない「基本的にBダッシュ」はこの時に身についた。Bボタンを常に腹で押しながら、指の関節あたりでAボタンを押す。

父がいとも簡単にやってのけるこの操作も、指の小さな僕にとっては、ギターのFコードと同じくらいの難易度。関節どころか指の付け根くらいでAボタンを押すしかなかった。
何度もクリボーにやられながら必死に練習し、なんとかできるようになった時には生まれてはじめてのゲーム豆ができていた。

もし、4-1にジュゲムがいなかったら、僕のマリオは今でも歩き続け、Aボタンを親指の腹で押していたかもしれない。

4-1を走り抜け、辿り着いた4-2。
若干のパズルめいた隠しブロックを順番に叩き、豆の木を出現させる。

地下から地上へ。自然と期待に胸が膨らむ。

コインそっちのけで進んだキノコゾーンの先、6, 7, 8と並んだ数字が目に飛び込んでくる。

もちろん選ぶのは「8」の土管だ。
この土管に入れば、もうピーチ姫は目前。

ゾッゾッゾッ…


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だがこの時僕はまだ知らなかった。
最終ワールド8の恐ろしさを。

ここからが、本当の「スーパーなマリオ」だということを。


(つづきます)


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