地理的障害のリハビリテーション 症例報告

高次脳機能障害のリハビリテーションは難渋する事が多いです。記憶障害や注意障害などがあるとなかなか思うようなリハビリテーション効果が出せず、論文や教科書などを参考にすることが多いです。

しかしながら、患者さんとぴったり合う症例報告を探すことは容易ではありません。いかにそれらの論文などから学んで患者さんに置き換えられるかを考えていく必要があります。

また、症例報告では比較が難しいため、どうすれば説得力のある文章にできるかを考えることも必要な力だと思います。

今回は地理的障害と注意障害に対するリハビリテーションの症例報告から学んだことをまとめたいと思います。

苦手な範囲であったので、勉強になりました。

地理的障害は損傷部位により街並失認と道順障害の2種類に分けられます。

以下引用
「街並失認とは ,熟知した街並(建物・風景)を見ても何の建物か, どこの風景か分からないために道に迷う症候で,責任病巣は右側あるいは両側の海馬傍回後部と舌状回前半部,これらに隣接する紡錘状回とされる. 道順障害とは,一度に見通せない比較的広い範囲において自己と他の地点の空間的位置を定位できないために道に迷う症候で,責任病巣は右側の脳梁膨大後皮質と後帯状皮質後部,楔前部下部とされる.地理的障害に対するリハビリテーションはエビデ ンスとして確立したものはなく,症例報告レベルに留まっている.」

画像1

症例ですが、自室から数メートル先のトイレまでの道順も覚えられないといった症状がありました。

自室を出てからトイレと反対に行ったり、そこから自室に戻れなかったりといった症状が見られました。

評価では身体機能のほかにTMTやMMSE、WMS-R、リバーミード行動記憶検査を行なっています。PTも覚えていかないといけませんね、、、OT、STに任せてしまうことが多いので反省です。

合計点だけでなく、それぞれの項目を細かく見て何が障害されているのかを判断して問題点をまとめています。

発表などでは合計点のみの記載しかないものなどみますが、本当に必要な所は何の機能が落ちているかだと思います。そういった事を考えると減点項目やどのような兆候がみられたのかなどしっかりとした記載をすべきなんだと思いました。

言い換えればカットオフなどの数値だけにとらわれないようにしないといけません。

治療については道順メモの掲示(A)、廊下への張り紙(B)、自室へのランドマークの貼り付け(C)の3種類を行い効果を比較しています。

Aでうまくいかない→Bでうまくいかない→Cで効果が見られたということなので、A<B<Cという説明には納得がいきます。またそれぞれの介入日数も2〜3日なのでその間の劇的な改善よりも介入方法による効果の違いが伝えられるかと思います。

Cでなぜ改善がみられたか?といった点には課題難易度が下がったからではないかと考察しています。メモを見て→覚えておいて→実行するといった課題より、単純にランドマークを探すといったことを行えばいいのでCの介入の方が本症例には合っていたのではないでしょうか。

意識が変わると論文の読み方も変わりますね。

いかに論理的に相手に伝えるか?しばらくはこちら能力を鍛えていこうと思います。


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