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フリーランスライターの5年間を振り返る

この大晦日で、フリーランス5年目が終わる。元旦から6年目だ。

途中、大変なことは何度もあったけど、多くの人に支えられて、今日までフリーランス生活を続けることができた。

「今がどういう時期なのか」は、動いている最中よりも、ある程度時間が経ってから振り返る方がよく見える。そういうわけで、各年がどんな年だったか、大きな出来事と当時の心境をざっと俯瞰してみたい。

2017年:貯金がなくなるまで全力で旅を

6年弱働いた旅行会社を退職し、元旦から念願のフリーランスに。ようやく手にした自由。「何も決まっていない未来」にとにかくワクワクしていた。無名の駆け出しライターである自分がフリーライターとして名を上げるためには、自己投資と思い切った行動が大切だと思い、「なけなしの貯金が尽きるまで旅をしよう」という気持ちでいた。

1月:東京から大阪まで600km徒歩の旅(23日間)
3月:ミャンマーの旅(1週間)
4〜5月:アメリカ・サンディエゴで語学留学(2ヶ月間)
6月:アメリカ2500kmを自転車で縦断(1ヶ月間)
9月:アメリカ人Danさんと東海道自転車旅(3日間)
10月:韓国自転車旅(1週間)
11月:自転車で台湾一周の旅(3週間)
12月:ホノルルマラソン出場(1週間)

フリーランス初年度の収入は、確か150万程度しかなかった。対して、旅費はかかる一方で、年末には貯金が残り50万くらいになっていたと思う。だけど損得勘定抜き、採算度外視で旅をしまくったことが、今振り返っても本当に良かった。未来につながる、たくさんの種を蒔けた一年だった。

6月頃からトラベルライターとしてTABI LABOで連載を書くようになり、30万PV以上のバズを3〜4回経験した。それらが評価されて、いろんなところからお仕事の話がきた。

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2018年:通帳残高1500円からの大逆転

2〜3月:ドイツ、北欧の旅(2週間)
4月:深セン・香港・マカオの旅(1週間)
4月:韓国の旅(1週間)
6月:ロシアW杯観戦の旅(2週間)

ロシアから帰ってきたところでほぼ貯金が尽き、通帳残高1500円を経験。もはや逆に「よくここまで攻めた」という誇らしい気持ちもあった。後悔はない。ただ、さすがにそのときは親にお金を借りないと家賃を払えなかった。せっかく買ってきたロシアW杯の記念グッズを泣く泣くメルカリで売り、一時はUber Eatsの配達員もやっていた。打ち合わせのための交通費すら重く感じて、このときがいちばん精神的に辛かった。

「もはや就職するしかないのか・・・」と諦めかけていたとき、ソフトバンク法人マーケティング本部の新規事業戦略室からお声がかかり、新しく立ち上がったビジネスメディアの副編集長に就任することに。逆転人生。収入は一気に会社員時代の3倍近くになった。優秀な方々に囲まれて、刺激的な日々を送った。秋にはNewsPicksの週間Like数ランキングで総合1位になり、その反響でユニクロからお仕事をいただけた。

2019年:まさかの難病に

しかし年が明けて、仕事の忙しさやストレスからか、たびたび体調を崩すように。そして2月頃、「なんだか最近、蕁麻疹がよく出るな・・・」と思っていたら、まさかの難病が発覚。「特発性後天性全身性無汗症」という、汗がまったく出なくなる恐ろしい病気で、4月から半年間一切仕事ができない状況に陥った。転落人生。治るのかもわからない状況に「もう二度と旅はできないかもな」と覚悟した。

しかし、入退院を繰り返しながらも気持ちだけは前向きでいようと、ひたすら読書に明け暮れる。三国志、史記、項羽と劉邦など、中国の歴史のおもしろさに目覚めた。特に漢の時代の司馬遷が、とてつもなく辛い逆境の中で中国史上最大の歴史書『史記』を完成させたと知り、「ぼくもこんな病気に負けている場合ではない」と大きく励まされた。

歴史を学ぶうち、仕事や生き方に対する価値観もガラリと変わる。日々の流行を追いかけるのではなく、「時代が変わっても変わらないもの」を追い求めるようになった。「すぐに役に立つもの」より、「すぐには役に立たないもの」を。

秋、治療が実り、ようやく汗が出るようになる。しばらくは汗腺機能向上のためサウナ通いが欠かせなかったが、現在では完治と言える状態にまで戻った。よかったよかった。健康の大切さを噛みしめた一年だった。

2020年:「ライターコンサル」がスタート

闘病経験について書いたnoteがきっかけで、テレビ東京のドキュメンタリー番組「生きるを伝える」に出演。何事も無駄な経験はない。(4分ほどの番組で、こちらから映像が観られます)

