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「誠実なクズ」としてのポリアモリー

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お互い合意の上で複数の人と同時に恋人的な関係を持つ「ポリアモリー」をパワポを使って紐解いています。
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#LGBT

「普通に考えたら」って言うのはマジョリティハラスメントだよ、って話。

「多様性を認めよう」 というセリフが嫌いだ。 別に認めなくていい。ただ「そこにある」という事実だけ認識すればいい。それ以上でも、それ以下でもない。 「認めよう」なんてスタンスは驕りだ。 自分がマジョリティ側にいると認識した上で「マイノリティー側も認めてあげよう」という姿勢が透けて見える。 「お互いに認め合おう」ならわかる。 マジョリティもマイノリティを認め、マイノリティもまたマジョリティを認める。それは両者に必要なスタンスだ。 ただこの世界はどうしても多数派が強

マジョリティは、マイノリティをナチュラルに搾取しているかもしれない。という少し怖い話。

あなたはポリアモリーという言葉を知っているだろうか? 「複数恋愛」や「複数愛」と訳されることが多く、 ・お互いに合意の上で ・複数の人と ・同時に ・性愛関係を築く ・ライフスタイル のことだ。 最近はテレビや雑誌で特集されることも増えてきた。 私自身も兼ねてから、日経COMEMOのキーオピニオンリーダーとしてポリアモリーについて発信してきた。 当然、批判されることも多い 批判のパターンもいくつかあるが、特に私のような男性の立場からポリアモリーを発信すると「それ

「結婚している」からと言って「1対1の恋愛を望んでいる」とは限らない。パワポで考える関係様式と、関係指向の話。

「性的指向」という言葉を耳にすることが増えた。 これまでは男性は女性が好きなもので、女性は男性が好きなもので、それがスタンダードで、それが当たり前とされていた。 しかし「ダイバーシティ」という言葉が世間に定着して以来、それは当たり前ではなく、人それぞれ違うことが当たり前になった。 性的指向(Sexual Orientation)とは、どの性別の人に性的に惹かれるか(または惹かれないか)という指向のことを表す。 ちなみに「指向」とはその人が持つ「考え方の方向性」のことで

フェミニズムとミソジニーの議論をパワポで考えていたら「無意識の既得権益」が見えてきた。(後編)

前回の記事では「射精責任」という書籍の発売をめぐって起きている論争をきっかけに、思考のフレームを整理した。 その結果「◯◯で得をした or 損をした」という経験を拡げようとした場合に軋轢が生まれやすいこと。特に「得をした」という経験を拡大させる場合、得の上限によっては抵抗勢力が生まれやすく、それは同時に「無意識の既得権益」が顕在化するトリガーである、という話を書いた。 後編では、この「無意識の既得権益」について、また既得権益の逆の概念(生まれ持った損)やミソジニーについて

フェミニズムとミソジニーの議論をパワポで考えていたら「無意識の既得権益」が見えてきた。(前編)

「射精責任」というタイトルの本が出るらしい。 まだ中身はわからないが、なかなか刺激的なタイトルなので、Twitterでは発売前から物議を醸している。 「受精責任もあるだろ!」 という男性からの批判が多いが、今回の件に限らず、この手の議論はよく見かける。 女性だけが損をしている 男性だけが得をしている もしくは 女性だけが得をしている 男性だけが損をしている こんな対立構造で語られることが多いこれらのジェンダー議論だが、 「男女共に得をできたらいいよね」 もし

不動産契約のダイバーシティ。

友人が珍しく悩んでいた。 原因はシェアハウスだ。 と言っても、友人はシェアハウスに住んでいるわけではない。 シェアハウスの経営をはじめたのだ。 悩みの種は、とある契約書だった。 友人はシェアハウスの入居者を募集するため、募集サービスや、他のシェアハウスグループとの提携を模索していた。 しかし、その一企業から提示された契約書にある「とある項目」が引っかかった。 その内容とは というものだ。 一見すると「何が引っかかるんだろう」と思ってしまうこの項目。 僕も最初は

「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」と「リレーションシップ・アナーキー」はバンド名じゃないけど、パンクロックな気がする。

ポリアモリーを知ってから色んな価値観がひっくり返された。 でも、ひっくり返った価値観で生活をしてみると「むしろ、こっちが表だったじゃないか」と思うことがよくある。 ロマンティック・ラブ・イデオロギー と リレーションシップ・アナーキー この「2つの言葉」もそれをよく表している。 今日はそんな話。 ポリアモリーとは、お互い合意の上で複数の人と同時に恋人的な関係を築く恋愛スタイル。対義語はモノアモリー(恋人は一人という価値観)。過去のシリーズはこちら。 ◾️現代価値観への

