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『エキスパート職』と『マネジメント職』

各々のキャリアプランを進むうえで、大きく分けると『現場をやり続けていきたいか?』と『マネージャー(ゆくゆくは事業オーナーや経営者)になりたいか?』のどちらかを考えるときがきますね。

小さい会社だとマネージャーは現場のエースと兼務というところもあると思いますが(個人的な見解ではありますが)マネージャーは全体を動かして会社の将来を創る役割だと思うので、自身が率先してクライアントワークをするのではなく、現場を離れて周囲を動かすことで結果をだせるようになってからが本当のマネージャーの仕事/役割ができるようになったと言えるんじゃないかと思います。
※このため、本当の意味でのマネージャーを経験するためにはある程度の会社の規模が必要だと思います。

また、いわゆる『プレイングマネージャー』は『マネージャー』というよりは『チームリーダー』という存在に近いのではないかと思います。

僕も昔はプレイングマネージャーとしてやっていこう(このときはマネージャーってどういうものか理解していませんでした)と思っていましたが、自身も現場をやり続けていると目先のことにとらわれて将来を考える方に思考の比重を置くことができなかったので、組織をきちんとつくることができずに結果としては失敗でした。組織が大きくなるにつれて本来はやらなければいけないことを「現場業務が忙しいから」といって目をそらして逃げていた部分があったんですね。
そういう経験もしてきたので、『リーダー』と『マネージャー』って違うものだと実体験として理解することができました。

この辺の役職の定義とか会社内での役割だとかは各々の会社の規模や企業文化とも密接に絡んでくることだと思うのでそれぞれ解釈等があってもいいとおもうのですが、以降ではD2Cdotではどのように考えて運用しているかを記載したいと思います。


D2Cdotでは現場で経験を積んで結果を残した人のキャリアアップコースとして、大きく分けると『エキスパート職(現場を追求していきたい人)』『マネージャー職(いわゆる管理職)』の2つの選択肢が用意されています。
※その間のステップに『チーフ職(マネージャー候補)』もあります。

ざっくり両者の違いは以下となります。

【エキスパート(現場で活躍する個人的にすごい人)】
①現場のエース格。定量でも定性でもプレイヤーとして社内外に大きく影響
 を与える結果を残せる人。
②自分で案件対応をするがチーム長のようにメンバーを率いることもあり。
③組織での影響範囲は数名を束ねるチーム程度の規模。
④現場目線が強め。半年から1年程度先のことまでは視野に入れる。
 ※「現状からの積み上げ式の思考」になりやすい弱点はあり。
⑤周囲に現場に必要なスキルや仕事への心構えを教えることができる。
 ※教育者ではあるが、評価者ではない。
⑥圧倒的スキルが本人にあれば、(結果を残せるなら)個人活動でも可。
⑦評価される範囲は個人活動とチームの状態に限定。
 成果は「数字」「定性活動(広告賞/知名度/困難な案件等)」等があり、軸は多
 岐にわたるが周囲よりもなにかひとつでも突出した結果をコンスタントに
 残すことができる人材。評価視点は半年~1年程度のサイクルになる。
⑧案件の実績というアウトプットがある。
【マネージャー(組織視点でメンバーを動かして結果を出せる人)】
①自身が現場への直接の影響力はさほどなし。代わりに会社や組織に対して
 の影響(組織戦略、制度設計、人材戦略・・・等)をだすことができる。
②自分が動くよりも他人を動かしてさらに大きな結果を残す(レバレッジを
 きかせられる存在)人。多種多様な人材を適材適所で活用する必要がある
 ため、自分のこだわりをもちつつも柔軟性と包容力が大事。
③組織での影響範囲は部門や本部に及び、数十名にもなる場合もあり。
④現場目線よりも上の視野で俯瞰して物事が長期的にみられ、1年以上先の
 ことまで視野に入れる。
 ※あるべき姿を先に設定でき、そこにいたるまでのストーリーを描ける。
⑤所属メンバーの評価者となって客観的に対象者の評価ができ、会社の方針
 にそったキャリアプランを考えていけることができる。
⑥他人を動かして結果をだす仕事なので周囲の信頼を集める「人徳」が必須。
➆組織の役職者なので、あくまでも組織の方針を優先すべき。
⑧評価される範囲は組織の結果(数字/活動内容等)の状態であり、個人活動の
 評価の比重は高くない。成果は「定性的なものの価値(質)が定量的価値
 (量)を生み出す」という考えから「数字」を最優先とする。
 ※評価視点は「半年~1年程度のサイクル」のものと「1年後以降につながる
  ようなことをやれているか?」の2軸になる。
⑨P/L・B/S思考(売上から営業利益、キャッシュフローまで考えられる)
⑩目に見えるアウトプットはほぼなく、会社や組織の状態がある意味アウト
 プットに相当する。