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仕事も再開し、朝日新聞デジタルなどで連載を書いていたが、そのタイミングで今度は新型コロナが流行する。

春、Twitterに目を向けると、SEO記事や低単価のライティング案件に悩みを抱えているWebライターさんが非常に多いという事実を知り、「自身の経験が役に立てば」とライター向けのnote「Webライターが単価を高めるためのアドバイス」を執筆すると、Twitterで話題に。

その読者のひとりだったライターの池田アユリさんから、「私にコンサルをしていただけませんか?」と突然のDMをいただいたことがきっかけで、7月からライター向けのコンサルと添削サービスを開始。池田さんの成長に自信を得て、さらに生徒さんを増やす。年末までにコンサル生は30名まで増えた。

2021年:エッセイストを目指して

夏まではライティング50%、コンサル50%という働き方をしていた。

コンサル生からはインタビュー記事についての質問が非常に多く、各生徒さんとのお電話で何度も同じアドバイスをすることになったので、いっそのこと、ぼくが取材前・取材中・取材後(執筆時)に意識していることを全てnoteにまとめてしまえ〜と思い、「【2万字】取材とインタビュー記事の書き方における実践的アドバイス集」という記事を書いたら、これがとても評価された。今でも「取材のバイブルです」と言ってくださる方がいて嬉しい。

今年いちばん大きかった出来事は、5月に「奇跡体験!アンビリバボー」に出演したこと。

2017年にTABI LABOで書いたエッセイが評価され、「このエピソードを実写化したい」とディレクターさんから連絡が。放送の反響も大きかったが、それよりもぼくにとって自信になったのは、「全国放送で流れるレベルでエッセイが評価された」ということであった。

「こういうエピソードなら、他にもたくさんあるぞ?」

そのとき、ぼくはエッセイストになろう、と決めた。作家になって、自分のエッセイ集を出したい。誰かに何かを頼まれて書くのでなくて、自分が書きたいものを書いて、人の心を動かせる人間になりたいと。

それで、クライアント3社からいただいていたお仕事を全部辞めさせてもらった。そして7月くらいには仕事はコンサルだけになった。創作の時間はたっぷりできた。これで好きなことを書きまくれるぞ、と思っていたのだけど、そんなに甘い話ではなかった。

コンサル生たちが割とすぐに活躍し始めて卒業していくものだから、ぼくの収入が全然安定せず、生活の不安からエッセイもなかなか書けず、というしんどい時期を過ごした。やっぱり安定は大事だと思い、10月頭、知人の紹介で短期間のアルバイトをやってみた。高層マンションで住民へのアンケート調査をしていたのだが、宅配業者のスタッフさんからメチャクチャ怖い顔で怒られて、夜眠れなくなるほどへこんだ。「こういうの、苦手だなあ!」と思った。

でもこれまた人のご縁で、11月からライター講座「ぶんしょう舎」の講師となった。固定収入が生まれたので、この2ヶ月間は「やっぱり収入が安定すると仕事に集中できていいな〜」という気持ちを噛み締めている。余計なことに気を取られない、というのは大切だ。

だからこの「ぶんしょう舎」の期間が終わったあと、いかに自分の好きなことをしながら収入を安定させるか、というのが今の課題である。進んだり戻ったりのフリーランス生活だが、最近は健康だし気持ちも前向きだしで、良い流れに乗れている気がする。

コンサル開始から一年半。これまで指導してきたコンサル生は、90名になった。今年は生徒さんたちの躍進が続き、東洋経済オンライン、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンライン、Forbes、朝日新聞デジタルなどなど、大手メディアで執筆するライターさんを多数輩出できた。100万PVを超えるヒット記事を書かれた方も。

皆さん、個性や強みを活かして、それぞれの分野で活躍されている。頼もしい限りだし、この方々の成長に少しでも関われて良かった。すごく温かい方々で、ぼくはほとんどの方と直接お会いできていないが、今や生徒さんたち同士でお茶会したりしているほどのコミュニティに。みんなの成長や活躍を間近で見ているのが嬉しいし楽しい。

終わりに

駆け足でフリーランスの5年間を振り返ってみた。紆余曲折ありつつも、ちゃんと一本の線になっているような気がした。自分の成長ってなかなか感じづらいけど、きっと成長しているのだと思う。そう信じたい。

今年は仕事の文章をあまり書かなかったが、そんななかでもポルシェジャパンさんの案件で、サッカー日本代表の南野選手とお仕事できたのは嬉しい経験だった。

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いろいろあったけど、なんとかフリーランスを続けることができた。2022年は、自身もさらなる飛躍を遂げたい!

この5年間でお世話になった皆さま、本当にありがとうございました!来年もよろしくお願いいたします!良いお年をお迎えください!

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