この人に合う装具は何?②

問題〜この人に合う装具は何?②

※今まで見たことがある患者さんを参考に例として考えてます。

【基本情報】
85歳
男性
Hope 畑をやりたい
被殻出血 左片麻痺
CTにて内包後脚損傷あり
回復期転院してきて1週間
発症から1ヶ月
発症時はBRS Ⅱ

【回復期評価】
BRS Ⅱ
mAS 背屈1 +
ROM 背屈10度
認知機能 MMSE22点
感覚障害 軽度鈍麻
MMT 非麻痺側4、麻痺側測定不可

【裸足歩行】
非麻痺側優位の歩行
麻痺側立脚で膝折れあり
麻痺側立脚時間短縮
麻痺側はバックニーで制動
麻痺側遊脚は骨盤での引き上げあり

〈質問〉
・こんな方がいましたら何を問題と考えますか?
・装具は使いますか?
・どの装具を選択しますか?
・いつ作製しますか?

僕の考え
自分で考えてから見た方が頭に入ると思いますので考えてみて下さい。








〈問題点と解釈〉
85歳であり、内包後脚の損傷もあり。発症後1ヶ月してもステージはⅡという状態。

上記より麻痺は残存する可能性が高い。また被殻出血なので基底核ループの損傷から筋緊張亢進の可能性も考えられる。

膝折れがあるため、比麻痺側優位になりやすい。また膝折れがあるためにバックニーで制動している可能性が高いと考える。

バックニーがあるということは歩行時に背屈は生じない。また随意性の低下、筋緊張亢進から積極的な背屈運動は生活の中で行えていない可能性がある。背屈可動域制限はそのためかもしれない。

ステージⅡということは随随意運動は難しい状態。歩行獲得には装具を用いた歩行練習などで筋収縮を促していきたい(ヘブの法則)。

〈どの装具を選択するか?〉
膝折れがあることから、長下肢装具の選択を考えていく。またMMTの測定は行えていないが麻痺側の筋出力は大きく低下していると考える。それらを含めると体幹、股関節の支持性upにはやはり長下肢装具が第一選択になるか。
しかし、短下肢装具でも支持が可能かは評価をする必要がある。具体的にはSLB+ニーブレス→SLB(背屈制限)→SLB(背屈遊動)orSHBなどで段階的に負荷量調整を行いながら進めていく。

〈いつ作製するか?〉
麻痺改善は時間がかかること、筋緊張亢進
の可能性が高いことから長下肢装具の作製を早期に進めたい。
備品用ではなく本人用にしたい理由としては、自分用の方が筋収縮が入りやすいとの報告があること、カットダウンできたとしてもSLB使用の可能性も高いことなどから判断した。
また長下肢装具装具に至っては早期作製した群の方が機能向上がみられていることから早期の作製が必要と考えている。

〈その他〉
畑をしたいというhopeがあるため、屋外も対応できる物がいいのかは考えていく必要がある。足部がプラスティックにするか、覆い型の様に皮タイプにするかはよく考える必要がある。
長下肢装具の足継手はGSにするという考えも必要だと考える。値段が高くなることの説明とGSが筋緊張に負けないを判断して決定していく。

うん、、、難しい。

考え方はいりいろあります。当院はゲイトイノベーションがあるので長下肢装具は作らない傾向が強いですが回復を望むなら自分用がいいと思います。金銭面を気にする方が多いですが、その分早く帰れる事が多いので作った方が安くなる事も多いようですよ。

チャレンジしてほしいですね。

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