他にもいろいろありますがざっくり上記のような感じです。
※『チーフ(プレイングマネージャー)』は『エキスパート』をベースにして『マネージャー』の役割が少々入っているという感じです。

企業や部の規模によってはエキスパートとマネージャーの役割はきっちり分けづらく、どちらの役割の比率もちょっとずつもっていることもあるかと思うので、上記は役割の違いの差をみる参考にしていただければと思います。

ちなみに当然ですが、マネージャーとエキスパートはあくまで役割なので、双方の責任の範疇が違うので自然とスキルも目線も違ってくるという感じですし、どちらが偉いとかいうことではありません。
※そもそも求められる『結果』が全然違うので。


エキスパートとマネージャーで求められる役割と必要なスキルはまったく違うため、いままで現場で活躍していた人にいきなり「明日からマネージャーやって結果を残してね」というのは酷です。このため、D2Cdotではその前に『チーフ』というプレイングマネージャーの段階を踏んでもらい、マネジメントの素養があるかお互いに見定める期間を設けています。

マネージャーは周囲を動かすことが主な仕事になるので『自己』よりも『他己』の精神が必要になります。己の能力のみで活躍してきた人はこれがけっこうできないのです。
人間は当然人それぞれで性格もスキルも成長度合いも違います。自分の力で切り開いてきている人は良くも悪くも未熟なメンバーを受け入れることができず(自分ができるので他人もできると思い込んでしまったり、自分のやり方を押し付けてしまう)、必要以上の負荷を与えてしまう場合があります。こういったことがないように、チーフとして一旦メンバーの評価者も経験してもらい、全体を動かす能力があるかを見極めたうえでマネージャーに進めさせられるかを判断しています。

仮にチーフを経験して、マネージャーには向いていないかも?という判断がでても別に降格などということではありません。逆に自分が今後定めていくキャリアが『エキスパート職』の方だと判明しただけでも良かったと思いますし、時期がきたらまた挑戦しても良いと思います。


D2Cdotでは現時点では中途採用でいきなりマネージャーにするということはよっぽどのことがないかぎりはやるつもりはありません。周囲との信頼関係がないうちに他人の評価者/指導者になるということが個人的にどうかと思うことと、この業態によくあることですが、現場で実績をあげていない人の言うことは所属メンバーが言うことを聞く気にならない、という特徴があるからです。

・・なので、マネージャーになる人は自身のスキルが高いことはもちろんのこと、周囲と信頼関係を築けるような実績と人柄を兼ね備えていることが条件となります。


『エキスパート』の行き着く先は『現場で活躍し続ける』ことになりますが、『マネージャー』の行き着く先は段階があります。

まずは手始めにプレイングマネージャーとして活動していきますが、順調に成果がでていれば組織は少しずつ規模が大きくなっていきます。そうなると、自分がみれる人数にはいずれ限界がきます。それでもマネージャーがずっとプレイングマネージャーを続けてしまうと、所属メンバーたちから徐々に不満がでてきます。
※本来マネージャーがやるべき仕事をやれていないから、です。

マネージャーがやるべきは『レバレッジをきかせて成果を最大化する』ことなので、自身の現場の稼働が多いと自分以上の成果を上げられなくなっていきます。
※もしくは所属メンバーが勝手に活動している結果をただまとめるだけの存在になっていきます。

僕の場合はそうなった際に・・
①マネージャーを辞めて現場を続けるか?
②現場をやめてマネージャーに徹するか?

・・・を選択することになり、②を選んで今に至る、という感じです。

・・なので、『マネージャー』や『チーフ』の方たちはいずれ現場から離れることも想定したうえで自身の意識やスキルを磨いていき、仕事のやり方を変えていく必要があります。
自分が動いて数字を上げる、ということができなくなるので他人を動かすことだけに集中できる(そこで結果を残すしかなくなる)からです。人が意識もスキルも変わるには半年~1年はかかると思うので、早めに準備しておくというのは大事かと思います。
※僕は現場からマネージャーへの意識に変革するのに2年くらいかかりました・・。
マネージャーの先は経営者(事業主)としての道にいくのかなって思います

つらつら~っと書きましたが、マネージャーはあくまで『結果責任』なので、極論でいくと自分がやりたいならプレイングマネージャーのままであっても、マネージャーとしてきちんと機能できるならそのままハイブリッドな存在としていってもかまわないと思います。

ただ、組織の規模が大きくなるとハイブリッドな活動にいずれ限界がくるのでどこかのタイミングではどっちの道に進むのかを決断する必要がでてきてしまうと思います。


現場で結果を出し続ける『エキスパート職』も大事。所属メンバーを俯瞰した視点で有機的に動かすことで組織全体に影響を与える『マネジメント職』も大事。組織はそれぞれの役割をみんなで担うことで活動をする総合演出作品みたいなものなので、全員が行き詰まることなく過ごしていくことができれば良いなぁと思います。

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