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フレンチカリブのリズムと出会い、経験してきたこと。

note初投稿です。みなさんよろしくお願いします。

7/9,10 Blue Note Tokyo(BNT)の公演に先駆けて、会場地下1階にあるBar Back yardから生配信をしました。

内容は僕が近年取り組んでいるJamkaについて。

フレンチカリブのリズムと出会いのきっかけや、経験してきたことをトークしたり、生演奏や質問コーナも交えあっという間の1時間(ちょっと)でした。解説した内容は、おそらくみなさんが初めて聞く名前が沢山あったと思います。言葉も英語ではなかったり日本語のカナ発音では検索も不可能です。
なのでここに記録して、補足でリンクを貼ったり分かりやすく皆さんへ伝えられたらと思いnoteを始めました。

7/6 BNT 生配信アーカイブリンク

4:03   フレンチカリブ、グアドループ島のトラディショナルリズムGwoka(グォカ)との出会いのきっかけは 2008年に聴いたJacques Schwarz-Bart(ジャック・シュワルツバルト) のDlo Pann という曲。意味は『湧き出る水』だそう。

ジャックとの縁は、友人(現Mocloud Music Groupe代表)の紹介で。2003年にRh foctor のメンバーとしてBNT来日中飛び入りにきてくれたことから始まり(会場は今はなき西麻布 イエロー)、その後もちょくちょく交流がありました。

2000年代前半、ディアンジェロ、ソウライヴetc...ニューヨーク最前線の音楽シーンで活躍。生まれ故郷がグアドループ島、そこのルーツリズムとコンテンポラリージャズ要素をダイレクトにコネクトした2作品をリリース。


『Soné Ka la』2006年 




『Abyss』2008年

そのリズムを初めて聴いた時、シンプルで斬新かつ知的でワイルド、都会的なハーモニー、ベースとの相性も抜群な低音、なんて気持ちいいリズムと音楽なんだ!と感動しました。当時、表現に行き詰まりを感じて海のある湘南へ移り住み、自分に合うものはなんだろうと旅をしたり、様々な国のリズムを探していました。この出会いはまさに人生のターニングポイントでした。

このアルバムがきっかけで初めてフレンチカリビアングアドループ島、民族音楽Gwoka(グォカ)Kaと呼ばれるパーカッション 、というキーワードを知りました。

ラッキーなことに一緒に音を奏でたいという強い気持ちは伝わり、2010年にアルバム『Jam Ka』をレコーディング。ソニーミュージックの契約ラスト1枚でした。未知な世界へトライをさせてくれた事に感謝しています。

ジャックはプロデューサー&サックス奏者として参加、パリから二人の”Ka”奏者を呼んでもらいレコーディングはNYで。

Arnaud Dolmen(アーノウ・ドルメン) とOlivier Juste(オリビエ・ジュスト)、会った瞬間から柔らかくハッピーオーラが満ち溢れていました。

リハーサル時に初めてそのリズムを経験した時、自分が先走っている感覚があって全くうまく乗れずで。

でも、ジャックがアドバイスしてくれたりメンバーと何度もリハをしてくれるうちに一つになる瞬間を味わいました。それは地球と一体化したような、リラックスして時間の流れも不思議な感覚でした。

10:00   Jamkaレコーディング直後のBlue Note NYでの映像


2016年 Jam ka deux をパリにてレコーディング。

パリにした理由はジャックがオマール・ソーサのツアーでフランスへ行くタイミングを知ったことから。レジー・ワシントン(bass)はNyからベルギーに移住済み、フレンチカリビアンの皆はパリに住んでいるし、僕が行けば、最低限の交通費でレコーディング可能だったから。

このアルバムレコーディングがきっかけで、Grégory privat (グレゴリー・プリヴァ)、 Sonny Troupé(ソニー・トルーぺ)と出会う。

レコーディング後、初のグアドループへ(パリ、オルリー空港から国内線で9時間)。

15:10   グアドループ 島とはどこに?トラディショナルリズム Gwoka(グォカ)とは?

Jam ka deux rec 直後に収録したこの映像の冒頭部を使用しました。アーカイブ終了後も見れるよう元の映像を貼っておきます。

(後半パリのジャズクラブで初ライブの様子、ライブ直前インタビューもあるので是非!)


