見出し画像

#55 ペリカーノJr.にサヨナラを

「Dammit!」
 午後2時。クソ暑い中での四椛、心の叫び。

 ペリカーノJr.の使用を中止することを決めた。
 元々、中止の予定はあった。驚くほど割れやすいと評判のキャップは罅の補修テープで残念な状態になっていたし、改めて使い始めたkakunoの書き心地が最高だったので「別にペリカーノじゃなくても良いな〜」と思っていたのだ。が、ペン先がお陀仏になったわけでもないのに使わないのも勿体ない気がして、『中止』と『続行』を天秤に掛けたまま迷い続けていた。

 けど、今日、遂に、四椛は決断した。
 もうペリカーノJr.は使わない。
 今までありがとう。お疲れさま。サヨウナラ。

 天秤が傾くのは一瞬で、結構意外な理由だった。
 カートリッジの最後の一本が装着できなかったのだ。どんなに頑張っても無理。突き刺さらない。あの手この手を使って差し込もうとしても全敗。無理。固すぎる。

 確かに購入当初から、カートリッジの装着には素直じゃない子だった。PILOTやLAMYに較べてペリカーノJr.は滅茶苦茶固かった。「んぬぅぉおお……!」って雄叫びをあげながら力を込めないと刺さってくれない。なんでこんな固いの!? と何度思ったことか……。それでも最後は何だかんだで装着できたのに。

 今回は全然だめ。
 気温37℃、室温約35℃(※扇風機使用)の環境で、渾身の力を振り絞った。ひぃひぃ言いながら汗を流し、頭の片隅で辛うじて生きていた正気さんの言「クソ暑い中で何やってんの?」を無視しながら頑張って取り付けようとした。

 でも、最終的に諦めた。カートリッジが折れるんじゃないかと不安になった。何より、あんまりにも必死になりすぎて、ペン先で掌をぶっ刺しそうになったのだ。私の左の掌に風穴が飽きそうになった。やべぇ。封じないと。本体を。

 という経緯で、最後のカートリッジを無駄にし、ペリカーノJr.は封印されたのです。
 いやはや、何故あんなにも頑なに刺さってくれないのか。思わずスマホで「ペリカーノJr. カートリッジ 刺さらない」で検索しちゃったよ。「万年筆 カートリッジ 刺さらない」の検索候補があって、それを閲覧したけど結局、原因も解決法も見つからなかったし。諦めるしかなかった。悔しい。

 ペリカーノJr.……きみの書き心地、好きだったよ。安物のノートと触れ合った時のガサガサ感、堪らんかったな。クセになったよ。今日までありがとう。サヨウナラ。安らかにお眠り。

サポートされた暁には4,000字前後の小説を一本書きます。そして、頂いたサポート費は全額、四椛睡の血となり肉となり最終的にはヤル気となり記事となって読者様へ返還されます。