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東北一周自転車旅(23)秋田県能代市〜秋田市

東北一周自転車旅
第23ステージ
秋田県能代市〜秋田県秋田市(62km)

8時半に起きた。いつにも増して筋肉痛と疲労感が半端ない。体調を崩さずに済んでいるのが不思議なくらいだ。

急いで前日の日記を書き、10時出発。今日は大潟村を通って秋田市へ向かう。

秋田県に入ってから、たびたび「熊に気をつけて」と言われる。昨日のお昼を食べたお店でも、夕方入った能代のカフェでも。そして調べてみると県内のいたるところで熊の目撃情報が出ているようだった。

そこで念のため、能代のイオンに入っていた100円ショップで、熊よけの鈴を購入した。

熊よけの鈴。100円ショップは便利だ

ついでにサンドイッチとどら焼きも買い、簡単な朝ごはん。

今日はほとんど平地なので快調に進んだ。向かい風もない。

秋田を目指して進む

国道101号線に沿って15kmほど走ったところで、「八郎潟干拓地」に突入した。真っ平の広大な田園が広がっている。

八郎潟干拓地

中学の地理の授業で習った、変わった名前の場所。名前だけはよく覚えていたけど、そこが何なのか、今に至るまでよくわかっていなかった。

この広大な土地は、もともと「八郎潟」という湖だったそうだ。琵琶湖に次ぐ、日本で2番目に大きな湖だった。

干拓前の八郎潟

なぜそんな大きな湖を、陸地にしたのか。「八郎潟の水全部抜く」って、テレビ東京の企画じゃないんだから。干拓の背景にあったのは、戦後日本の食糧不足だった。米が足りない。農地拡大は国の急務となり、注目されたのが八郎潟だった。

まず湖に周囲52kmに及ぶ大きな堤防を作り、その内側の水を、大型ポンプを使って少しずつ抜いていった。1957年に着工し、完工したのは1977年。実に20年間を要した世紀の大事業だった。八郎潟の田んぼがある陸地は、もともと湖の底だった場所が干上がってできたもの。だからこの陸地は、海水面よりも4メートルほど低い。

干拓後の八郎潟

新たに誕生した「大潟村」には、全国から入植者が集まった。そして大規模な米作りが行われた。入植者1戸につき15ヘクタールの農地が割り当てられたそうで、これはものすごい面積だったのだそうだ。確か当時の農地面積の全国平均が1戸あたり1ヘクタールと言っていたかな。

自転車でこの広い場所を走ると、いかに大規模な事業だったかがわかる。

個人的に驚いたのが、どこまでもまっすぐ続く道である。定規で引いたようにまっすぐなのだ。4kmの直線道路を走り終えると、少し角度を変えて3kmの直線、さらにまた角度を変えて4kmの直線が続く。こんなにも長く、かつ水平な直線的な道路は、日本中探してもそれほど多くはないだろう。人為的にゼロから作られた土地だからこそ、このような道路設計が可能だったのだ。自然な土地に道を引っ張ってもこうはならない。平野でも、少しはデコボコしているものだ。ぼくは南下しただけだから通ってないけど、東西に伸びる道はもっと長い直線だった。地図で見た感じ、ざっくり10kmくらいあった。信じられない。

まっすぐな道なのに奥が見えない

干拓地の中央にある「道の駅おおがた」に立ち寄り、ドライフルーツ(四季のミックス)を買った。このお店はやけにドライフルーツの種類が多くてすごかった。走行中の糖分補給に良い。イチゴのドライフルーツは初めて食べたけど、おいしいな。

ドライフルーツ

それから、隣にある「大潟村干拓博物館」を見学した。上に書いた内容は、ほとんどこの博物館で学んだ知識だ。

近くのコンビニでおにぎりを2つ食べてから、秋田市へ向けて出発。ここからあと40kmほど。

南下し、やがて八郎潟の終わりが近づいてくる。異色の風景を見せる「八郎潟干拓防潮水門」は、淡水と海水の境目でもある。八郎潟干拓地では米を作るから、その農業用水路に海水が混じってはいけない。この水門は、日本海からの海水が入ってこないように堰き止める重要な場所だ。

八郎潟干拓防潮水門

八郎潟干拓地を抜けると、今度は日本海の近くに出た。海沿いに南下していくと、JR男鹿線と並走する。男鹿線は通称「男鹿なまはげライン」だそう。

JR男鹿線

バカでかい風力発電機がいくつもあったから、間近で見たくなって海岸へ出てみた。近くで見ると迫力がある。異世界へ来たみたいだ。

日本海に沿って立ち並ぶ風力発電機

後ろを振り返ると男鹿半島もよく見える。今回は行けなかったけど、またいつか行きたい。UFOと幽霊がよく出る場所らしい。

男鹿半島

海岸沿いに、「秋田男鹿自転車道」があったので、しばらく進む。いい道だった。

秋田男鹿自転車道

秋田県の海沿いって初めて来たけど、こんな感じだったんだなあ。洋上風力発電も初めて見た。その奥には鳥海山も見える。

洋上水力発電

今日は秋田駅の数キロ手前にある「ユーランド ホテル八橋」に宿泊。ここはスーパー銭湯で、その2階にカプセルホテルがついている。秋田市のビジネスホテルはほとんど満室で、空いているところも素泊まりで1万円近くと高かった。

最初は「カプセルホテルか〜」と思っていたのだけど、来てみるとここは素晴らしかった。サウナもお風呂も入り放題だし、今年新たにできたばかりの「フィンランドの森」というスペースには、イケイケのベンチャー企業のオフィスみたいな個室スペースがたくさんあった。ハンモックもあるし、原稿を書くのにぴったりのコワーキングスペースもある。平日だから静かで快適。読めないのが残念だけど、漫画もたくさんある。これで3800円はお得だ。

ユーランド内「フィンランドの森」

夕方、サウナでテレビを観ていると、「秋田県美郷町の作業小屋に熊3頭が立て篭もった」というニュースが入ってきた。タイムリー過ぎる。

隣のコインランドリーで洗濯している間に、「ココット」というお店でハンバーグを食べた。

ハンバーグとライスセット

明日からしばらく雨が続く模様。深夜には竜巻注意報も出た。やれやれ。

ユーランドに1杯350円で飲める日本酒サーバーがあった。せっかくなのでひと仕事終えてから飲んでみた。秋田だし、たまには日本酒もいいな。

24時間飲める日本酒サーバー

<今日のお金>
サンドイッチとどら焼き398円
コーヒー 110円
熊よけの鈴 110円
おにぎり 367円
ドライフルーツ 650円
博物館 300円
コインランドリー 800円
夕食 1400円
カプセルホテル 3800円
飲み物 358円
日本酒 350円

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