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【最終回】講演のための思考メモ（26）今後に向けて

中村洋太

1ヶ月間に渡ったこの連載も、今回で終わりだ。まさかこんなに続くとは思わなかった。でもちょうどこれからの働き方や生き方で迷っていた時期でもあったので、このタイミングでしっかりとキャリアの棚卸しをしようと決意した。

高校時代から現在まで、約20年間の人生を振り返ってきた。しかし過去を振り返って終わりではなく、ちゃんとこの振り返りをより良い未来につなげていきたい。これまでの20年間をシーズン1とするなら、ここからシーズン2が始まる。そのくらいの気持ちで、ぼくは今変化を求めている。最後に、現在とこれからの話に少しだけふれて終わりたい。

2020年以降はライターコンサルという仕事を始め、駆け出しのライターをプロライターにする、という活動をしてきた。これまで120名の方がコンサルを受講してくださり、多くのライターさんが現在様々な有名メディアで活躍されるようになった。1対1での指導にこだわってきたので、ビジネス規模としては小さく、効率もあまり良くないが、その分一人ひとりの方と向き合い、濃厚な時間を過ごすことができた。多くの素敵なライターさんたちとつながれたのは財産である。

添削やコンサルは好きなので、これからも続けていきたい。しかし、これをメインの収入源にしようとすると、どうしても苦しくなる。無理に集客を行いたくはないので、毎月の利用者や新規受講者の数はバラバラで、月によってはほとんど収入にならない、ということもあった。

今年1月から7月までは、旅のエッセイストを目指すべく、国内旅行を繰り返していた。旅をして、文章を書く。それは楽しかったし、見識も広がったのだが、やはり無料のnoteを書き続けても貯金は減っていくばかりで、新たな仕事のチャンスにつなげることもなかなか難しかった。

コンサルだけでは生活が成り立たないので、ときどきお声がけいただく記事編集の仕事をしたり、企業案件のライティングをしたりしながら、なんとか食いつないできた、というのが本音だ。だからこれから先、どうしようかなと考えながらキャリアを振り返っていた。もう少し収入を安定させられる働き方にシフトしたい。組織やチームで働くことも視野に入れている。

課題の発見

しかし、キャリアを振り返るなかで、もっと重要なことに気付いた。「働き方」以前に、ぼくは「生き方」を真剣に考え直す必要がある気がした。具体的には、「人とのつながり」を再考する必要がある。

余談だが、「再考」という言葉を使ったのは、少し前に読んだ『THINK AGAIN』という本の影響である。非常に良い本だったのでお勧めする。

自転車旅のスポンサー集めをしていたときにしろ、ライターとしての仕事が順調にいっていたときにしろ、そこにはいつも人の支え、人の助けがあった。少なくともその時点では、うまく人とつながれていた。「こういうことがしたい」という強い熱量や、チャレンジ精神によって、ポジティブな形で人を巻き込めていた。自分から積極的に人に近づいていったし、人もたくさん寄ってきてくれた。人とつながったり、人をつなげたりするのが楽しく、そこから仕事につながるケースがたくさんあった。

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自身が主催していたイベント「Creative Connect」

だが、ここ数年で、「人とのつながり」がかなり希薄になってしまった。もちろん原因は自分にある。コロナも多少は関係しているかもしれないが、本質的な原因ではない。コロナ前の2019年あたりからその兆候があった。いくつかの経験がトラウマとなり、徐々に人に対する不安や恐れが強くなってしまった。心理的・精神的な問題だ。原因を解明し、意識と行動の両方を変えていかないことには、多少人と会う頻度を増やしたくらいで根本の問題が治ることはないだろう。

「人とのつながり」でうまくいっていない現在の自分が、「人とのつながり」でうまくいっていた頃の出来事を振り返るのは、本当に辛かった。果敢にチャレンジを繰り返すかつての自分がまるで別人のようで、何度か心が分裂しそうになった。「自分が知っている別の人」のノンフィクションを書いているような感覚だった。

それでも、キャリアの振り返りには大きな価値があった。少なくとも現在のぼくは、未来に向かって動き始めているからだ。課題を自覚し、きちんと向き合って対処していこうという気持ちになれたのである。かつての自分の行動から励まされた部分も大いにある。暗いことを書いているけれど、気持ちは前向きだ。

2週間くらい前から、心理学や人間関係についての良書を読み漁り、意識と行動を少しずつ変えている。この2週間に起きた出来事だけでも、かなり状況の改善が見られてきている。流れが変わった感覚がある。人とつながることに対して、またポジティブな気持ちを持てるようになってきた。あとは積み重ねだと思うので、最近始めた「雑談朝活」（この習慣はまた別途noteで紹介したい）も続けつつ、さらに良い流れをつくっていきたい。

最終回で暗い話になってしまったが、「人とのつながり」という課題と真剣に向き合わないことには、この先の人生が明るくならないし、次のステージに進めない。だからどうしても避けて通れないことだった。今回は表面的なことしか書けなかったけど、この課題に気付いた背景や、実際にどんな本を読み、どんな変化が起き始めているのかなどは、また今後のnoteで書いていきたい。非常に大きな学びがあった。

ひとまず、この連載を終わらせる。11月11日の母校での講演本番に向けて、スライドの準備を進める。これまでに書いた7〜8万字の文章を、どう1時間の話にまとめるか。後輩たちのためにも、良い話ができるよう頑張りたい。

【お知らせ】
11月8日（火）に講演の練習をオンラインで行うので、良かったら聴きに来てください。参加無料です。

最後に、この連載を読んでくださった方に感謝します。嬉しいコメントやメッセージもいただきました。読み手の方がいるから、なんとか最後まで書き続けることができました。本当にありがとうございました。

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