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『相乗効果(シナジー)』を生むには戦略性や相性が重要。

独りで成し遂げられることなんてたいしたことはなく、大きな結果を生むためには(社内外問わず)複数の人/才能や組織と連携をとりながら活動する必要があります。

人々の価値観も多様になり、情報や商品も世のなかに溢れているなか、今後はますます『個人と個人』『組織と組織』で連携して相乗効果(シナジー)を生んでいくことが重要になっていくのではないかと感じます。

相乗効果は足し算(1+1=2)以上の関係にすることが大事』といいますね。例えば2名が一緒に仕事をする場合に連携することによって2名で別々にやること以上の結果を出せることが理想というものです。ただ、これは意外と難しくて、そこに『戦略性』と『相性』が考えられたうえでやらないと逆効果(2名以下の結果)になる場合があるので要注意です。

【戦略性】
まず大事なのは『なんのためにやるのか?』という『目的』が明確にあることです。互いに目指すべきGoalを一緒にするというものですね。
当たり前ですが、達成すべき目的が不明確で『一緒に仕事をすること自体が目的』になってはいけません。

次に『人と人』『組織と組織』の組み合わせですね。
『目的』を達成するためにどのような組み合わせが良いのか?ということです。組み合わせのパターンには主に以下のようなものがあります。
※ネーミングは適当なのでもっと良いのがあると思います・・・。

①相互補完型:
お互いに不足している能力や相反する能力を補完しあう組み合わせです。
いわゆる『相乗効果』と言われる取組みでもっとも多いパターンですね。
例えば『猪突猛進型と冷静沈着型』や『直感型と分析型』の組み合わせなどです。突出して優れている才能があるものの、その代わりに顕著に苦手な領域をもっている場合はそこを補完できる人や組織と組み合わせると、互いの長所を活かして総合的にバランスの良い相乗効果が生まれます。
 
また、『デザイナーとエンジニア』といった異なる職種同士の組み合わせや『資本力のある大企業と先鋭的な技術があってスピード感もある中小企業』の組み合わせ等も相互補完型の相乗効果といえるでしょう。

注意点としては、互いに期待する役割においてスキルのレベル差がある人たち同士で組んではいけないということです。
組むべき相手は互いの専門領域において同格にあるもの同士でないと、相乗効果(補完関係)は生まれずにただの教育指導関係になってしまうので組み合わせには注意が必要です。

②長所突出型:
互いに同じ長所をもっている者同士が一緒に組み合わさることによって、さらなる攻撃力(突破力)を持つことができます。
ただ、長所だけ研ぎ澄ませて短所には目をつぶる方法ではあるので、ちょっとした失敗でもろく崩れる欠点もあります。

③:援護射撃型:
①と②の間にあたるような取組みです。
同職種ではあるものの、スキルのレベルが違うもの同士の組み合わせでいわゆる『スキルが高い人と低い人の組み合わせ』になるのですが、教育指導関係ということではなく、互いに役割分担を行うことで効率的に最大の成果を出すことを目的とします。

例えばアナリストでいうと、スキルの高い人は分析~レポート制作~次の打ち手の提案(企画)まで一通りできると思いますが、ひとりですべてを行うのは時間がかかるため、アシスタントとして見習いのアナリストとともに行動するとします。その場合、見習いの方は分析~企画まではまだ実力不足であるためレポート制作を中心に行い、スキルの高い方はそこにかかっていた時間をつかって企画に集中する、というような取組みです。
※これによって時間の短縮とアウトプットの質を上げることができます。

ここでも大事なのは『教育指導関係』にならないことです。
いくらアシスタントの方が未熟といってもすべてのアウトプットを細かくチェックされなければいけないようだと、まったく企画に集中することができずにチェックに稼働がとられてしまいます。
よって『相乗効果』を出すのであればアシスタントといえどもある程度は独りで遂行できるレベルは必要です。
 
『教育指導』が必要な取組みの場合は『相乗効果』ではなくてあくまでも教育としての取組みだと割り切る必要があります。相乗効果は一定以上のレベル同士の人/組織たちでやるから期待以上の結果がでます。よって、そもそも『個』としての強さが備わっていないと成果はでないでしょう。
これは団体戦のスポーツでも一緒ですね。まずは選手が各々プレイヤーとして『個』の強さがないとチームとしても強くなりません。戦略はあくまでも所属しているプレイヤーの強みの上にあって成り立つものです。