19:20 Gwoka 7つのリズムとは??
https://youtu.be/FxX7lwUpR5k?t=1160

・Kaladja カラジャ (心の痛み、哀しみ)
・ Léwoz レウォズ (戦いのリズム Jabrun ジュブロンIndestwas  インデストワズ 二種類ある)
・Padjanbèl パジョンベル (土地や空に関する労働のリズム。時に土地の過酷さ、空に舞う優雅さの象徴、クレオール版ワルツ)
・Graj グラジ (トゥーンブラックよりも遅いリズムで、サトウキビの収穫をイメージ)
・Woulé ウレ(マニオ=芋の種類 を育てる時に使われていたワルツリズム)
・Tounblak トゥンブラック(幸せ、愛、良いムードの表現)
・Mendé メンデ(最高の喜び、速いリズム、逃避とパーティ、カーニバルの誘い)

ちなみに僕のアルバム曲を少しあげると、

Flyway でのリズム=パジョンベル



https://open.spotify.com/track/6bXpmRsmRXmdPufqfwxmss?si=qN3C96U3QAePtBX-88ZfSA

Ti punch でのリズム=メンデ 

Live at Sunset in Paris  FEB. 2017


Modi’s tihaiのリズムはカラジャがベース。


ジャックのアルバムSoné Ka LaAbyssの若手フレンチカリビアンミュージシャン達への影響はとても大きい。

もちろん、その進化を語る上では欠かせないアラン・ジャン=マリーマリオ・カノンジュ、などのフレンチカリブ出身のジャズミュージシャンも沢山います。

アメリカ側からはサックス奏者デビッドマレイケニーギャレットもGwokaを取り入れた作品を作っています。

ジャックの2000代前期のNYコンテンポラリー要素とダイレクトにGwokaリズムが連結した作品はとても斬新で、その影響力は日本にいる僕にまで届きました。

憧れていたNYの空気感が扉となり、フレンチカリブの世界へ自分を導いてくれた感じです。

その影響は、グアドループの南に位置する同じくフレンチカリブの島マルティニーク出身のピアニストGregory PrivatのデビューアルバムKIKOTE(2012)TALES OF CYPARIS(2013)を聴くとよくわかります。


彼の初期2作品はマルティニーク要素、現代ジャズエッセンスがグアドループのGwokaリズムと融合した作品。

リズムはパジョンベル


プレー山の噴火で町が全滅、生き残った一人は独房の奥深くにいた囚人シパリ。マルティニークの伝説をタイトルにしたアルバム。


最近では同じマルティニーク出身のドラマー、Tilo Bertholo (ds)と共にマルテニィークトラディショナルリズム"bélé (ベレ)"のエッセンスを現代ジャズ要素の中にアート的に取り込んだ作品をリリース。

より現代ジャズ&彼のルーツであるマルティニークにフォーカスしたものになっている。

そのバランス感がとても素晴らしい。


Sonny Troupé の作品も是非。

二人のデュオも。

https://youtu.be/2M2iFGAXa9U

マルテニィークとグアドループは日本からみると同じフレンチカリビアンアイランドで似ているようにみえますが、実際のところ雰囲気は全然違います。(自然の見た目や共通点も多数あるが)、 民族リズムの点で言えば、グアドループでは島全体でGwokaが盛んで見つけやすいが、マルティニークのbéléはよりコアな場所に行かなくては出会えません。

マルティニークメインとなるフォール・ド・フランス(Fort-de-France)市内のカフェ、レストランやショップの店員さんは英語を話せる人が多かったです。雰囲気が島の外側へもベクトルが向いている印象。

グアドループは全体的によりローカル色が強くワイルド。

自然も同じく、マルティニークは柔らかく美しく、グアドループはワイルドでパワフルな景色が多い印象。

もちろん自分が見たのは一部だからこれから何度も行けば、また変わるのかなと。


マルティニークの雰囲気や位置などわかる映像も貼りつけておきます。

2018年、マルティニークジャズフェスティバルへ出演した際のドキュメンタリー。





他はまたの機会に。。。


28:36 photoコーナーよりいくつか抜粋。

29:15  Sunset surf camp  グアドループで毎回滞在しているサーフキャンプ。とても居心地の良い空間です。https://sunsetsurfcamp.com

Surfingは結構盛んで、波は普段はメローで柔らかく程よいパワーがある(サイズが上がると変貌する)、水も綺麗でほとんどがリーフポイント。オーナーのPayoがガイドしてくれます。

とにかくグアドループの海は最高に気持ちいいです。

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29:55  Ti punch  グアドループ を代表するカクテル。ライム+きび砂糖+ラム酒

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31:47  Kimbol Music School 

ソニー・トルーペの父が創立者。子供たちが伝統のリズムを学ぶ。成長とともにGwokaパターンをドラムセットへ置き換え方やJazzなども。Jam kaに参加しているアーノウ・ドルメン(Arnaud Dolmen)もここの卒業生。

