長下肢装具を用いた介助歩行の注意点

長下肢装具を用いた介助歩行の注意点をまとめたいと思います。

こちらの論文が参考になります。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/artsjpta/29/0/29_20/_pdf/-char/ja

論文では
・二動作前型杖なし歩行
・三動作揃え型杖あり歩行
で比較を行っています。

アウトカムとして、筋電図にて筋の収縮具合を確認しています。

結果はというと、二動作前型杖なしの方が筋収縮が強く出ています。


筋収縮が生まれるということは、麻痺の改善、筋力強化、正常な学習などが狙えます。


歩行を行う場合は、介助量などを考えて杖を使用したり、平行棒で行ったりしていませんか?その考えももちろん大切な事だとは思います。

でも、その歩行訓練は実際は効率的ではないのかもしれません。

健側に荷重をする事は、もしかしたら麻痺側の機能回復を奪っているかもしれません。

健側を使用しすぎることで、もしかしたら半球間抑制が起こっているかもしれません。

機能回復をしたいのか?実用的な歩行訓練をしたいのか?によって歩行訓練内容は変わります。

もし、機能回復を狙っている場合では、杖なし歩行も評価してみることをオススメします。

感覚フィードバックも重要とされています。

これがある場合とない場合では筋活動に有意差がでたとしています。

背屈可動性を出す事が下腿三頭筋の伸長刺激となり感覚フィードバックが生じた可能性があると考えているようです。

また、前型歩行はCPG賦活に関与しているようです。

反射的に収縮が入ってくれるので、随意性の落ちた患者さんでこそ、前型歩行が有効なのかもしれません。

ついつい装具の背屈制限をしたり、股関節伸展が出ないまま介助している方いませんか?

実際の筋収縮は少なく、機能回復を阻害しているかもしれません。

研究から臨床に活かせる論文だと思います。

明日からの介助歩行では杖なし、前型も意識してみて下さい。転倒だけは注意ですが、、、、


まとめます
・前型歩行(足関節背屈、股関節伸展)
・装具は背屈可動域を出しておく
・可能であれば杖など使わない
・感覚フィードバック(伸長刺激を与える)
・CPGの賦活(リズムも大切です)

頭で考えるのと身体を動かすのは違うと思いますので介助は繰り返し実施して身体で覚えていく必要があると思います。

ただしコツ、チェックポイントなどを意識して歩行介助を行う事で介助技術は上がっていくと考えます。

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