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JaSST Reviwe'19-JaSST Tokyo'20が中止になったので今頃レポートを書きました-

はじめに

 私も今回参加する予定だった「JaSST Tokyo'20」が新型コロナウイルスの影響に伴い残念ながら開催中止となってしまいました。今これだけ世間で騒がれているので致し方無いとは思いますが、せっかく時間をかけて準備をされてきた運営の方もいらっしゃるのでただただ残念ではあります。
 ということで、代わりに昨年妻の出産でバタバタしている中で参加した「JaSST Review'19」について、今更ながらメモを起こしつつ自分の考えを交えながらのイベントレポートを書こうと思います。今回は「レビューで指摘するときの思考とその例」というテーマで3名の登壇者が発表してくださいました。一言でレビューといっても、それぞれの理解や解釈は広く、またレビューを行うのはソフトウェアテスト業務だけではないため、様々な視点を持った方の話が聞けてとても勉強になりました。

オープニングセッション(風間 裕也 氏)

 「JSTQBの新シラバスではレビューの記載が約2倍に増えている」なのに「事例は少ない」とのこと。ソフトウェア開発においてもAgileなどの開発手法が主流になっており、プロジェクトにおいてもある程度のスピード感が必要になってきている中で、実際に開発プロセスにおけるレビューの重要性というのはより高まってきているのだろうと思います。
 ただ、おそらく多くの方はその手法についてまでは誰に聞くでもなく、何となく学んで、何となく実施しているため、結果「重要なのに事例が少ない」ということに繋がっているのだろうなと感じました。
 私が昔、人にレビューを依頼する方ではなく人のレビューを担当することが増えてきたときにレビュースキルが欲しいと思って「なぜ重大な問題を見逃すのか?間違いだらけの設計レビュー」という書籍を読んだのですが、そこにはレビューには4つのステップ(レビューの準備、問題の検出、問題の指摘、修正・フォロー)があって、ちゃんとレビューには手順があるということが書いてありました。私もその書籍を読むまでは「レビューってどうやればいいんだ?」と思いながらも、「レビューにやり方なんてあるの?」という思いがあったため、当時調べた際にちゃんと文章化されている書籍があることに驚きを覚えたのを思い出しました。

文書校正におけるReviewと活用するための分類およびルール化(津田 和彦 氏)

 文書校正というもの自体、あまり意識して使用したことがなく、また文書作成ソフトウェアで間違いを指摘してくれる機能は当たり前のようにありますが、よくよく考えたら凄い機能だなということを再認識することができました。
 特に日本語は世界で一番難しい言語だという方もいる位、ひらがな・カタカナ・漢字が混ざった言語です。その日本語の文法チェックの精度を30年も前に確立され、また文書校正ツールのルール化をしたというお話はとても興味深く、少し業界は異なりますがとても参考になりました。
 SNSはNGとのことでしたので配慮して詳細な内容は割愛させていただきます。

レビューツールの利用とプロセスのあり方(岡野 麻子 氏)

 組織でツールやそのやり方を標準化するSEPG(Software Engineering Process Group)として活躍されているということでした。恥ずかしながら私はSEPGが何だか分からず、「聞いたことない方ー?」という問いに対して自信満々で手を挙げる始末。でも意外と他にも知らない方が多くて助かりましたw社内外で啓蒙活動も盛んにやられている方のようで、以前のJaSST Tokyoでも公演されていたみたいですね。
 今までレビューツールというもの自体に積極的に関わってきた訳ではないので、レビュースキルは完全に属人化していたんだなとこの講演を聞いて初めて気が付きました。ただ、「成果物のレベルがバラバラ」であったり「文言や体裁が整っていない」という課題は大体どこの組織でも共通して課題意識を持っていたりするのですが、振り返った時にそこにあまり積極的に取り組めていなかったのは、そのくらいは「どうにもならないからしょうがない」といったような諦めに似たものがあったのかなと思います。そのあたりは、今後人の手だけでなくツールという選択肢も考えていく必要があるなと感じました。

『違和感のつかまえかた』~組み込みシステムの開発者(テスター)としてやっていること~(深谷 美和 氏)

 そもそも業務で形式的なレビューというを行っていないということで、こちらの公演は技術的な話というより、日常に潜む「違和感」に対して敏感になり気付けることで、全てを品質に変えていこうという話でした。ただ、自分がまだまだだなと思いますが、アンテナを高く張り続けるのはとても大変そうで、正直これが一番「センス」も必要な気がして鍛えるのも大変だなと感じました。
 たまにめちゃくちゃバグを見つけるのが上手い方っていますけど、そういう方とかはもしかしたらこういった「シグナル」や「違和感」を自然と捕まえることができているのかもしれませんね。製品の動作だけでなく、同僚の様子や自身の体調までをシグナルと捉えて「違和感」を持つ。製品への愛情と品質への想いがすごく伝わってくる講演だと思いました。最後までハッとさせられる講演でした。

パネルディスカッション

 すみません。こちらのメモをどこかに紛失してしまい。。見つけ次第更新しますが、一つ印象に残っているのが、オープニングセッションで「レビューの考え方は人によって異なるのでそれを統一したい」という話や津田先生の講演に関連して、「レビューは形式化できる」という言葉が印象に残りました。そういった考えが進んでいってより今の開発に適したレビュー方法のようなものが確立されたらいいなと思いました。

最後に

 自身初のJaSST参加で少し緊張していたところもあったのですが、参加してみると良い意味でそこまでハードルが高く無く、それでいてもちろん学びもたくさんあったシンポジウムでした。今年のJaSST Tokyo'20は延期になってしまいましたが、来年は無事開催できることを心待ちにしております。というか来年はそういったイベントを開催する側になっていきたいです。



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