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内向型HSP VS 胡椒山盛りラーメン

私は内向型のHSPだ。
飲食店で注文するとき、店員さんを呼ぶのも一苦労。
「いま忙しそうだな、声かけていいのかな」などの余計な心の会話を乗り越えないといけない。

だけど会社ではプロマネをやっており、多くの人と関わる必要がある。
そして脳みそをフル回転させ続けて毎日何とか生き延びている。

そんな私の日々の楽しみは晩ごはん。
とくにラーメンが大好き。
腹ペコで食べるラーメンはやばい、脳みそに沁みわたる。

あの日も行きつけのラーメン屋でいつもの味を満喫できる、はずだった。

胡椒のフタが消え、ラーメンの上に黒い山が現れた

会社からの帰り道に行きつけのラーメン屋がある。
豚骨醤油でにんにくが入っているラーメンが自慢のお店。
こってりした味、煮込んでトロトロのチャーシュー、麺によく絡む縮れ麺、どの要素も素晴らしい。

帰り道ということもあり、私はそのお店に週1回は行っていた。
そしてあの日も仕事を一生懸命やった後、お店に行って豚骨醤油ラーメンを頼んだ。

私はラーメンに胡椒をけっこう入れるタイプ。
いつものように大型のギャバンのブラックペッパーを何度も振った。

だけどその日は振っても胡椒が出て来ない。
どうやらラーメンの湯気によって胡椒がダマになり、穴を塞いでいるようだ。

「あれ、出てこないな。まぁ強めに振ってみるか」
\ブンッブンッ/
\バサッ/
(´・ω・`)ん?

私が持っていた胡椒の缶にあるはずのフタが消えている。
そのプラスチックのフタはテーブルの上に何故かある。
そして、ラーメンの上に胡椒の黒い山が現れた。

・・・
(´・ω・`)・・・ん?

内向型人間は咄嗟の判断力が弱く、予想外のことが起こるとフリーズすることが多い。
私はしばらく固まっていた。
その間にも胡椒の山は物理法則に従ってスープの中へと広がっていった。

店員さんに言えず、我慢して胡椒の山を食べた

・・・(´・ω・`)ヤバい
ようやく状況を理解した私。

「どうする?」
「店員さんに言って作り直してもらう?」
「でもお金掛かるし、何よりどんな反応されるか分からない」
「これからもこのお店に通うのに・・・」
頭の中で繰り広げられる会話。
スープに飲み込まれて崩れ行く胡椒の黒山。

最初に書いた通り、注文のために店員さんを呼ぶのにも苦労する私。
ましてや「フタが外れて胡椒が大量にダイブしたのでもう一杯ください」なんて言えるわけがない。
HSPは強い刺激に弱いけど、心理的な刺激より物理的な刺激のほうがよっぽどマシだ。

「よし、店員さんに何も言わずこのまま食べよう」
「何も言わなければバレないはず」
脳内会議で結論が出た。

ひとくち食べた。
ズズッー
ッゴホッ!!

麺をすすった瞬間に胡椒の刺激が口内を刺激する。
これをむせずに食べられる人が居たら教えてほしい。
無理だ。
どうしよう。

そして私はラーメンをすすらずに食べた。
フランス料理のスープの如く、音を立てずに食べる。
これならむせることはない。
だけどやっぱり圧倒的に胡椒が多い。
からいよう。

替え玉入れても減らない胡椒の辛味、お水でお腹タプタプの私

「だめだ、これは希釈するしかない」
私はおずおずと店員さんに話しかけ、替え玉を頼んだ。

替え玉を頼み、麺一本あたりに付着した胡椒の数を減らす作戦だ。
だけど食べる量が増えることは地獄の時間が続くとも言える。
これが吉と出るか凶と出るか。

・・・ダメだった。
そして私の前には胡椒で黒ずんだ麺が倍増して丼に沈んでいた。

もう正面突破しか無い。
水を飲みまくりながらラーメンを少しずつ食べ、何とか完食。
気がつけば、ピッチャーの水を全て飲み干していた。

大量の水で希釈したはずなのに胃の中で胡椒は暴れ回っている。
気分はまるでヨッシーアイランドの蛙の中ボス(3-4)。
あのとき胃の中から喉に卵をぶつけるなんて非人道的なことをしてごめんなさい。

だけど何とか食べた。
店員さんにもバレずに食べきった。

そして私はお会計をしてお店を出た。
お店を出たあと、後ろを見ると店員さんが真っ先に胡椒を補充していた。
・・・バレていた。

とにかく、ラーメンを食べきって外に出た私。
真冬だったが身体はポカポカ、汗は止まらずマフラーも上着も脱いで家に帰った。

気休めにしかならないが、ヨーグルトを家で食べた。
だけど効果はまったくない。
私の胃はもう既にズタボロのようだ。

こんなことがあったけど、今でもお店には行き続けている。
だけど胡椒を振りかけるときは必ずフタがしっかり閉まっていることを確認する。
製造業でおなじみの「危険予知」をして、私は今日もラーメンを食べるのだ。

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