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【book】 春、バーニーズで 吉田修一
コロナの影響で在宅ワークとなり、家にいる時間が増えた。
ふと本棚を見渡すと、昔読んだ本が。
「春、バーニーズで」
吉田修一はずっと読んでいて、最近だと「悪人」とか「太陽は動かない」とか、映画化されるような売れている本ばかりだけど、初期の、危ういバランスの小説が、ずっと心のどこかに残っていることに気づく。
学生のころは、ほんと不安定だった。
うまく表現するすべを持たず、かといってかっこたる自我を持っているわけでもなく、ふらふらと、ダークサイドにいつでも落ちそうな。
そんなとき、こういう本に出合って、救わる感じがした。
本の帯にある、著者のコメント。
”ふとしたはずみに、もうひとつの時間へ。”
そうやって、あやういバランスの中で、一歩、一歩、時が刻まれていく。
今ある自分が、選択をしてきた、選択をしなかった、その結果だとして、それを受け止めているのだけれども、その、ふとした”感覚”。まだ忘れてないし、これからも忘れることがないのだと思う。
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