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【インバウンド】台湾人観光客とラーメン店の間に起きた事件から学ぶ教訓

今年の1月、福岡のラーメン店ととある台湾人観光客一行の間にちょっとした「事件」が起きました。インバウンド誘客を志す飲食店にとっての教訓を含んでいると思いましたので、遅ればせながら取り上げてみます。

福岡のラーメン店で事件は起こった

事件の経緯はこうです。台湾から一緒に福岡を訪れた夫妻3組が現地のラーメン店を訪れました。子どもは入店できないことになっていたので、まずは旦那さん3人だけ店に入り、半分食べたところで店を出て、外で子どもを見ていた奥さん3人と入れ替わることにしました。6人で3杯頼んだということですね。
すると、入れ替わった時点で店員に「シェアは禁止です」と指摘され、その態度に気を悪くした一行はそのまま退店し、後でこの中の1人の奥さんがGoogleマップに星一つで「融通がきかない」などと書き込みました。
その後、台湾のインターネット上でこのコメントが大きく取り上げられ、「(日本まで行って)シェアする方が悪い」と多くのユーザーから批判されると、この奥さんは評価を取り消しました。

「20歳未満入店不可」の理由掲示を

ここには(1)子どもの入店を認める(店内での全面喫煙を認めない)ようにすべきか(2)食事のシェアを認めるようにすべきか―という二つの問題があります。このうち、(2)については次回で取り上げることとして、(1)について私が考えるのは、その理由を外国語で掲示しておくのが無難ではないか、ということです。
今回のケースでは、奥さんを憤らせ、低評価をつける行動に駆り立てたのは、「(なぜか)子どもの入店を断られた」ことと「シェアを認めてくれなかった」ことが半々だったのではないかと思われます(ちなみに「日本ではシェアはご法度」というのは、台湾ではかなり広く認知されていると思います。次回に「それでもシェアしたがる理由と対策」を取り上げる予定です)。「融通がきかない」というのは、これら二つのことを同時に指していると言えそうです。
子どもの入店を断られれば、外国人の中には「騒ぐからいけないのか(うちの子は静かにしているのに…)」と、原因が自分たちにあると誤解して気分を害する人もいるでしょう。「外国人だから差別されている」と考える人さえいるかもしません(中華圏からの観光客のマナーが日本でたびたび物議を醸していることは、彼らにも自覚がありますから)。
日本人なら説明すれば分かってくれるでしょうが、言葉の壁がある相手にはそうはいきません。子どもの体への影響を考えて入店を控えてもらっているのが、逆に悪い方にとられてしまっては、店側には損しかありません。
今回はたまたま台湾で大きく取り上げられたために評価を取り消してくれたからよかったものの、騒ぎになっていなければ低評価が残されたままでした。

喫煙者優遇はインバウンドでは確実に不利

ただ、インバウンド誘客を目指すのであれば、特に中華圏からは家族連れでやってくる人が非常に多い、ということには留意しておく必要があります。
台湾でも日本のラーメンは大変な人気があります(どれだけ人気があるか、そしてどれだけのお金を出す用意があるのか、次回で触れます)。家族連れであれば普通は子ども入店不可の店は避けるはずですが、今回は台湾でも知られており、最初から日程に組み入れていた店だったために、「入れ替わり食事する」という方法を選んだのでしょう。もし一行が子ども入店不可の理由を明確に認識していたとしても、「なぜ家族連れより喫煙者を優遇するの?」という点については理解できないことでしょう。
子ども入店不可の店は、家族連れのお客さんからの売り上げを失っている可能性があります。国内での喫煙者がそもそも減り続けている中、喫煙者と家族連れ(そして非喫煙者)のどちらを大事にすることが最終的に店にとってメリットになるのか、あらためて考えてみてもいいのではないでしょうか。




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