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本物だけが生き残る

暑い夏もようやく落ち着いてきて、秋の兆しが見える日も増えてきました。そんな中ですが、きっと多くの経営者の心境は、なかなか落ち着かないのではないでしょうか?

ロシアのウクライナ侵攻、急激に進むインフレ、米国を中心とした金利の上昇など、急激な外部環境の変化を受け、マーケットは、大きく動いています。当社も例に漏れず、その影響を受けており、株主の皆様にご心配をおかけしていることを申し訳なく感じています。この場を借りてお詫びいたします。

投資家の方々をはじめとするステークホルダーの皆様とディスカッションをさせていただいたり、中長期の成長を見据えた上での事業プランの整理をしたり、すぐに削れるコストは削ったり、ここ数カ月はにわかに慌ただしく過ごしてきました。

ただ、僕の頭の中は意外と冷静で落ち着いています。

こうした非常時にやるべきことは何か?と考えば考えるほど、「これまでずっとやってきた“アタリマエ”のこと」にぶれずにフォーカスすること、だなあと。

では、僕らにとっての“アタリマエ”とは何なのか。
それは、創業以来一番大事にしているこの言葉に集約されます。

User Focus(ユーザーフォーカス)

ユーザーの方々に真摯に向き合い、ユーザーの期待を超えるソリューションを届けていくこと。

創業から10年。僕たちがやってきたことが何かと問われたら、「ユーザーに向き合い続け、サービスを愚直に作り、届けてきたこと」と言えるのかな、と思いますし、これからの10年もこれをやり続けることが一番大切だと感じています。

そしてその価値は、厳しい冬の時代だからこそ、一層価値が発揮されるものなのかもしれません。なぜなら、答えはいつもユーザーの方々が持っているからです

僕が大好きな話の一つに、チョコレートの「KitKat(キットカット)」を大ヒットに導いた元ネスレ日本CEO、高岡浩三さんのエピソードがあります。

「きっと勝っと」にあやかって、受験生がお守り代わりにチョコレートを買い集めるという不思議なヒット現象。20年以上前、当時マーケティング本部長だった高岡さんが九州までヒアリングに行き、地元スーパーの社長から「1月、2月にやたら売れる。受験生が買っているらしい」と聞いた話がきっかけで一大キャンペーンを発案したというのは有名な話かと思います。

僕も創業以来、お客さまに実際にお会いし、直接お話を伺うことを大切にしてきました

いい時も悪い時も、「今、目の前にいる人の課題は何なのか? 僕らはそれに対してどうお役に立てるだろうか?」と考えては、トライ&エラーを繰り返してきた10年。一円も売れないのに北海道までお客さまの話を聞きに行き、同行したメンバーから「飛行機代も出ないですね」とため息をつかれたこともありました。

移動が制限されたコロナ禍でも、オンラインでの機会も活用しながら、お客さまとのコミュニケーションはできるだけ続けてきました。

結果、ユーザーの方々に寄り添うサービスを徐々に少しずつでも広げていくことができてきているのかな、と思います。もちろん、「出してみたけれど、ちょっと違った……」というお恥ずかしい失敗も無数に経験しながらではありますが。

失敗を失敗と思わないくらい、恐れず挑戦できるのも、「User Focus」という僕たちが一番大事にしているバリューがブレないからだと思います。

例えば、家計簿管理から始まった個人向けの『マネーフォワード ME』では、保険やスマホ料金の最適化、不動産の価格診断、FP相談などなど、生活密着型のサービスが少しずつですが拡充してきました。

そのどれもが、「お金の課題解消を通じて、人生を前に進めるお手伝いをしたい」という想いに基づくものなのですが、ふと気づけば、今のような厳しい経済状況に置かれたときにこそ、価値を感じてもらえるものなのかもしれません。実際、物価の上昇や円安を受けて、「家計をきちんと見直したい」と考える人は増えているようです。

お金の問題はシビアに人生に影響します。この厳しい時代に僕らがコツコツと積み上げてきたサービスが少しでもお役に立てるのなら、こんなに嬉しいことはありません。

法人向けの事業も然りです。この1年以内に立ち上げたサービスを挙げてみても、柔軟な資金調達を支援する国内初のデットファンド(スタートアップ・デットファンド)や、キャッシュフローを改善するオンラインファクタリング(Biz Forward)など、厳しい環境下において、企業により求められるものを少しずつですが生み出せてきているかなぁと思います。

先々月、2022年下期のスローガンを全社員に向けて発表しました。

下期のスローガンは、「本物だけが生き残る」。

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PYI 半期スローガンR5 (1)

過酷な変化を前に、生き残ることができるのは“本物”だけ。僕たちは“本物になること”を目指そうと伝えました。

では、本物と偽物の違いは何か?

それは、「ユーザーの方々に愚直に向き合い、本当の価値を届け続けられるか?」だと僕は思います。

愚直に続けてきたアタリマエのことが、誰かの今日を支えて、社会の明日の役に少しでも立つ。皆が苦しいときにこそ、存在する意味を感じてもらえる。

そんなサービスを作り届けることができる「本物」の会社であり続けたいと強く想っています。「便利」のさらに先の価値を生み出せるよう、これからもサービスを作り、届けていきたいと思いますので、ぜひこれからもユーザーの皆様からご要望、ご意見いただけましたら幸いです。

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