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中国深セン&香港の旅

”ハードウェアのシリコンバレー”とも言われる中国深センに行ってきました。WeChat等を運営するTENCENT社、世界最大の電気自動車メーカーBYD社、スマホ世界シェア2位になったHUAWEI社などが拠点を構える街だ。

香港から高速鉄道で15分という場所にあることにビックリ。香港は、「将来いつでも行けそう」ということを理由にまだ行ったことが無かったので、ついでに立ち寄れたのも良かった。

1.深センの様子

まずは現地レポから。(ネットを検索するだけで沢山情報は出てくるだけに、自分が紹介することにあまり価値は感じないけど、自分で書くことが大事だと思うので纏めてみた)

まずは電気街から。

秋葉原を模したとされる「華強化」という部品街がある。これだけの部品を一同に見るのは初めてだったので、圧倒された。世界最大の電気街と言われるこの場所は、1990年代に構想され、今に至る。今の深センが出来上がるまでの一連の流れやストーリーも含めて知ると中々面白いものがある。

「深センでの1週間はシリコンバレーでの1ヵ月」と言われるくらいのスピード感と言われていて、案内をしてくれた香港人の方がテスト使用していた自動翻訳機は、着手後4か月で作ってしまったとか。(実際に使わせてもらったけど、精度はかなり高かった。)

街に走る車の7割は電気自動車。写真にあるバスとタクシーは共にBYD社製。既に世界トップシェアを誇るメーカーだけど、お恥ずかしながら初めてこの会社を知った。見ればちゃんと名前覚えるし、企業動向を注目するようになるだけに、実際に現地に行くことって大事だなと改めて思う。

Mobikeを始めとしたシェア自転車もそこら中にあった。むしろシェア自転車以外の自転車に乗っている人をほとんど見ないくらい。ただ乗り捨て方が雑なところが中国らしい。(ここは中々変わらないのだろうか)

一番驚いたのは、Alibabaが運営する次世代スーパー。「Online merges with Offline」(OMO)と言われ、まさにオンラインとオフラインの融合の姿が見れた。3km圏内であればスマホからも注文出来、30分以内に配達してくれる。最近のOnline to Offline(O2O: オンラインから店頭へ)の次をいっているAlibabaは凄い。

電車、自転車、買い物など、あらゆる消費活動がスマホで出来る中国。圧倒的な人口の多さゆえの莫大なデータを収集出来るこの国にデータ活用分野で勝てる国はもはや無いのだろう。(あえて言えばインドくらいか)

2.香港アート

いま、香港アートがアツい。全部を見れたわけではないけど、その片鱗だけでも感じることが出来た。中環エリアでは、街の至るところで壁画があって、一つの観光スポットになっている。これまで色んな国で街のアートを見てきたけど、個人的には全体的に好きなテイストだった。人の心が豊かでないと醸し出せないテイストだなと感じた。

3.今思うこと

① 必然性と意思:シリコンバレーにしても、深センにしても、今のエコシステムになり得たのは、ある種の必然性があったと思う。そこには、地政学的観点・歴史的観点・政府の政策的観点等があると理解しているけど、最終的にこのエコシステムを築き上げたのは「そこに生息する人々」。皆、人生を賭け、生き残りを賭け、覚悟を持った人たちが強い意思を持って取り組んできた結果としての今があるのだと思う。

現地ガイドをしてくれた香港人曰く、「深センでは、名刺交換の代わりにWeChatのIDを交換し合う人も多い。(名刺を持っていない人もいる) すると、どんなライフスタイルを送っているのかがすべてをオープンになる。ここではポジションや会社が大事なのではなく、何が出来る人なのか、どんな人間なのかが見られている。」とのこと。

日本の大企業の社員が彼らと付き合うにあたっては、”イノベーションごっこ”ではダメ。「日本や自分だけの必然性はどこにあるのか」「結局自分は何がしたいのか」といった意思や志を持たずして、深セン・シリコンバレー・シンガポールなどの新興企業とは付き合う権利がないと思う。結局は、「自分と向き合い、行動に移し、愚直に取り組み続けること」以外に道は拓けないのだと思う。