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32:47     2019年に出演したGuadeloupeのFestival Eritajフライヤー。
グアドループの歴史を紐解き、伝統、発展を願うフェス。その年のテーマがグアドループの太鼓”Ka”で、ソニー・トルーペの紹介で出演。


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33:10   会場はその昔、奴隷貿易が行われていたという歴史的な場所”Petit Canal”。大きなKaのモニュメントがある。Kaのリズムと共に幾つもの難を乗り越えてきたパワーと先人への感謝、尊敬の念は計り知れない。とてもポジティブなエネルギーに満ち溢れていました。何世代も昔に感謝するその時間の距離と思いの強さにハッとしました。

https://www.france-voyage.com/tourism/petit-canal-2375.htm


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34:22   ライブ前、楽屋での集合写真。

右から、 
 ●Mano D'iShango  (Hip hop artist)セットリスト&選曲を担当。
https://youtu.be/ZoANYnXRIWI
Jonathan Julion(ピアニスト)

Joby  Julienne GwoKa マスター

Pierre-Edouard Décimus   1966年からFunk R&b Soul Jazz etc...を取り入れ大ブレイクしたグアドループのLes Vikings de Guadeloupe のメンバーであり、ズークを世界中に広めた伝説のバンドKassav(1979~現在もメンバーを変えながら活動中)の創始者。

Les Vikings de la Guadeloupe 1977年の作品。

僕が好きなのはKa Nou Pé Fé 最高です。

(ジョージベンソンのブリージンは1976年。かなりの影響を感じます)


80〜90年代の日本でのワールドミュージックムーブメントでMALAVOI(マラヴォワ)と共にその名を知られるようになる。それぞれのバンドの音は島の雰囲気を表しているように感じます。

MALAVOI=マルティニーク  KASSAV'=グアドループ 

そして、ムーブメントから20年以上経ち、再び日本へ入ってきた彼らのアルバムからもその島の空気を感じ取ることができます。

Grégory Privat =マルティニーク Sonny Troupé=グアドループ 

(ちなみにグレゴリーのお父さんはMALAVOIの鍵盤奏者でした。)




Stéphane Castry(ベーシスト)

キザイア・ジョーンズのバンドメンバーとして来日経験あり。

https://stephanecastry.com

Sonny Troupé(ドラム、Ka)

2019年5月このフェスの後、夏にJamka Quartet Japan Tourで来日。

彼の素晴らしい作品も是非! https://sonnytroupe.com

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37:40  Jam Ka Quartet at Blue Note Tokyoの 映像




42:20  生演奏



50:45   質問コーナよりオススメのギタリストを紹介

音源のリンクを貼るので是非チェックしてみてください。

Christian Laviso(クリスチャン・ラヴィソ)

グアドループ を代表するレジェンドジャズギタリスト


Ralph Lavital

グアドループとマルティニークの両親、パリで生まれ育つ。素晴らしいセンスを持つ30代前半の若手ジャズギタリスト。



Hervé Samb

パリ在住、セネガル出身のアフリカンジャズギタリスト。





1:03:02    ライブ告知

トリオメンバーを紹介(トリオでのライブ映像を使用)

Jamkaからインスパイアされたものを国内で表現するために結成したトリオ。




トリオ+グルーブマスター沼澤尚さんを迎えてのライブ。

様々なリズムを知り尽くし、世界のミュージシャン達と共演してきた沼澤さんがどんなアプローチを見せてくれるのかとても楽しみです!

YOSUKE ONUMA TRIO + TAKASHI NUMAZAWA at Blue Note Tokyo
2020 7.9 thu., 7.10 fri.

[1st]Open5:30pm Start6:30pm [2nd]Open8:30pm Start9:15pm
※7.9 thu. 2ndショウのみインターネット配信(有料)実施予定
※アーカイブ配信視聴期間:7.17 fri. 0:00amまで

小沼ようすけ(ギター)
カイ・ペティート(ギター、ベース、ヴォーカル)
岩原大輔(パーカッション)
沼澤尚(ドラムス)



7/19

YOSUKE ONUMA TRIO at Cotton Club
小沼ようすけトリオ

2020. 7.19.sun
[1st.show] open 4:00pm / start 5:00pm
[2nd.show] open 6:45pm / start 7:45pm

MEMBER
小沼ようすけ (g)
カイ・ペティート (g,b,vo)
岩原大輔 (per)


いかがでしたか??

生配信した内容がよりクリアになってもらえたら嬉しいです。

今後ギターの講座なども考えていますのでお楽しみに。






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