上記のように、相乗効果をだすためには目的を明確にしたうえで、それを実現するために最適な組み合わせはなんなのかを戦略的に考える必要があると思います。

『相乗効果における組み合わせ』においての注意点としては、リーダー(責任者)を明確にすることも挙げられます。一定のレベルにあるもの同士が一緒に仕事をするのですから、互いの提案や行動に甲乙つけがたい場面も発生するでしょう。その際に誰が最終的に判断するかが明確になっていないとプロジェクトは鈍化や頓挫してしまいます。よって、最終判断はだれが責任をもってすべきかは事前に明確にしておくべきです。くれぐれもリーダー的ポジションの人が複数人にならないようにしましょう。


下記はもうひとつの重要な視点である、組み合わせをする人同士の『相性』です。意外とここを軽視する人が多いのですが、成功するか失敗するかは実はここにかかっているといってもいいです。

【相性】
どんなにスキルがあるもの同士でも、互いの『相性』がよくなかったら間違いなく失敗します。所詮は人間同士が感情をもって一緒に仕事をするものなので、ここを軽視してはいけません。

なにをもって相性がいいか悪いかを判断するのかは難しいところですが、まずは仕事に対する価値観が同じでなければいけないでしょう。
例えば『プライベートなんて無視して時間をかけてでも良いアウトプットを出したいという価値観の人』と『ワークライフバランスを大事にしていて、できる範囲でのアウトプットで良いと考えている価値観の人』ではうまくいく可能性は低いと思います。
※これはどちらが良い/悪いの話ではなく価値観が合う/合わないの話です。

他にも『自分にとって絶対的な価値観を持っている人』同士の相性も悪い場合があります。たとえば自分にとって表現方法についての良い/悪いがハッキリしていて、それ以外は受け付けられないと考えているような人ですね。
これはプロデューサーやディレクターとデザイナーなどの間によくでてくる現象です(苦笑)。どちらかが「自分の価値観には合わないけどそういう表現方法も良いよね」って思えるなら良いですが、どちらも引かないような状況だとうまくいきませんよね。
※これもどちらが良い/悪いではなく「相性が悪い」関係だと思います。

嫌々一緒に仕事をしていても良いものなんて生まれないので、日頃から誰と誰が相性が良いのかを把握・理解しておくのが良いでしょう。

経営者やマネージャーは「相性が悪いもの同士でもうまくやれるように調整すべきだ」と思いがちですがあまりお勧めできません。調整にかける時間がもったいないし、高い確率で関係はさらに悪化する可能性があります。
一緒に取り組んだことで相手のいい部分が見えてうまくいく可能性もありますがそれは結果論でしかない(無理にやらせて失敗するリスクと天秤にかけるほどでもない)と思うので、極力はじめは相性の良いもの同士(小規模から始めるとなお良い)で組み合わせた方が成功の確率は上がると思います。
※相性の悪いもの同士の組み合わせを緩和するために、どちらとも相性の良い第三者を立てるやり方もあります。ただ、増員して解決するという方法は資金に余裕があるときの手段といえます。

僕が気を付けているのは『相乗効果を出すことを上の立場から押し付けない』ことです。当人たちにその気がないのに、無理やり『個人と個人』『組織と組織』で連携して相乗効果(シナジー)をだせと言ったところでうまくいくわけがありません。理想としては当人たちが必要だと思って自主的に始めることです。

相乗効果を言い出した上の立場の人が中心になって責任をもって最後まで主導できるのであれば(失敗したら自分の責任になるので)押し付けても良いと思いますが、そうでないのであればやるべきことは(現場が気づいていないようなら)相乗効果の有効性に気づかせてあげることや、成功に向けて導いてあげることくらいで良いと思います。

経営者やマネージャーは頭で考えて『優秀な者たち同士が手を組めば素晴らしい結果が生まれるはず』と誤解しがちです。
※優秀な者たち同士は我が強かったりするのでうまくいかないパターンって実は多いんですけどね。
もちろん現場同士でうまく連携できればその通りの結果が得られると思いますが、そのためには上記に記載したような戦略性と相性が合ってこそのものだと思います。

『相乗効果(シナジー)を生む』というのは成功すれば大きな成果を生むものですが、諸刃の剣的なところもあって、失敗すると現状以下の結果になってさらにそのあとも引きずるようなところもあります。それは連携するもの同士が感情のある人間同士だからであり、だからこそおもしろくもあり大変でもあるところです。

気軽にやってしまうと痛い目をみかねない施策ではありますが、練られた戦略のもとでは大きな結果を生み出すのでぜひ慎重かつ大胆に進めていただければと思います。

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