同じポリアモリーでもこれだけ違う。

ポリアモリーについて話し合うポリーラウンジに参加してきた。ずっと興味はあったものの、正直「秘密結社みたいで、なんか怖い」と思っていたこのイベント。 今日はそんなポリーラウンジの概要と、そこで得た新たな発見についての第一弾。 ポリアモリーとは、お互い合意の上で複数の人と同時に恋人的な関係を築く恋愛スタイル。対義語はモノアモリー(恋人は一人という価値観)。 過去のシリーズはこちら。 ■わからなくなったのは、理解が深まった証拠まず概要だが、ポリーラウンジとは有志で集まった「ポリ

「好き」から余計な意味を抜いていく。ポリアモリーの恋人ランキング構造。

複数人とお互い合意の上で恋人的な関係を築く「ポリアモリー」だが、この話をすると「好き」という気持ちについて聞かれることが多い。 そこで、今日はモノアモリーからポリアモリーへとスタンスを変えたことで起こった「好き」の変化について考えてみた。 ポリアモリーとは、お互い合意の上で複数の人と同時に恋人的な関係を築く恋愛スタイル。対義語はモノアモリー(「恋人は一人」という価値観)。過去のシリーズはこちら。 ■「好き」にまつわる暗黙のルール恋愛関係になり得る誰かに「好きだよ」

部分肯定がいちばんズルい。ポリアモリーを公言した後の3つの反応。

ポリアモリーを公言して約3ヶ月。 「小島はどこへ向かっているんだ」なんて揶揄されたりもするが、僕のポリアモリー話に対する周囲の反応は大きく3つにわかれる。 1.肯定派  2.部分肯定(否定)派  3.否定派  まず、肯定派と否定派どっちもあっていい。 ただ割合として意外と多いのが部分肯定(否定)派だったりする。 部分肯定(否定)派の意見はこうだ。 「ポリアモリーは認めるけど、それを言い訳に利用する人は認めない」わかる。彼ら彼女らが言わんとしていることはわかる気

ポリアモリーな5年間で考えたことを振り返る。

ポリアモリーという生き方がある。 ・両者合意の上で ・複数の人と ・同時に ・恋人的な関係を持つ ・ライフスタイル のこと。 一般的な認知率は5%。 僕がそのライフスタイルを取り入れたのは5年前。 ポリアモリーをはじめて考えたこと、悩んだことは、その都度 note のマガジン「誠実なクズとしてのポリアモリー」にまとめてきた。 最初はもちろん恋愛にまつわる考えや悩みだったが、議題は徐々に変化。 ・ジェンダーの話 ・関係性の話 ・世界の話 ・歴史の話 ・政治の話 ・

性別だけじゃない。関係性だってグラデーションだ。

僕がはじめてLGBTの概念を知った時、印象に残ったのはこの図だ。 恥ずかしながら、それまで性別とは男女の2択だと思っていた。それが一気に6倍にもなるなんて思いもしなかった。 赤か青かじゃない、性別はグラデーション。LGBTの象徴である虹色にはそんな意味も込められている、という話を聞いてさらに腑に落ちた。 このマガジンのテーマである「ポリアモリー」はよくLGBTと比較される。LGBTとポリアモリーはまったく別の話だが、共通する点があるとすればこの「グラデーション」であると

西野カナとNIKEの決定的な違い。

僕も参加予定の福岡で開催されるポリーラウンジ(ポリアモリーについての座談会)に福岡大学の鈴木准教授も参加すると聞いて、著書を読んでみた。 とても興味深かったので、今日はその話を短めに。 ちなみにポリアモリーとはお互い合意の上で複数の人と同時に恋人的な関係を築く恋愛スタイル。対義語はモノアモリー(恋人は一人という価値観)。過去のシリーズはこちら。 ■トリセツはガラパゴス化した日本恋愛の象徴恋愛に対する価値観の変遷をわかりやすくユニークな視点で紐解くこの本(オススメです)。そ

ガマンを愛情に変換する社会。

「子どもがかわいそう」 離婚した時、 ポリアモリーを公言した時、 何度かこの言葉をかけられた。 ただこの言葉にはずっと違和感があって、その感覚について考えていたら、意外な構造が見えてきた。 今日はそんな話。 ポリアモリーとはお互い合意の上で複数の人と同時に恋人的な関係を築く恋愛スタイル。対義語はモノアモリー。過去のシリーズはこちら。 ■ガマンの基本構造「子どもがかわいそう」発言には含みがある。 「子どもがかわいそう(だから、子どものために○○するのはガマンしなよ