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「なぜ勉強するのか?を子どもに伝えよう」の落とし穴

私の住んでいる新潟、いよいよ特有のじめっと感が発揮されてきました。
でもスーパーとかって冷え過ぎているから、外のじめっとしたぬるまっこい感じが逆に気持ち良かったり。

さて、今日のテーマは私が務める学習塾の現場で日々感じていることを。

塾に通う子どもたち(中学生が大半です)は大抵、勉強が嫌いです。
嫌いだから、成績が落ちて、分からないところがどんどん増えて、また嫌いになります。
勉強が好きだったり、習慣が身についている子どもであれば問題ないのですが、そもそも勉強嫌いな子どもたちは「なんで勉強しなくちゃいけないの?」という疑念をいつも抱いているので、自分から勉強しようなんて気は、目の前に人参をぶら下げない限り起こりようがありません。

彼らの言い分はこうです。

実際の仕事でこんな数学の公式とか、絶対使わないでしょ
自分は将来日本から出ないから英語なんて必要ない
歴史上の人物とか出来事って、覚えてなんの意味があるの

どれも論破してやりたい衝動に駆られるものばかりです(笑)。


「なぜ勉強するのかを伝える」は正しい?

「なんで」と理由を聞いているんだから、経験から語ってあげようと思うのが大人ってもんです。かく言う私も、「なぜ勉強するのか?をきちんと伝えて理解できれば、子どもたちは勉強の大切さに気づいてくれる」と信じていました。

伝え方は様々ですが、一番多いのはこれではないでしょうか
「今から勉強しておけば、将来いろんな選択の幅が広がるんだよ!」

正しい。とっても正しい。
自分の経験からも、他人の経験からも、大人になった多くの人が「もっと勉強しておけば良かった」と、選択肢の少なさを嘆いているんだもの。間違いなく正しい。

でも、これを一生懸命、多くの生徒に伝えている中で思ったんです。
「なんか・・・伝わってない気がする」


理由を伝えても伝わらない理由

ここからは私の推測です。コミュニケーションの本や人の話を聞きながら、これって子どもにも当てはまるよなぁと思うことも絡めながら。

子どもたちに勉強がいかに大事かを説いても受け取ってもらえないのは、専門家に「健康のためには毎日軽い運動が大事です」と言われても聞き流してしまうのと似ている気がします。どんなに不安を煽って「運動しないと生活習慣病になるリスクが上がりますよ!」と言われても、健康に対して興味がない人からしたら「そうなんだー」くらいの情報でしかないのです。

でも、これが健康に興味のある人であれば別です。
健康診断に行ったら今までで最悪な結果が返ってきた。でもまだまだ働き盛り、身体を壊して休むわけにはいかない。じゃあ健康を取り戻すにはどうしたらいいんだと考えていた人に「毎日の運動が大事です」と伝えれば、その人は生活習慣を変えることを検討するでしょう。

つまり勉強にしても健康にしても、大事なのは知っているけど、そんなに困ってないし、実感もないから興味がない、と言うのが本当のところではないでしょうか。

人間を行動させるもの

人が行動する動機は、システムではなく感情です。
どんなにシステムが良くて、それを頭で分かっていても、
感情でしか、人は動かないんです。

YouTube講演家、鴨頭嘉人さんの言葉です。
※筆者は鴨頭さんの言葉にかなり影響を受けています。

これは子どもも大人も関係なく当てはまることだと思います。
勉強に当てはめて「感情で動く」とはどう言うことか、自分なりに仮説を立ててみました。

彼らが欲しいのは、勉強していることへの承認なのではないか、ということです。

自転車に乗れた。1人で皿洗いができた。ピアノが弾けるようになった。
こんな時、自分が子どもだったら親に見ていて欲しいし、なんなら「よくがんばったね!偉い偉い!」と声をかけて欲しいものです。

勉強に関しても、同じではないでしょうか。
上手くできたかできないかはさておき、がんばったことに関して褒められたい。認めてもらいたい。彼らが無意識にも欲しているのは、そんな承認なのではないでしょうか。

でも勉強って他のことと違って、明確に結果の良し悪しがわかり過ぎるんです。つまり、テストの点数でしか褒められないし、それまでどんなにがんばっていても結果が点数が悪ければ「勉強の仕方が悪いんじゃない?」と叱られてしまう。これが、彼らの中で「あれ?今までのかんじでやっても認めてもらえないぞ?勉強できた方がいいのはわかるけど、なんでこんなこと頑張らなきゃいけないんだ?」に繋がっている…という、あくまで仮説です。


勉強する大人は褒められる!子どもだって褒められたい!

社会人になってなお勉強して資格を取ったり、キャリアアップを目指す人って、単純に偉いし尊敬されたりします。だったら、子どもたちが勉強するのだって当たり前ではなくて、とても尊い行為であると思うのです。

「勉強してるんだね!もうそれだけで素晴らしい!偉いよ!問題でミスしたのかい?良いんだよ、ミスを受け入れて次にできるようになれば良いし、その悔しさがバネになるんだから!君は大物になるよ!」

なんて海外ドラマの吹き替えみたいに声をかけられたら逆効果かもしれませんが(笑)、テンション的にはこれくらいの称賛を勉強を頑張る子どもたちに送り続けたいものです。それで彼らが「まぁそんなに認めてくれるならやっても良いかな」と“感情”で動いてくれるなら。

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