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マーケティング戦略構築手法:反証

概要

目的〜Howのフレームワークによって導き出した各結論に対して、反証を行う。

これにより、戦略の精度を高める。

本稿では筆者自身の「特徴ある価値」を例に反証を行っていく。

14の反証質問

一つの事象に対し、下記14の質問を問いかけていく。

明確化:事象をわかりやすくする】「一言で言うと?」「小学生に説明してみて」

前提調査:ある事象を重要な問題と見なした初期設定(大前提)についての質問】「その前提は何?」

証拠:具体例、類似点、原因の確認】「それを証明できるものは何?」

視点1:自分と相手の視点を切り替える。筆者の場合は5タイプ使う。ポジティブ】「それ、めっちゃうまくいったらどうなる!?」

視点2:ネガティブ】「それ、全然うまくいかなかったらどうなるの...?」

視点3:中立】「うまくもいかず、失敗もしなかったらどうなるかな?」

視点4:子供】「そんなこと忘れて気楽に遊んでみたら?」

視点5:固定概念】「でも、普通ならそれはこうじゃない?」

サンクコストの呪縛:投資判断を下す際には往々に、投下済みのコストを考慮に入れてしまう。過去の投下コストを除外して、今後のコストだけを考慮する】「過去のコストを一旦忘れたら、今後のコストは妥当?」

損失回避:損切りすべきか否か】「それを続けて損失出ているのなら、損切りすべきでは?」

コントロール幻想:将来をコントロールする自分たちの能力を過信しているかどうか】「それは本当にあなたがコントロールできるものなの?」

完結志向:人間は本来、物事を完結させたいというバイアスを持っている】「それは全て完結させる必要はあるの?」

多数の無知:自身が常に正しいというバイアスに対して、反対意見を収集できているか確認する】「他の人の意見は聞いたの?」

個人のアイデンティティ:人々のアイデンティティや社会的地位が、意思決定と結びついている】「それは自分のプライドによる意思決定では?」

主にクリティカル・シンキングおよびバイアスの研究から抽出した要素となる。

目的〜Howの各フレームワークで導き出した結論に14の質問を問いかけることで、1回目の思考では思いつかなかった結論が出る。

下記は筆者自身の「マーケティングコンサルティング」における「特徴ある価値」を実際に反証した例である。

筆者の「特徴ある価値」:B2BとB2Cどちらもに適用可能なオリジナル戦略構築フレームワーク、包括的なデジタルマーケティングスキル、ミドルオブファネルからカスタマーサクセスまで幅広く経験のあるSaaSビジネススキル。戦略×デジタル×SaaS、これら3つのスキルを掛け合わせた戦略設計および法人営業が可能。(※筆者はWeb/SNSプランナー、MOFU領域におけるインサイドマーケター、カスタマーサクセスの経験がある。)

明確化「一言で言うと?」「小学生に説明してみて」

一言:戦略構築ができ、またデジタル領域にも長けている。

小学生への説明:おもちゃとかゲームとか、モノが売れる仕組みを考えることができるよ。またコンビニとかのお店だけじゃなく、Amazonみたいにスマホやパソコンからでも買えるような仕組みを考えることができるよ。

前提調査「その前提は何?」

SEO、SNS、SaaS等のデジタルマーケティングスキルは勉強かつ実経験を元に取得。戦略構築スキルは独自に勉強。またカスタマーサクセスはプロダクトのサポートを行うと同時に、戦略コンサルタントとして複数のクライアントへ戦略構築を行うことで実践能力をつけた。

証拠「それを証明できるものは何?」

デジタルマーケティング、SaaSビジネスは過去の実績数値。戦略構築スキルは、本業とは別に個人として戦略コンサル案件を行っている。

視点1:ポジティブ「それめっちゃうまくいったらどうなる!?」

今後、単価の高いコンサル案件が舞い込み、一人で稼げるようになるかもしれない。

視点2:ネガティブ「それ全然うまくいかなかったらどうなるの?」

デジタルやSaaSは変化が激しいため、自身の知識には消費期限がある。また戦略構築スキルに関しても「具体的なHow」は年々変わるため、常に情報取得および技術を磨かないと、Whatまで描けても、「具体的なHow」まで描けないかもしれない。結果的に、これまでの特徴ある価値は普遍的、ないし時代遅れな価値になるかもしれない。

