タクシーで旅行気分

日々コロナの新感染者の高止まりにより、現在営業活動では公共交通機関が使えません。つまり電車に乗れない。本日は外出が必要だったのでタクシーを利用しました。自身最高利用額のタクシーでした。なかなかリッチな待遇です。言うほど高額ではないですが、私のお小遣い基準で言うと『もうその月内の昼食は富士そばすら食えない』レベルです。

時間にして、片道90分ほど。東京の街を横切って埼玉方面に。その往復だけの移動です。

タクシーは、電車と車の良いどころ取りだと改めて感じることもできました。
まず移動中仕事ができる(車はできない、電車はメールのやりとりとか資料チェックは可)、そして電話ができる(車はできる、電車は不可)。通常営業時にタクシーを使うことは限定的なので、これって使い方次第ではこれからも継続してもいいかも、と経費度外視で思うのでした。時は金なりです。

で、今日こんな話を書いているのは、タクシーって便利、ってことではなくてドライバーさんが印象的だったから、それを記録しておこうとの目的です。

帰宅時のタクシー。東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)の某駅のタクシー乗り場。個人的に、長距離にもなるし”個人タクシー”は避けたかったのですが、なかなか暇なのでしょう、5台くらい連続で連なっていたのでずっと待つのはさすがに厳しく、仕方なく3台目の”個人タクシー”へ乗車。行き先を伝えると、なかなかの距離にやや声を弾ませながら「どの道で行けばいいですかねぇ最近言っていないですからぁ」と。

私としては『ナビに入れてその通りに進めばいいんじゃない?』くらいに考えているので、住所を伝えて「高速は乗らずにお願いします」だけ添えました。正直近道とかもよくわかりませんし、やりたいこといろいろあったのであまり話す気になれなかったのです。

そんなこんなで進むこと30分ほど。道中でまた「どこか近道はわかりますか?」「やっぱ環七ですかねぇ」とか声かけられたので『なんだよ、ナビ通りでいいよ』って思いつつ、一応道筋をスマホで確認しながらやり取りをしているなかで気が付きました。

この人、おじいちゃんだ。
60、70ではない、おじいちゃんだ、と。

マスクもしていたのであまり気にしなかったのですが、結構お歳を召した方のようです。ここで二つ頭に浮かびました。

①この歳(このときは不詳)で運転大変じゃないかな
②長距離大丈夫なのか。途中で寝ないかな

ちょっと興味が湧いてきたので、やりかけの仕事をそこそこに話してみることにしました。

まずはお歳は80歳代半ばであること(すごい…うちのばあちゃんが運転してるようなものか…)。昔は新宿、銀座でもブイブイ言わせていたこと(端に営業エリアだったという意味です。脚色してます)、コロナ禍での苦しみ、給付金の100万がなかったらやばかったこと、個人タクシーの皆さんが食べていける最低限の売上や事情…など。なかなか興味深いものでした。このお歳で毎日稼働されているようです。家庭事情までは伺えなかったですが、なにがそうさせるか、そこまでは踏み込めず…

逼迫する宅配業界事情やタクシー業界を守る事情などにより、タクシーによる”宅配業”の話題も上がっていますが、活かせるものを工夫して活かす必要性を感じることもできた気がします。

そんな会話が続く中で、ふと「いやー実はね、目の手術をしておりまして。あまり目が見えないんですよ」とのカミングアウト。「今頃言うんじゃねぇ!」と急に背筋が凍る思いとともに、前傾姿勢から身体を深めに座り直していました。当然、運転できるレベルでしょうし、ちゃんと登録されている個人タクシー屋さんです。

その理由で高速は乗らない(どうしても乗る必要があっても80キロまでしか出さないことを先に断る)、夜は全く(視力が)ダメなので6時ごろまでしか営業しない、との条件つきでした。それを聞いてますますドキドキしてきました。

いまこうやって日記書いているので、無事です。

で、そんなような”会話”で今日も色々とタメになったなって思った次第なんですが、”会話”といいながらも実は終始ほぼ私からの問いかけには返答がなく、どんどん自分から話しているだけの”講演会”だったのです。耳が遠いんでしょうね。そりゃそうだ。それがまた印象に残りました。

支払い時に、社有カードの暗証番号を忘れてアタフタしていたポンコツな私に、イラつく素振りを見せることなく慣れない機器のマニュアル見ながら”サイン”にする方法を探しだしてくれた超絶親切なおじんちゃんドライバーさんでした。

ありがとうございました。
また会いましょう。

#ただの日記
#個人タクシー
#おじいちゃん
#90分もタクシー乗ってるとちょっと遠出した気分になって帰ってきたらちょっとした小旅行から戻ってきたような感覚になったのがタイトルの所以もしかするとおじいちゃんの雰囲気がそうさせたのかもしれない