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提案はスタート。企画の実行の磨き方

このnoteの概要

こんにちは、村井庸介です。

就職・転職における内定取り消し、自宅待機が増え今後のキャリアについて悩む方の話を聞く中、僕が世の中に貢献出来ることは何かと考え、働き方・キャリアについて、出版した2冊の著書をもとに、このnoteを始めました。

前回は管理部門の立場で、どのように提案していったのかについて、お話ししました。あらゆる提案は、その後の実行してこそ、次の提案の機会が頂けるものです。今回は提案後の仕事の取組み方について、事例をもとにお届けしてまいります。

提携後も品質がさらに向上するための工夫

前回は管理部門の立場から、カスタマーサポートセンターの外部への移管の企画提案について、話をお届けしました。

その提案の重要なゴール・イシューは「人員コストを将来にわたって抑制すること」であったことは間違いありません。抑制効果も見えていましたので、経営陣にとってはそれだけでもこの提案を承認する理由がありました。

しかし、私がこだわったことはそれだけではありません。カスタマーサポートの質が、外部委託したことによって落ちてしまったのでは、何の意味もないことを強く意識しました。

現実的には、提携の条件です。金額面をたたいてたたいて、一方的に値切ったのでは、必ず品質が下がります。

いくら安く契約したとしても、いざ運用が始まったときに先方が「あれ、こんなはずじゃなかった」「この料金でこの仕事量では割に合わない」と感じるのであれば、サービス内容のレベルを下げるしかないのです。

ソーシャルゲームにとって、カスタマーサポートは顧客と直接コミュニケーションをとる、非常にナイーブかつ重要な仕事です。ちょっと手を抜けば、すぐにうわさが広まり、下手をすればビジネスに決定的なダメージを与えかねません。

そこで私は、提携会社の選定と、契約条件の内容確認にあたって、とにかくヒアリングをしました。同時に、前回もお話しした通り、自社のデータもすべて開示しました。

一応、発注側なので、立場的には強いといえます。

しかし、相手の事情もよく聞き、実際に運用が始まったときに、想定外のことが起きたとしてもある程度の余裕があって、柔軟に対応できるくらいの条件設定を目指しました。「この条件が呑めないなら、頼まないよ」という態度はとらなかったということです。

結果として、自社で人員を雇っていたときよりも、外部に委託してからのほうが、カスタマーサポート業務の内容は改善されました。

コールセンター業務のプロに任せて、効率よく動かしてもらった結果、回答までの一次レスポンスのスピードや、発見された課題を解決するまでの時間といった評価指標が高くなったのです。コストは下げて、業務品質は高める。私の提案の理想の形が実現できました。

「誰もやりたがらない仕事」をやってみる

提携プロジェクトにあたって、いくつかのコールセンター(を運営する会社)とのヒアリングと打ち合わせを重ねたことは、私自身にとってはもちろんはじめての経験でした。

それまで私は、コールセンターの詳しい業務内容について、まったく知識がありませんでした。それは自社の誰もがそうだったと思います。

だからこそ、面倒くさそうだし、どうなるかわからない。「やれ!」と命令されたわけでもない。まさに「誰もやりたがらない」仕事です。それを、愚直に、真剣にやるところに私のバリューがありました。

コールセンターは、あくまでも当初の契約内容にしたがって人員を確保します。「これだけ人を入れます。そしてこれだけ時間がかかったので、いくらです」という取引です。

では、不測の事態の場合、時間延長分はどこまで自社が負担するのか、といった条件も事前に詰めておかないと、トラブルになりますし、何よりも無理を通せば品質が下がるのです。

たとえば、「今月の何日に新しいゲームをリリースします」というスケジュールは、直前までぶれることがよくあります。

新しいゲームが出る計画があったら、当然、カスタマーサポートの人員が必要なので、コールセンターは事前に「この日から何人」というアサイン計画を立てます。ところがゲームが出ないとなると、確保していた人員が余ってしまうわけです。

コールセンター側の重要な業務のひとつは、顧客企業から「来月のいつごろ、こういう業務が発生します」という計画を前もって聞いて、必要な人員を整えて臨むことです。

「来月はそんなに人は要らないから、その分の人員は別の会社の業務に回そう」といった、いわば「ヒト」と「時間」のぎりぎりのせめぎ合いの中で、いかに最適に回していくかということのプロなのです。

そうしたコールセンター側のビジネスの仕組みと事情を、可能な限り聞き、同時に自社の実態もさらけ出しました。

「御社と契約したくなくて無理を言っているのではなくて、御社と契約したいからこそ、現実に起こりうる事態に細かく対応できる契約にしたい」

それが私のスタンスでした。コールセンター側もそれを理解してくれ、「Win-Winを目指しましょう」という合意があったからこそ、委託後にカスタマーサポートの品質が上がったのだと思います。

いまから考えても、とても面倒くさい仕事でした。
もっと楽に、手を抜くこともできたでしょう。しかし、あくまでも今回のゴールにこだわった結果でした。

まったく経験のない業務に飛び込んで、相手の仕事の内容を理解し、最適な結果にたどりつくという仕事自体は、野村総研時代から私は普通にやってきたことでした。毎回、まったく異なるプロジェクトをやってきたので、やること自体に恐れや躊躇はなかったのです。

結果的にはそれが、今回の大きなバリューになりました。

社内には、様々な課題が眠っていると思います。気づきながらも、今の仕事が忙しい、あるいはやったことないから出来る自信がない、そういって長年化石のように眠り続けているものもあるかもしれません。

けど、そうした課題に挑戦してみることは、プラスの経験値にはなっても、マイナスの評価に繋がることはほぼないでしょう。周りの人は、それをやってこなかった人たちなので、批判する権利はありません。

ただ、やったことないことだからこそ、提案したのちの実行の品質にいつも以上にこだわりを持つことが大事です。そうすることで、企画提案したこと自体の感謝と信頼が後々積み重なり、さらなるチャレンジを生み出していきます。

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