視点3:中立「うまくもいかず、失敗もしなかったらどうなるかな?」

現段階においては、SaaSを含めたデジタルマーケティングスキルおよび戦略構築スキルを掛け合わせられる人材は国内における同業界、および多岐に渡るクライアント先では見かけなかった。つまり、どのマーケットに自分の価値を当てはめるかによって、ポジティブとネガティブの捉え方は変わる。価値の内容をもっと細かく明確化し、どのマーケットなら価値がポジティブに転じるか考える必要がある。ただし、海外には当たり前にいるかもしれないので、海外調査も怠らない。


視点4:子供「そんなこと忘れて気楽に遊んでみたら?」

デジタルx戦略にしばられてないか?そもそもの自分の性格、人間性、センス、好きなことへの知識だって価値になりうるのでは?学生時代に積み上げてきたものだってある。もっと人間味な部分を価値として考えてみたら?

視点5:固定概念「でも、普通ならそれはこうじゃない?」

普通の人ならスキルを一つに絞り、さらに質をあげる。自身はこれをやらない。80点のスキルをこれから足していき、それぞれを掛け合わせていく。

サンクコストの呪縛「過去のコストを一旦忘れたら、今後のコストは妥当?」

デジタル領域の勉強はもっと工数を増やしていい。戦略の勉強工数はほどほどかつ、カテゴリーを絞って吸収する。戦略はHow領域を高速で幅広く学び、体験する。目的からWhatに到る戦略家のセンスは、国内外の軍師を研究することでセンスを高める。

損失回避「それを続けて損失出ているのなら、損切りすべきでは?」

同業界のクローズな関係のみに特化した人間関係は機会損失。クローズな関係だけでなく、他業界や他業種、違った趣味や価値観を持った人と触れ合うことで、新たな価値観の創出が可能。出会いを増やすための行動が必要。

コントロール幻想「それは本当にあたながコントロールできるものなの?」

筆者と同じような人材が生まれることは防げない。模倣困難性を高めるためには、新たなスキル取得が必要。またデジタル領域における技術革新は前提を覆すインパクトがあるけれども、技術革新の抑制はできない。適応するか、マーケットを変える、ないしは諦めるものを増やす必要がある。

完結志向「それは全て完結させる必要はあるの?」

現在もデジタルの勉強と実践をしているが、デジタル領域は自分よりも10歳以上下の年代がビジネス前線に出てきたら敵わない。そのため、デジタル領域における勉強工数は徐々に減らしていく。戦略に関しても、Howは時代によって変わるため、Howスキル向上へのコストは慎重に鑑みる。一方で、目的からWhatまでは何世紀も前から軍師/戦略家によって差が生じているように見える。つまるところ、戦略思考における勉強はいつ何時の時代にも適応できるスキルであるため、今後も勉強へのコストを注力していく。

多数の無知「他の人の意見は聞いたの?」

聞いた。信頼できる友人、上司に強みから改善点まで色々伺った。これらの内容を反映できている。教えてくれた彼らには本当に感謝している。

個人のアイデンティティ「それは自分のプライドによる意思決定では?」

プライドではなく事実。だが、戦略思考といった思考の部分は具体的に表層化するのが難しく、時にプライドが混ざっている可能性がある。そのため、瞑想による客観視、またアウトプットを信頼できる仲間から常にフィードバックをもらい、自身の悪いところが出ていないか確認をもらう。

反証の結果

先数年においては、自身が持つスキルや経験はマーケットによっては大きな価値を生む可能性がある。

ただデジタル領域の変化により、スキルや経験が無価値になる可能性も高い。そのため、今とは違ったスキルの取得が必要。

戦略思考は具体的なフレームワークのみならず、過去の軍師を研究することで目的からWhatまでの思考能力とセンスを上げていく。

人間関係において自身は閉鎖的な癖がある。その分深い関係値を築けてはいるものの、あらゆる可能性を広げるには開放的な感覚も必要。

従って、当てるべきマーケット、デジタルへの勉強コスト、新たなスキル取得、戦略思考の勉強手法、人間関係の癖に変化を加えていくことで、自身の「特徴ある価値」をさらに高められる。

まとめ

本パートでのポイントは「1回目の思考では気づかなかったこと」に気づくこと。

例えば、筆者自身が反証を行った際。

反証前は自身の人間関係は広く築けているつもりだったが、整理してみると閉鎖的なことに気づいた。

これは反証を行う前の「特徴ある価値」を思考する時にはなかった要素。

このような盲点を気づくことにより、戦略の精度を高めていく。

参考文献


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