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親を見送るということ

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2021年5月の記事一覧

親を見送るということ- 父のジレンマ 編 -

親を見送るということ- 父のジレンマ 編 -

12月も半ばになり、

「年末に具合が悪くなっても入院出来ないから、年末年始だけでも入院させたい」

と母が言い出した。

介護士さんも「その方が良いかもしれない」と父を説得してくれたのだが、父は頑として聞き入れなかった。

12月28日までに入院の申請をすれば受け入れてもらえるらしい。
それまでに説得できれば、ということで私の出番となった。

私が言えば父は怒ることは無いが、説得できる自信も無か

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親を見送るということ- 父にできること 編 -

親を見送るということ- 父にできること 編 -

咽頭癌の告知を受け緩和医療を選択し、放射線治療である程度回復した父は9月半に自宅に戻った。

しばらくの間は周りを驚かせるほど回復したように見えた。

しかし、12月に入ると首のリンパが私の目で見てもわかるくらい腫れてきた。
 
そして効き目の軽い貼るタイプの麻薬のようなものも使い始めた。

母は「確実に悪くなっている、夜中もベッドから出て頭を押さえて座ってる。私だって気になって眠れない。」と言う

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親を見送るということ- 父、帰る編 -

親を見送るということ- 父、帰る編 -

9月半ば父は退院の日を迎えた。

人生初の入院から解放された喜びもあってか、いつにも増して元気だった。

荷物も自分で持つと言い、まるで病が完治して退院する人のようだった。

こんなに元気なのに、本当に年単位で生きられないのだろうか?

しかし退院できる喜びで張り切っている父を見る担当医の目は悲しそうだった。

この病気は可哀想なんですよ。
食べることも出来ない、リンパにも転移しているから頭が圧迫

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親を見送るということ- 父、胃瘻を作る 後編 -

親を見送るということ- 父、胃瘻を作る 後編 -

↓前回の記事はこちらから↓

父の胃瘻を作る手術も終わり、退院の日も決まった。

胃瘻を使っての食事の仕方を家族にも知っておいてもらいたいということで、また病院に招集された。

鼻に入っていたチューブを抜いた父はサッパリしたようで、前回会った時からは想像もつかないくらい元気になっていた。

認定調査の日は最悪のコンディションだったせいか要介護5という結果だったのだが、それが信じられないくらい元気だ

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