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上場3年目を迎えて

創業期の矛盾との闘いが今の経営基盤を生み出した

「経営は矛盾の超克だ。経営者は、常に矛盾と向き合い、その矛盾を超え、こたえのない解を探し続けなければいけない」

尊敬するある経営者の方から、このようなことを言われました。

振り返れば7年間、どのフェーズにおいても「矛盾」は山のようにあり、その矛盾を超えて、いくつもの判断を下し、実行していかなければなりませんでした。

顧客視点でのサービス作りとマネタイズ、スピードと品質、限界あるリソースと数あるやるべきこと、コスト削減と新しいチャレンジ、挙げ始めればきりがありません。

失敗も数多く経験しました。スキルを重視して採用した人が社内文化にうまくフィットできずチーム全体が疲弊してしまったり、「ニーズがあるはずだ」という思い込みで作ったサービスが全く使われなくてお蔵入りしたり。

創業間もない頃の写真


(創業間もない頃の様子)

最も印象に残っている決断の一つは、クラウド会計の開発です。家計簿アプリの利用者にアンケートをとって、次に最も欲しいサービスに選ばれたのがクラウド会計でした。しかし、当時はまだ創業2年目、社員数はたったの10人しかいませんでした。

「お金もないし、人も足りない。家計簿をリリースしたばかりなのに、さらに新しいプロダクトを作るなんてクレイジーだ」。メンバー全員から猛反対を受けました。しかし、何としてでもユーザーの期待に応えたい思いがありました。

「お金と人は何とかするから、やっぱり作ろう」

この一言で何とかみんなを説得し、そこから3カ月間、納得してくれたチームのみんなが、一致団結して素晴らしいパワーを発揮してくれて、猛スピードでサービスを開発しました。

新規事業のアイデアはあるけど、リソースもお金もない。そんな矛盾の中で下した決断でしたが、会計ソフトから始まったBtoB事業は今ではラインナップも増え、会社を支える事業として成長しています。

さらなるイノベーションを起こすために矛盾と闘い続ける

マネーフォワードは2017年9月に上場し、3年目を迎えました。
この2年間で一緒に働く素晴らしい仲間が増え、より強い組織へと進化しています。数多くのチャレンジを乗り越え、組織も、人も、経営者としての僕自身もまだまだではありますが、少しずつ「成長」しています。

また、創業当初と比べ、スタートアップ企業のビジネス環境も比べ物にならないほど良くなっています。銀行法改正をはじめとするFintech業界の変化、スタートアップ業界への資金と人の流入、メディアのみなさまが取り上げてくださる数など、スタートアップ業界に対する追い風が吹いています。

金融庁や経済産業省の皆様とご一緒させていただける機会も増えました。会う人は皆、優秀で志が高い方ばかり。こんな方々とともに未来を作っていけることは、本当に幸せなことです。

そして、何よりもうれしいのは、ユーザーの皆様からのフィードバックです。

「バックオフィスをクラウド化したことで、早く帰れるようになった。家族との時間が増えた」「社員の負担が減って、働きやすい職場になった」「お金の見える化をしたおかげで、将来の不安が減った」など、サービスを利用いただいている方から届けられる感想を耳にするだけで、日々の悩みもふっ飛びます。(その瞬間だけですが…笑)

多くの応援してくださる、信じてくださるユーザーのみなさまのおかげで、今のマネーフォワードが存在することができていると心から感謝しています。本当にありがとうございます。

イノベーションを起こし続けるのは本当に難しい

一方で、イノベーションを起こし続けるのは本当に難しいと日々実感しながら、相変わらず尽きる事のない「矛盾」と闘い続けています。しかし、実現したいミッションやビジョン創業当時に作った設立趣意書上場時に作成した株主様へのレターにしたためた想いは、今でも全く変わっていません。

さらにこの2年間で強く感じたことは、「矛盾」と闘い、新しい価値を創造していくためには、スキルや能力も勿論大事ではありますが、それよりもマインド、前向きに明るく、諦めずにチャレンジを続ける強いパッションと想いを持ち続けることこそ重要であり、実は一番難しいと言うこと。

少しの知識と悩むべき課題を見極める知恵。
足元にすでにある未来の兆しを見出す眼。
そして、これらを活かし、より良い未来を作ることは可能だ、と信じる楽観性。
この組み合わせさえあれば、不安をあおる声が溢れる世の中でも、落ち着いて日々を過ごしながら、一歩一歩より良い未来を紡いでいけるだろう。

「ミライの兆し」の見つけ方 御立尚資様著 日経BP社

上記は、僕が心から尊敬する御立さんの著書からの言葉です。

上場3年目も、強いパッションと想い、諦めない心を胸に、明るく楽しく新しいチャレンジを続け「次はどんなサービスが出てくるだろう」と期待してもらえる会社を創っていきたいと思っています。

上場3年目のマネーフォワードにぜひご期待ください。

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