② 中国大起業家による崇高な思想・マインド:旅の前後で現地情報を調べる中で、AlibabaのJack Maa氏、HuaweiのRen Zhengfei氏といった人物の思想やマインドを知ると、当初毛嫌いしていた中国への見方が変化した。Jack Maa氏のスピーチはネットで調べれば沢山出てくるけど、本当凄いと思う。個人的にはこの言葉が好き。

「I strongly believe. It's not the technology that changes the world. It's the dreams behind the technology that changes the world. If the technology changes the world, I would never be here. 」

彼らは世代的にも、大躍進政策や文化大革命も経験する中で、様々な葛藤があったはず。それが思想にかなり反映されている気がしている。中国の世界的ビジネスマンによる先導や、個人の信用力を計測するデータ活用等に後押しされ、中国人に対する信用力は(人口が多すぎる為全員とは言わないまでも)大きく改善されていくのだろう。実際、香港で出逢った若い北京人はとても親切だったし、スマートだった。若い人達はよく勉強していて凄く優秀だろうし、むしろリスペクトの姿勢で付き合っていきたい。(勿論、相手によるけど)

③ 中国と香港の関係性:先程記した通り、香港⇔深センは高速鉄道で15分。9月に開通したばかりの新幹線だけど、興味深いのは香港人の反応。香港は特別行政区なので、深セン(中国)との行き来にはパスポートが必要なのだが、深セン→香港の場合、香港のエリア内にImmigrationがある。つまり、ある意味では中国側が香港に侵食しているかのようで、香港人からすると面白くないのだと。いつか中国に侵略されるのでは、という声も聞こえるらしい。実際、多くの中国人が香港に入りやすくなったのは事実であり、香港経済を中国人が一部支えているという状況もあろう。更にこれだけ中国経済が大きくなり、デジタル面でも世界の先頭を走り始めると、中国と香港の関係性にも変化が見え始めるかもしれない。

④ インバウンドサービス:中国のスマホ人口からしても、データを活用したビジネスで勝てる国は無い。そこで闘おうとしても到底勝てない。あらゆる消費活動がスマホで完結していて現地に住む消費者にとっては便利快適ではあったものの、外国人にはその門戸は開かれておらず(開かれる可能性があるのかは不明)、不便さを感じた。実際、結構列に並んだ。上記①でも記載した“自分達だけの必然性”を考えると、日本でいえば国内需要がShrinkする中で「外国人旅行者へのサービス高度化」は必須だと感じた。

⑤ 不変的なもの:様々なイノベーションが起こる今般。変化が激しいからこそ、「変化しないもの(=不変的なもの)」も見えてくると思う。ちょっとくだらないけど、最先端の街である深センの街を歩いていても「アパレル店の広告塔の大半は欧米人だなぁ」とふと思った。欧米人の見た目への憧れは変わらないことなのだろうか。その不変的なものにこそ、“世の真理”があるはずであり、深セン含めた先進地域に触れながら、自分なりに見定め、事業に活かしていきたい。

4.最後に

やはり、どんなにネット社会が進化しても、現地に足を運び、最先端の場所・人・思想・空気に触れることは重要だなと改めて思った。9月は、バルカン半島と、深セン・香港に行けて本当に良かった。

旅を経たアクションとして、「英語力の強化」「Newsweekを毎週読むこと」「時間管理の厳密化(無駄時間の排除と時間有効活用)」の3つを始めている。僕はヘルスケア分野において、「国内介護を産業として成り立たせること」、そしてそこで得たノウハウを今後同じ社会課題に直面するだろう「海外に提供すること」の2つを通じて世の中に貢献していきたいと考えている。その上で、「世界と日本を語れること」は必須であり、だからこそ「世界を知ること」「世界を知ることを通じて日本を知ること」「世界で起きている問題の背景や因果関係を知り、考える力を身に付けること」は少なくとも必要であり、その為に今出来ることとしての「英語」と「Newsweek」と位置付けている。そして新たな習慣を始めるからには捨てることも必要であり、時間を管理し有効活用出来るようにしないといけない。

しっかり目的意識を持てれば出来ると信ずる。あとはいかに自分に厳しく、規律化しながらやっていけるか。新たな自分との勝負が始まっている。


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