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長期投資であってもすぐに売却するのは矛盾していない件について

新型コロナウイルスの影響で、株式市場も2月から大きな荒波に揉まれています。それはどんな達人でも変わりなく、投資の神様ウォーレン・バフェット氏も例外ではありませんでした。

バフェット、航空会社関連銘柄を売却

米著名投資家のウォーレン・バフェットは5月2日、自身が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイの年次株式総会で、同社が保有していた40億ドル相当の米航空株をすべて売却したと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大の悪影響が続いていることが理由だ。バフェットはユナイテッド航空、アメリカン航空、サウスウエスト航空とデルタ航空の株式を保有していた。
「航空ビジネスは大きく変わったと思う」とバフェットは言った。「将来が見えにくくなった。ロックダウン(封鎖措置)が長期間続くことでアメリカ人の習慣がどう変わったのか、今後どう変わるのか、私には分からない」

記事によると、保有していた航空会社関連の銘柄を新型コロナの影響を鑑み、全て売却していたようです。ツイッターを見ていると、この件に関して「長期投資なのに右往左往している」とか「首尾一貫していない」とかのコメントが見受けられました。一方で、私は長期投資と今回の売却は特段、矛盾していないのかなと考えています。

投資にはルールがある

私も細々と株式投資をしていますが、投資スタンスは中長期投資です(「中」をつけているのは、長期というほど何十年も投資経験がないからですが)。別記事にて詳述はしますが、アップサイドの大きい小柄な成長株を保有し続けるスタイルです。

とはいえ、小柄な成長株なら何でもいいかといえばそうでもなく、堅固なビジネスモデルなのか、財務的安全性はあるのか、営業利益率は高いのか、市場全体の伸び率はどうなのか等、さまざまな要素を勘案して投資先を選定します。

そして、投資をしたらハイ御仕舞!ではなく、投資をした根拠や前提、仮説が変わっていないかを常にモニタリングをしながら株式を保有します。一方で、日々のチャートの値動き等は業績が変わらない限りは、一切売買に影響をうけません。これが中長期投資であるという認識です。

投資の前提が覆えった場合は退却をするべき

今回、バフェット氏が航空会社銘柄を売却した理由は、以下の通りです。

「人々が3~4年後に、昨年までと同じくらい飛行機に乗るかどうか分からない」と彼は語り、航空各社は巨額の負債を抱えることになって、それが企業利益や株主の利益にも打撃をもたらすだろうと警告した。

新型コロナウイルスの影響により、航空需要は一気に蒸発しました。一気に8~9割も利益が減るというのは企業として恐ろしい事態です。

前チャプターで論じたように、投資には前提やルールが必要です。今回、バフェットは、「航空需要はコロナ後においても元通りにはならないかもしれない」という認識を持ち、投資時点での前提が覆ったことを確信しました。

前提が覆ったことによって投資を引き上げるのは、ごく当たり前のことのように感じます。

ミスを真摯に受け止めること

以上のように、「市場はどうなるのか」、「ビジネスモデルは持続性があるのか」等というあらゆる前提・仮説を加味して投資をすることが重要です。そして、それらが誤っていたら現実に即したものに修正する。この繰り返しに尽きるのかなと思います。たまたま話題になったから買っちゃえというスタンスでは再現性のある勝ち方は難しいと思います。

また、バフェット氏は今回の「失敗」について以下のように言及しています。

またバフェットは、航空各社に「これまでに70億ドルから80億ドルを投じたが、回収できた金額はそれに遠く及ばない」とも説明。航空業界への投資は「私のミスだった」と責任を認めた。

バフェット信者かよと思われるかもしれませんが、この「ミスを受け止める」姿勢はカッコいいなと感じました。ミスをミスと認めないスタンスでは、常に考えと現実のギャップが広がっていきますからね。現実を真摯に受け止め、それを戦略に反映する。投資でも事業でもこれに尽きるんでしょうね。

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